第二十四話 『最期の戦』参
二月に連載を開始して今八月。六ヶ月、半年間連載してきました。ということで次の作品は一年以上続けましょう。
サンがコピーした能力、『磁石』によって主全員はひとつの塊にまとめられてしまった。そんな中、緊張した面持ちで土曜日の主は聞いた。
「お前……一体誰なんだ?」
ピンチの中ではあるものの、気にならざるを得なかった。サンの生まれ変わりなのでは、と思っていたが実の所気になる気分もある。
すると男は上を向いて少し考えてから、口角を上げて話した。
☾︎言うなれば、貴様らに対して送った使いを全て吸収した姿というのが良いか……ふっ、どうせ暇だ。いいことを教えてやろうか?☽︎
結果的に言えばサンであるということだろう。だが、そんなことよりもいいことというのが気になりすぎて何も考えられなかった。
☾︎私が送った使いは各曜日の世界に長く居続けた影響でその世界との結び付きが深くなっている。その為、時間が経てば経つ程どんどん曜日の支配は楽になっていく。☽︎
今一刻一刻時間が進んでいる間にも、世界の支配は進んでいる。思わず暴れたが、『磁石』の能力出全く動くことが出来ない。
そんな時、金曜日の主が『磁石』を無理やり引き剥がしてサンに向かって突撃した。そのままサンに近づいて刀で腹の中心を貫こうとした。だが、サンは軽く飛び上がって避けてしまった。
☾︎身体能力も並大抵のものではない。☽︎
そう言って目を大きく見開くと、サンは金曜日の主の腹に足を当てて蹴り飛ばしていた。
「大丈夫か!?」
「あぁ……」
金曜日の主は腹を抑えて痛みを堪えていた。助けたいが体がどうにも離れない。そう思っているとサンはまたニヤリと薄ら笑いを浮かべて話し始めた。
☾︎磁石でくっつけられていたのは愛野 蒼……金曜日の主以外だ。金曜日の主はわざと能力の効果を弱めてあった。つまり何が言いたいか分かるか?見せしめだ!!!☽︎
「やらせるか!!!」
言葉を遮るように月曜日の主はそう叫ぶと、自身の能力で手のひらから大量の物体を発射した。どんなものでも生み出せるものは発射していく。だが、ほとんどは弾かれてどこかに飛ばされてしまった。
だが、その内サンに飛んでいった氷の槍だけは違った。氷の槍は、サンの腕をかすって傷をつけた。
一気に一同の間で動揺が走る。どれだけ攻撃してもダメージが入らなかったのに、こんな単純なものだったのか。そう、サンの弱点は『水』。
そう気づいた瞬間、月曜日の主は能力で大量の水を噴射した。だが、サンも先程攻撃を受けたばかり、一筋縄ではいかなかった。サンは何をしたのか、水が一定の距離まで近づくと蒸発してしまっていた。
「あれは多分魔力を全身から放出してるんだ。サンの魔力は水を蒸発させるくらいの熱が……」
金曜日の主は最後まで言わずにそこで止めた。
「じゃあ魔力が無くなるまで……」
「魔力量は僕たちの総量の倍以上ある。魔力を無くすのは絶望的だ。」
ならばもう方法は一つしか残っていない。どうにかして水をぶつけられるような隙を作るしか方法はない。先程、氷の槍がかすったことでダメージが入って、その影響で『磁石』の能力が弱まって離れることができた。
一斉に主たちは磁石の能力から離れてサンに突撃していった。
「ある程度距離を取れば磁石能力は効果がない!距離をとるんだ!」
『磁石』の能力を使い慣れている土曜日の主はそう全員に向けて叫んだ。
全員はそれを聞くと、効果を受けないように等間隔を取ってサンに突撃していった。その時、月曜日の主は背中から黒い翼を広げて、速度を加速させた。目にも止まらぬ速さとはまさにこの事。そのままグングン進んでサンの顎を蹴り上げた。と思った時にはサンの姿は無くなっていた。月曜日の主は困惑している。だが俺は自分の能力で感じ取った。
月曜日の主の体内に『侵入』したのだ。そう考えるよりも早く体が勝手に動いていた。困惑する月曜日の主に突っ込む。
「どこだ……!?」
「動かないでくれ!」
そう言って、月曜日の主の体内にサンを追って『侵入』した。
トマトよりも真っ赤に染まった体内に侵入すると、サンの姿を真っ先に見つけた。なるべく内部から月曜日の主にダメージがないように素早く動いて、サンの腹にストレートパンチを食らわせた。身体能力もほどほどと言ったところか、確実に当たったと思ったストレートは軽く掴まれていた。
☾︎邪魔を……!☽︎
そう言ってサンは俺の顔面に大量の炎を噴射しようとした。まずい、どうにか暴れたが間に合わない。そう思った時、ある手段を思いついて、実行した。
唾液、これも水に含まれるはず。暴れて唾液を吐きかけると、少しだがダメージが入ったらしい。サンは思わず俺の腕を掴むのを離した。瞬間、サンを掴んで同時に『侵入』を解除した。
サンを引っ張り出すと、目の前には主全員が立っていた。
☾︎余計なことを……!!!☽︎
一瞬油断していた。その時、サンは俺の右腕を掴んだ。一瞬世界の時間が止まったようだった。
「ぁぁあああぁっ!!!!」
サンの手のひらから放出された炎で腕は黒い棒のようになるまで燃やされた。完全になくなる前に金曜日の主がサンの背中を突き刺して助けてくれた。今しかチャンスはない。痛みを堪えてサンの体に上から乗って押さえた。
「全員で押さえるんだ!!!!」
全員がパニックになっているのは分かるが、これしか方法がなかった。全員はとにかく必死に暴れて抵抗するサンの事を押しつけた。
☾︎やめろ!こんなことで私を殺せると……☽︎
そうサンが叫んでいる時、月曜日の主の声が何故か耳によく聞こえた。
「バイバイ、神様。」
そう一言言うと、水の塊をサンにぶつけた。すると、サンの全身は火だるまになったかのように真っ赤な炎に包まれた。
☾︎まだ……私の野望は……☽︎
サンは死ぬ間際にそう言って消滅していった。そして完全に消滅するのを確認すると思わず声が出てしまった。
「やった……やったのか……?」
全員で顔を見合せて、叫ぶように喜んだ。キルデビル、そしてサンの呪いからようやく解き放たれたのだ。
爆発するような興奮の中、突然我に帰るように思い出した。どうやってこの日曜日の世界から脱出するんだ?それにサンに支配されていた水曜日は無事なのか?
そんなことを考えていると、太陽がある訳でもないのに天から一本の光の筋が差してきた……
『最期の戦』参 終
あと一話ぁぁあぁぁぁあ(多分)!




