第二十三話 『最期の戦』弐
あと数話です。
火曜日の主の声で全員が鼓舞され、サンに突撃していった。『侵入』の能力で俺も内部から攻撃しようとしたが、すぐに弾き返されてしまった。何度も繰り返すが、このままでは埒が明かない。
「一気に行くぞ!!!」
全員にそう呼びかけて、サンを狙った。頭部を狙う。頭部に全員で狙って攻撃をすれば少しはダメージが入るはず……
だが、一点を狙うということは避けやすくなるということだ。全員の攻撃は簡単にサンに躱されてしまった。
避けられた……そう思い下の方を見た。てっきりサンは屈んで攻撃を避けたのかと思っていた。だが、違った。サンは球体のようになって、名前の通り太陽のようになっていた。
「何が起きたっ……!?」
「あれは……核!?」
月曜日の主が木曜日の主に答えた。言われてみればそうだ。膨大な量の魔力が一点に固まっている。あれはサンの核。全員が突撃しようとしたが、確実に危ないのは分かった。
「待ってくれ!!俺の能力『侵入』で核の中に入ることができる!!任せてくれ!!」
あれが罠だったら、全員が突撃して全滅することになる。それに、『侵入』を使えば中の様子も見れるだろう。
罠の可能性も考慮して、慎重に近づいていくと、核から数メートルのところで爆発が起こった。怪我をする程ではなかったが、視界が悪くなった。瞬間、中からは六体の何かが現れた。
その内一体はキルデビル。なぜこんな所に……!?恐らくほかの五体も曜日ごとに送られていたサンの使いだろう。
だが、キルデビルにしては魔力が少なすぎる。突撃してきたので、軽くパンチをすると、風船がしぼむように潰れて、キルデビルの体は完全に消滅した。やはり偽物だったのだろう。
周りを見渡すと、ほかの主たちもどんどん倒していっていた。なら、早く核を潰さなければ。そう思った時には最早手遅れだった。
核はまるで何かの卵のように薄い膜に包まれていて、中には男のような何かが入っていた。
「カエルのタマゴみたいだ……」
金曜日の主がそう言った。まさにその通りだ。どことなく気持ちの悪い感じがする。
サンの核なら早めに潰さなければ。そう思い全員が一斉に攻撃をぶつけた。だが、卵はビクともせず、傷一つ付かなかった。
次の瞬間、膜は破れ、中から裸の男が出てきた。サンの生まれ変わりのようで、どこかサンの面影を感じさせた。次の瞬間、不思議なことに、男は突然何処かから服を生み出して着た。手品か何かを見せられているようだった。その時突然、主全員が引き寄せられ磁石のように引っ付いて離れられなくなった。
すると土曜日の主が信じられないようなことを言った。
「まさか『磁石』……俺の魔法……!?」
不吉な予感はしていた。服を作り出した時から。それに重ねて月曜日の主も言った。
「おい待て……もしかしてさっきのも俺の『創造破壊』……!?」
☾︎君たちの世界は最早私の手の中にあるのだ……☽︎
サンの生まれ変わりのような男は低い声でそう言った。現在月曜日から土曜日の世界全て、半分程がサンに支配されてしまっている。なので、主たちの魔法も……みなまで考えなくても分かった。
☾︎万事休すだな……主たち……☽︎
ニヤリと不気味な笑みを浮かべながらサンはそう言った。
『最期の戦』弐 終
この作品が面白いと思ったら是非★やブックマーク、コメントなどお願いします。
また、他の連載作品などもお願いします。




