第三話 キルデビル
【登場人物】
長男 キル・タイム
次男 キル・ブラック
三男 キル・パニック
四男 キル・ニャン太
五男 キル・デルム
六男 キル・ライル
七男 キル・パワー
八男 キル・デンジャ
九男 キル・アストラ
長女 キル・ハート
次女 キル・スター
三女 キル・ツバキ
四女 キル・アイナ
あらすじ
とある事件がきっかけで離れ離れになったキル家。十年が経った今、九男のアストラ一行は長男タイムの場所へ向かうことにした。だが、その裏では五男デルムと八男デンジャがアストラを殺そうとしていた…
「わざわざアストラを狙うのは、やはりアストラに宿ってる『キルデビル』が目的か?」
デルムがデンジャに聞く。すると、「少し違う」と言いたげな表情でデンジャは答えた。
「“キルデビルが目的”なんじゃない。“目的の為のキルデビル”なんだよ。まずどこから話そうか…」
するとデンジャは耳を疑うような話を淡々と告げた。
「…マジか?その話…それに、その計画が俺には理解できねぇ」
「まあ、そうかもね。結果から言えば、『全ての組織を破壊』するってだけだし。」
デルムはデンジャの話を聞きながら思った一つの疑問について、デンジャに聞いた。
「あのよぉ、デンジャ」
「?」
「言いにくかったんだが、俺キルデビルの情報をよく知らねぇんだよ。」
すると、デンジャは頭をコンコン叩きながら「うぅ〜」と喚き、説明の仕方を考えた。いずれ思いついたように頭をゴンッと叩くと、説明をし始めた。
頭からは血が出ている。なんか怖い。血ではなくデンジャが怖い。
「『キルデビル』っていうのは、死の悪魔の事。ちゃんと意思のある生物だよ。キル家の誰かに稀に宿ることがある。でも、自分の身が危険にさらされたり、状況によっては他人の体に移る。そうやって代々継いできたんだよ」
そう言うと、一息ついてもう一度話し始めた。
「普通は一つの形態なんだけど、アストラに宿ったのは何故か五つの形態だったみたい。周りの奴らは四つって言ってるけど、ニャン太兄ちゃんは五つって言ってた」
「何となくは分かった。でもよ、そんな強いのか?」
「まぁ、多分今は弱いだろうね。でも、その潜在能力は化け物級だよ。戦ってる最中にグングン強くなるの」
「アストラを殺せばそいつは死ぬのか?」
「他人に移る前にやればね」
「…っつってもよぉ、今の話聞いてると全然倒せるビジョンが見えねぇぜ?奇襲でもかけんのか?」
するとまたもや先程の表情をして、「チッチッチッ」と言った。
「隼組と協力するんだよ。リーダー『隼』、そして幹部の『ランド』、『セカイの主』、『マグナム』の四人」
「おいおい、いい加減にしろデンジャ!」
デルムは痺れを切らして、机を叩いた。
「隼組っつーのはいわば“正義の味方”だぜ!?お前の作戦に協力なんかする訳…」
「そんなの隠すんだよ。隠蔽隠蔽、どれだけ力があろうと上には上がいる。じゃあその“上”に気づかせなきゃいいんだよ。正義の味方なんだろ?じゃあ決定的な証拠がなきゃ僕らを罰せない」
罪の意識はあったものの、デルムは提案に乗ることにした。
「分かった。その作戦には協力してやる。だが一つ質問させろ」
「何かな?」
「一体…目的は何だ?」
そう聞くと、デンジャはクスリと笑ってこう言った。
「『虚』」
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