第十六話 ガストロという男
ちなみに、赤ちゃんから老人まで全員、ゼロ(魔法)は使用できて認知のものです。
十数年前。ガストロは小学生だった。
だが、ガストロには大人にも負けないほどの特有の“オーラ”というものがあった。使用するゼロのせいかもしれない。
誰も寄せつけず、相手を圧倒させる何かがあった。だが、鈍感と言うべきか、小学生では恐れというものがなかった。だからこそ、恐怖ではなく気味の悪さが勝ってしまったのだろう。
ガストロは周りから避けられていた。だが、そんなガストロにも救いの手が差し伸べられた。
「ようすけー!!」
「ガストロくーん!!」
一人だけでも、友人ができたのだ。ようすけ、通称【Y】。スイカのような縦縞の帽子が似合うYには、優しい性格から、色々な友人が居た。だが、ガストロと関わり始めてから、友人が避けていった。
学校では常に二人が共に行動していた。
ある時、Yがガストロにあるお願いをした。
「ねぇ、ガストロ君。今度ガストロ君の家に行かせてよ。」
「んぁ…いいよ。お母さんしか居ないけどいい?」
「いいよ全然!やったー!!」
ガストロの父親は、裏社会の人間で、ガストロが生まれて一年した時から行方をくらませている。
それも、キル家の定めなのかもしれない。ガストロはそう思った。ガストロの本名はキル・ガストロ。アストラ達の従兄弟に当たる人物だ。
六月二十五日水曜日。【Y】こと、ようすけはガストロと共にガストロ宅に下校していた。
「ガストロくん……ぜぇ……こんな山奥に……住んでるんだね……ぜぇ…」
ガストロ宅は、周りが田んぼに囲まれており、家はほとんど一軒もない程の絶地だ。遠くには何百メートルもある山が並び、自然を感じるには良い場所だ。
「あ、家見えてきたね。ようすけの事は話してあるから、先に家に入ってて。飲み物買ってくる!」
「え、ちょっとー!!」
そう言うとガストロはサササーッと走っていってしまった。ポツンと取り残されたようすけは、「もー!」と言って、スイカのような帽子を外して、ガストロの家に一足先に入った。
「はっ……はっ……」
ようすけの為に早く飲み物を買おうと必死で走っていた。すると、自販機が見えてきたので、常備してる小銭で二本ペットボトルの冷えた飲み物を買った。
『冷えてます』とわざわざ張り紙が貼ってあった。そして触った感覚も冷たかった。なのに何故かある不安から、生ぬるいように感じた。
振り向いて家に歩いて向かった。百、二百メートル程先に家が見えてきた。飛行機の音が「ゴオオオオ」と鳴り響いた。
瞬間の出来事だった。飛行機から何かが落ちてきた。呆然としてガストロは立ち止まった。落下物は、地面に触れ、遠くにいるガストロが吹き飛ばされる程の爆発を起こした。
落下地点はガストロの家だった。
耳をつんざく轟音が鳴り響く。ガストロの視界全てが炎に包まれたような感覚だった。呆然として、足が動かなかった。
一分ほどしてようやく我を取り戻して、力の入らない足で歩き出した。
家まで来ると、ラジカセから「ガーガー」という音がなっていた。そして二つの一メートル超の黒く焦げた棒が転がっていた。
「母さん……ようすけ……」
近くにはようすけの防止が落ちていた。ガストロは我を失ってただ泣き叫んだ。
これがキル家の定めなのか。
ラジカセが調子を取り戻したように音を出した。
『×軍からの攻撃です!!!△県の住民は直ちに避難してください!!!とにかく逃げてください!!!』
───全部壊してやる
【現在……】
「邪魔だよ。どけ、隼組。」
「やなこった。」
三秒程睨み合った。アストラはその様子を瞬きせずに見ていたはずだ。なのに、まるで漫画のコマのように、次の瞬間には、ガストロと隼の足がぶつかり合っていた。
「行け!!!お前ら!!!」
隼とガストロが同時に叫んだ。すると、合図に反応して隼組と怪物達の全員が動いた。
一足遅れたキル家も、全員が動いた。瞬間アストラは気がついた。三人いない。
一人はニャン太兄ちゃん。いないというより、敵の怪物達側にいる。
もう一人はデンジャ兄ちゃん。合流したデルムによると、グルグルに縛って森に置いてあるらしい。
では、あともう一人は?何かしているのだろうか?ツバキ姉ちゃんが『テレポート』で飛ぶと行った時には全員いたはず。いつの間に。
そんなことを考えていると、目の前から来た男に腹を蹴り飛ばされて、吹き飛んだ。
「全く……ガキの遊び場じゃねぇぞ!!!」
この男は知っている。『傲慢』こと、マイン。隼組から幹部の情報は貰っていた。直前で全ての情報を頑張って特定したらしい。ニャン太兄ちゃんが足跡を残しすぎていたらしいが。
兎にも角にも、このマインをどうにかしなければいけない。だが、キルデビルを使っても敵わなかった相手にどうやって勝てばいい。
「アストラ君、こいつ貰うね。」
そう言って誰かが隣からマインの頭を蹴り飛ばして連れていった。助けられたことに感謝しつつも、誰が助けてくれたのかを見た。
あの男はランド。全身黒色の服を少し着崩していて、白髪の中からチラリと赤い目が見える。
そんな事はぶっちゃけどうでもいい。ランドに感謝しつつも前に進んだ。俺の狙いはただ一人。
「ニャン太!!!」
「アストラァ!!!」
完全に使いこなせるようになった【キルデビルLv.2】でニャン太兄ちゃんに襲いかかった。手加減はしない。誰にも邪魔はさせない。
ケリをつけよう。ニャン太。
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