第六話 反芻
【登場人物】
長男 キル・タイム
次男 キル・ブラック
三男 キル・パニック
四男 キル・ニャン太
五男 キル・デルム
六男 キル・ライル
七男 キル・パワー
八男 キル・デンジャ
九男 キル・アストラ
長女 キル・ハート
次女 キル・スター
三女 キル・ツバキ
四女 キル・アイナ
あらすじ
とある事件がきっかけで離れ離れになったキル家。十年が経った今、長男タイムに会うため十人は集まり、真の敵を知ることとなる…
俺のゼロ、『侵入』は何かに侵入することができる能力。自分の形を変え物理的に物に侵入することが出来る。また、生物に使えば脳内の記憶を見ることができる。
『侵入』を使用し、タイムと俺の記憶でアイナ事件のほぼ一部始終を知った。
数年前…
キル家はその日激しい戦闘を終えて一家全員就寝中だった。だがライルは勉強を欠かさず自分の部屋で勉学に励むのであった。
だが突然家のある場所を中心に大爆発が起こった。
直接的にはダメージがなかったものの、火が回るのが早く、ほぼ囲まれつつある状態だった。
「何が起きた!?」
「恐らく大砲を撃たれた!」
デンジャの質問にツバキが叫ぶように答えていた。
「父さん、俺が何かするか?」
「いや、パニックはまだここにいろ。それよりもスピードが速いデルムはアイナを連れてきてくれ!」
「了解!」
数分が経ち、アイナの姿が見えてきた。
「アイナ!待たせたな!」
だが何か異変を感じた。異質な気配。今は真夜中、暗闇の中に炎の影響で猫型のシルエットが出来ていた。
一方パワーは…
爆発の風圧で飛ばされたパワーは家族を探して歩き回っていた。
「兄ちゃーんっ!」
だが途中、奥から異質な気配が襲ってきた。同時に前からは筋骨隆々の男が襲ってきた。
男の右ストレートを止めようとしたものの、威力は抑えられるようなものでは無かった。止めた腕を伝わり、脳まで到達した。
「誰だ…お前…!」
脳が揺れたことで衝撃をくらいその場に座り込んだ。男はエリマキトカゲのように頭におかしな物を生やし、上半身は裸だった。
「俺の名は「ゴリ!」!その筋肉を!俺に!よこせええええ!!」
我を忘れたかのようにゴリ!は叫んだ。
「へっ…舐めてもらっちゃ困るぜ…キル家の男としてね!」
一方ライルは…
勉強していたことで、家族と離れ離れになったライルもまた異質な気配を感じていた。次の瞬間、天井から巨大な岩が降ってきた。何とか間一髪で避けきったものの、目の前にはメガネをかけた胡散臭い男が立っていた。
「私の名は「グワス」。その頭脳実に興味深い。」
「悪ぃが長々やってる暇はねぇんだ。さっさと終わらせるぞ。」
一方家族の方では…
パニックの背後に先程の猫型の異質な気配が近づいていっていた。
「パニック後ろだ!」
「え?」
棍棒のような物で殴りかかってきた“何か”をブラックが吹き飛ばした。
「危なかった…ありがとうブラック。」
「父さん!俺が『時間停止』で敵の姿を見てこようか?」
「いや、いい。お前の能力はまだ未完成だ。敵の前で姿を現してしまったら危険だ。だからお前はその能力で逃げればいい。」
「でもっ…!」
「いつも言ってるだろ。“自分の利益”の為の“他人の利益”だって。だから人助けは大切だし、するべきだ。ということは全ての行動には『“自分の利益”の為』という行動原理が伴うんだ。こういった危険な場じゃとにかく一番に“自分の利益”を考えるんだ。その中で“自分の利益”のために他人を助けるのもいいかもしれない。」
そういうと納得した様子でタイムは時間停止を使い安全な場所まで離れようとした。だが道中倒れたデルムとアイナの死体を見てしまった。
怒りで我を失ったタイムの記憶はここで消されていた。記憶を自分で消すというのは何か嫌なことがあった時に限る。変に詮索はしない方がいい。
なのでここからは俺が家族から聞いた話で記憶を繋ぐことにした。
「時止めが解除された!タイムは逃げきれたのか!?」
パワーが叫んでいる間にゴリ!は近づいて攻撃しようとしていた。
「油断大敵ぃぃぃぃ!!」
ギリギリで右腕でパンチを防いだものの、完全に骨が砕けて腕を動かせなくなってしまった。
「っうぁぁぁぁ!!」
「ほらほら!そんなことをしていていいのか!?家族を殺すぞ!?」
そう言うとゴリ!は、はぐれてさまよっていたパニックを掴んで炎の向こうに投げた。
一方アストラ達は…
ニャン太と合流したアストラはパワーのように家族を探して走り回っていた。
だが火の煙の奥の方に二人(パワーとゴリ!だがニャン太は気づいていない。)の人影をみた。
だが、次の瞬間、パニックが飛んできた。
「うわぁぁぁぁっ!!」
間一髪で受け止めたものの、怒りが湧いてきた。
「アストラ!あそこの敵思い知らせてくる!」
「は!?」
そういうとニャン太はパニックとアストラの背中を押して、一人火の中に飛んで行った。
途中、アストラ一行は次女のスターと合流したのだった。
一方ライルは…
グワスのゼロ『石操作』で飛んでくる石を避けつつ、戦った。
「同じ攻撃ばかり繰り返しやがって。飽きてきたぞ。」
そういうと、ライルはグワスの飛ばしてきた石を利用して階段のようにして、グワスの上空まで登った。
「やっ…やめろおぉぉぉ!!」
叫ぶグワスの口の中にゼロ発動用の杖を突っ込んだ。
「ぐ…ぐはっ…」
辺りに血が舞った。
「その程度かよ。」
瞬間、目に何かが刺さった。と言うか誰かに飛ばされて刺さった。
「っ…!!」
一方アストラ達一行は、危険な家から出られそうだった。だが、直前アイナの死体を見つけた。
「あ…あ…あぁぁあぁ!」
「どうしたアストラ!……っ!!」
叫んだアストラは怒りから我を忘れた。瞬間、口からは黒い異様な物体が上空に向かって出てきた。それは徐々に形を作っていった。数十メートルにも及ぶ人間の全身の骨のような形になったのだ。
「キル…デビル…!!」
「なんで…今発現したんだ…!!」
骨のキルデビルは咆哮を上げた。骨のはずなのに無いはずの目の奥が光ったようだった。
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過去編の為、いつもよりすごく文字数が多くなりました。次回もそうなるかもしれません。すいません。