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第二十話 死の匂い

小学生の時の漫画を無理やり小説にしてるので、展開をつめつめにしてますw二十話ぐらいに収めるつもりだったんですけどね

 紆余曲折ありつつ、戦闘の盤面はこのようになっていた。


 ガストロVS隼VSキルデビル

 セカイの主VS【Y】

 ランドVSマイン

 マグナムVSクラウス

 ライルVSパニック&ニャン太

 ツバキVSエミ

 ブラック&タイムVSラビ三世


 各々が様々な場所で戦闘を繰り広げている。周りに街はなく、人がいなかったので良かったが、民間人が居れば……ゾッとする結果を想像した。

 今戦っているのは、森の中だが、ほとんどの木が消滅してしまっている。気持ちがいいほどの森林破壊だ。森林だった土地が、真っ更な草原のようになってしまっている。


 一方、ライル近くの場所では、パニックとニャン太が結託してライルと戦っていた。

「パニック……」

「ライルが裏切ったから仕方なく協力してやってるだけだからな!」

 ニャン太が裏切ったのは何故なのか。簡単な話、アイナを復活させるためだ。家族愛が強かったからこその所以。

 だがライルに関してはどうだ。先程キルデビルが全ての真実を話していたのを聞こえた。裏切った理由は「退屈だったから」。正直、ふざけているだろう。退屈で家族を殺そうとする男はいない。怒りを抑え込み、パニックは攻撃をした。

「『パニック』」

 パニックは、自身のゼロ『パニック』をライルに発動した。『パニック』は相手の心の余裕を無くし、パニック状態にする能力。

 だが、ライルは全くパニックになったかのような行動をせず、落ち着いてこちらに迫ってきた。

「こんなので俺をどうにかできるとでも?」

 ライルはニヤニヤとして全く効果が無さそうだ。気がつくと、パニックは腕を掴まれて背負い投げされていた。

 『白骨化』のゼロを同時に発動していたので、パニックの右腕が骨になっていた。痛みは全くない。それに加え数分もすれば回復する。

「かかってこいよ、キル家。俺を殺してみろよ!!!」



 一方、空亡を召喚したブラックだったが、何か違和感を感じた。空亡が全く動かない。

「ブラック、まだか!!もう『時間停止』の能力が切れちまう!!!」

「くそ……一旦能力を解け!!」

 そう言った瞬間、タイムは能力を解いた。すると、ラビ三世は筋骨隆々の肉体全体に、さらに力を入れて、爆発するような勢いで飛びかかってきた。そんな状況でも空亡は微動だにしない。

 気がつけばタイムは殴り飛ばされて、吹き飛んでいた。

「タイム!!!」

 だが、ブラックもタイムのことを気にしている場合ではない。パンチを終えたラビ三世が、目を光らせてこちらを向いた。「空亡!!」と叫ぶと、ようやく空亡は少し動いて、ラビ三世のことを黒い煙で押し潰した。

 煙といえど、もはや波動のようで、ラビ三世は地面に押し付けられて、めり込んでいた。

 そんなことをしている間に、空亡の姿がだんだん別のものに見えてきた。巨大な人のシルエットのようなものが重なるように見えてきて、最終的には、空亡の姿と()()のシルエットがくっきりと重なっていた。

 その「何か」は、身長およそ数キロに渡るほどで、雲に映っているような感覚だった。先程のキルデビルの発言を聞いた人物なら、一目見ただけでこれが何か直感的に分かるだろう。

 そう、このシルエットは『サン』。これほどの大きさを誇っているものの、実際にはこれは本体ではない。

 空亡とは、太陽が球体の形をした妖怪だったら?という人間の発想から生まれた妖怪。つまり、元は()()なのだ。

 サンのシルエットは全てを見下ろしてからスウッとフェードアウトするように消えた。まるで嵐が去っていったかのような一瞬の出来事に誰もが困惑していた。

 そんな中、隼組『ランド』と傲慢こと『マイン』は一時も目を離すことなく戦い続けていた。マインの『腐敗』の能力で油断をしてしまえば、体全体が腐ってしまう。とはいえ、ランドのゼロも相当桁違いのものだった。


 ランドのゼロ、『奇跡』は何かをすれば、すぐに奇跡を起こす。それが能力。

 一件弱そうにも見えるが、全くであった。もはやマインは押され気味。マインが腐敗を放って、腕を掴んでも、服だけが腐って避けられてしまう。それに加え、ランドの攻撃力。

 特に筋肉もない青年といった見た目なのにも関わらず、魔力の量が膨大なせいで、ただのパンチでも致命傷になるほどだ。

 痺れを切らしたマインは、そこら辺の木の棒を拾い、上空に投げた。すると、手品のように、手に戻ってくる時には包丁のように研ぎ澄まされており、掴んだ瞬間、腐敗のオーラが纏われた。

「さぁ……これが俺の本気だ……」

「まだまだ来いよ、マイン!!!」



 クラウスと戦闘中のマグナムは、パーカーを羽織り、いつもとは違うラフな格好で挑んでいた。

「いつもの上着は着ないのか?」

「今は隠す必要もないんでね。」

 マグナムは裏社会の人間なので、上着を着て常に身を隠さなければいけなかった。なので『怪物達(モンスターズ)』もほとんど情報を入手出来ていない。

 そんなことをクラウスが考えている間に、マグナムはクラウスに飛びかかった。そして回し蹴りで顔面を狙った。寸前で反応したクラウスは右腕で止めたが、それでも一メートル程吹き飛ばされた。

「俺は武闘派なんでね。」

「肉弾戦は俺も向いている。」

 そう言って二人はもう一度向き合った。



 一方の【Y】はセカイの主に猛攻を浴びせていた。殴り、蹴り、掴み、吹き飛ばし……何分も飽きることなく攻撃をし続けた。

 だが、致命傷ではないどころか、かすり傷すら付いていなかった。セカイの主は今も余裕そうに笑っている。それに怒った【Y】がまた猛攻を繰り出す……の連続だった。【Y】にとって飽きがなくとも、セカイの主は飽きてきた。

 なのでいとも簡単に攻撃を躱すと、【Y】の腹に重すぎる一撃を入れた。

「さぁ、反撃開始だよ!」

 子供のような高い声が辺りに響くようだった。



 ツバキはエミに対して相当圧倒していた。先程ハートと、スターがライルによって一瞬の内に白骨化させられてしまったので、エミと一対一で戦うしかなくなった。

 やはり、肉弾戦に持ち込んだのはいい判断だった。ツバキは自身を褒めた。エミなど、魔法に多くを注いでしまっている者は肉弾戦にめっぽう弱い。

 ツバキのゼロは『テレポート』。戦闘向きではない能力だったので、昔からずっと鍛えてきた。なので短刀の技術は右に出る者がいない。



 ガストロはまずキルデビルを狙って、蹴りを入れた。キルデビルは腕で防いだものの、少し飛ばされてしまった。隼が隙をついてキルデビルを拳で一撃殴った。先程のガストロの一撃で動けなくなっていたのか、簡単に隼の一撃はキルデビルに当たってしまった。

 瞬間の出来事だった。キルデビルは攻撃されたフリをしていたのだ。完全に油断していた二人は、隙ができてしまった。瞬間、キルデビルはポケットから二つのナイフを取り出し、二人の心臓に突き刺した。

「死ね……死ね!!!カス共!!!」

 キルデビルの高笑いと、死の匂いだけが全員に広がった。

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