第一話 キル家
締め方が…
暗闇の中で沈黙が流れた。
これが家族全員が集まった空気感なのか?
九男のアストラは頭の中でそう思っていた。
狭い空間の中でその空間はガタガタと揺れていた。恐らくトラックの中だろう。誘拐の説もありうる。全員が察しつつも、冷静だった。
沈黙の中で一人が口を開いた。
「アストラ…ここどこか分かるかにゃ?」
四男のニャン太であった。猫の耳を生やし、落ち着いた雰囲気の男だ。
「ん…どうだろ。」
曖昧な返事は全員のストレスになった。
次男のブラックが小声で呟いた。
「…もういいだろ。」
そう言うと、暗闇は渦巻状になっていった…
「うわっ!」
「ん?」
飛び起きると全員がこちらを見ていた。
「どうしたアストラ?変な夢でも見てたか?」
「いやちょっと…何の夢だっけ?」
「今日は墓参りにゃよ?悪夢なんか見たら縁起悪そうにゃ。」
全員が髪を整え、準備をしている。
長男 キル・タイム
次男 キル・ブラック
三男 キル・パニック
四男 キル・ニャン太
五男 キル・デルム
六男 キル・ライル
七男 キル・パワー
八男 キル・デンジャ
九男 キル・アストラ
長女 キル・ハート
次女 キル・スター
三女 キル・ツバキ
四女 キル・アイナ
今日の墓参りはアイナの物だった。アイナは2歳の時に敵に襲われ死んだ。
他の家族も重傷を負った。
墓につくと、ニャン太が泣き出した。
「俺は…アイナを守ってやりたかったにゃ…!!今生きてりゃ12歳にゃ…!!物心ついてた頃だったはずなのに…!!」
「………もう10年だ。心を入れ替えて生きてった方がアイナもいいはずだ…」
全員が涙ぐむ中、ブラックは淡々と告げた。
アイナの死亡事件があってからというもの、長男のタイムは自身の基地に籠ってしまった。そのため、次男のブラックが全員の長男的立ち位置として、引っ張っていかなければならなかった。
そんな時俺はあることに気がついた。
「…デルムは?」
「今回もこれねぇってよ。」
五男のキル・デルムは、家族の中でも一番近くでアイナを守れなかった人間だった。そのため罪に病み、毎回来れないと言っているのだ。
「…はぁ、じゃデンジャは?」
「連絡はしたがやっぱり帰ってきてない。」
八男のキル・デンジャは、アイナが死んだ日、死体を見て精神に異常をきたし、消息不明の状態で狂ってしまった。
「…行くしかないだろ。」
「どこにだ?」
「…」
「タイムのところへ!!」
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