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第十七話 キル・アイナ

この話書いてて改めて思ったんですけど、小学生の僕のストーリー性の無さが酷いwえ?今も大してないって?まぁまぁ……タハハ……

 ニャン太の顔を狙って顔面を二回殴った。ニャン太が寸前で「サッサッ」と避けた。寸前とはいえ、おかしい。少し前に【キルデビルLv.2】で戦った時は勝負にならないほど実力差があったのに、ニャン太は実力が上がりすぎている。

「何故か分かるか?」

 そう言ってニャン太はアストラの腹に一撃を入れた。キルデビルの膜が一瞬剥がれかけた。

「まだ本気じゃねぇんだろ?来いよ!!!アストラ!!!」

 そう、キルデビルの真の実力はまだ出していない。

「『侵入』!!!」

 瞬間、ニャン太の視界からはアストラが一瞬にして消えた。どこだと、思った瞬間、下から突然アッパーを噛まされた。

 ふらついたが、体制を立て直した。瞬間、背後から首を掴まれ、背中を着いて仰向けに転ばされた。

「なんっ……!?」

 困惑するニャン太の腹に、渾身の一撃を入れると、一瞬意識が飛んだように、「ぐはぁっ」と叫んだ。

「【キルデビルLv.2】の本気……それは、ゼロとの()()だ。」

 ニャン太の視界から消えた瞬間、地面に『侵入』のゼロを使っていたのだ。超異常なほどの力に加え、ゼロで攻撃を不可能にする。これがLv.2の真骨頂だ。

「立てよニャン太。殺してやる。」



 一方、隼とガストロは部屋の中心で向き合っていた。

「俺は会いたかったんだ、隼君。」

「死にに来たのか?!!」

 少しの間を開けて、二人はニヤリと笑みを浮かべて、拳をぶつけ合った。

「男なら拳でぶつかれよ!!!隼ァ!!!」

「じゃ喋んな!!!」

 隼はそう言うと、背中に力を込めた。すると、肩甲骨あたりの服が盛り上がって肥大化してきた。

 そして、服を突き破って背中から黒い翼が生えてきた。まるでその姿は、悪魔……いや、あの有名な堕天使ルシファーのようだった。

「俺のゼロは『堕天』。今の俺ならなんでも出来る!!!」

 そう言って隼は翼を体に纏わせた。そして、力を込めて一気に翼を広げた。瞬間、建物の壁はひび割れ、建物全体が吹き飛んでしまった。そしてまっさらな場所で隼とガストロは向き合っていた。

「一つだけ質問させてよ、隼君。なんで君は僕を阻止しようとするのさ。わざわざヒーローである必要なんてあんの?」

「ヒーローでありたいんじゃない。ヒーローを()()()()になりたいんだよ。」

 そう言って隼は数年前のことを思い出していた。



 隼には兄がいた。隼、本名『坂本(さかもと)ユウト』の兄、『坂本 隼(さかもと はやと)』は、数億人に一人の『(レイ)』という特異体質であった。

 『零』は、一種の覚醒状態のようなもので、相手との戦闘状態に入れば、一気に集中力などが向上し、人間離れした能力を発揮できるというものである。

 そのため、ある時には「人助けをしたい」と言って、戦闘現場に自分から赴いて、スパイ的な行動をすることもあった。


 ある時、どこかの有名な一家が襲撃にあったという噂を、(はやと)はいち早く耳にした。噂を聞いた瞬間に、現場に行くと言って、殆ど無い荷物を持って、パーカーを着て、家を出てしまった。

 数分して、ユウトの場所には「セカイの主」が来ていた。カービィのような、球体の頭に、頭と同じ大きさの体。

 「セカイの主」は、隼組の一員で、もうこの時には隼組は、組織名は違ったものの、結成されていた。

(はやと)さんがどっか行ったんでしょ?リーダーも行かないの?」

「う〜ん、まぁ行くか……でも何か変な予感がするんだよな……」

「変な予感?」

「なんて言うか……」


 死の予感───


 現場に着いた後のことは殆ど覚えていない。(はやと)の事を誰かが……()()()()()

 それも、怪物とかでは無い。完全な少女、というか赤子だった。だが、俺は我を忘れて殴りかかって、それが人間なのか分からなくなるぐらいに殴り続けた。ゼロで殺すこともできる。だが、苦しみを味わわせたかった。


 我を取り戻した時には、目の前に血まみれの赤子が転がっていた。普通の人間だったら木っ端微塵になって、原型すら維持していないだろう。なのに、何故かその赤子は呼吸をしているほどに生きていた。

 とは言っても、死にかけだった。もう嫌になって、俺はどこかへ行こうとした。すると、(はやと)の死体を見かけたらしいセカイの主が問い詰めてきた。

「なぁ、殺せよ……殺せよ!!!あのガキを!!!リーダァァアアァ!!!」

「殺し返したら……それこそあいつと一緒だ。」

 そうハッキリ言って俺はどこかに消えるように行った。その後多分その赤子は死んだのだと思う。というか、あそこから生き返るなんて不可能だ。



「俺は兄貴のために戦ってんだ。ヒーローなんて綺麗事じゃねぇ、憧れに向かって走ってるだけだよ!!!」

 俺の名は隼。




 転んで勢いを失ったニャン太は「ぜェ……ぜェ」と息を切らしながらアストラを睨んだ。アストラはただ冷酷な目で見下ろすだけだった。

 こんな人間が生きている必要は無い。そう思い、殴りかかろうとした瞬間、ニャン太は突然口角を上げて、何かを叫んだ。


アイナ───


 思考が停止した。瞬間、ニャン太は俺を掴んで、壁をぶち破って外に出た。

 すると、上空には百メートル程の怪物が、時空の割れ目から出てこようとしてきていた。

「アイナの魂を込めた怪物だよ!!!アイナ、アストラを殺せ!!!」

 ニャン太は人一倍アイナへの愛が強かった。()()()愛が。

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