第十四話 【Y】
小説を書く時間は出来ましたが、いつ出来なくなるか分かりません。そうなった時は恐れ入りますが、しばしお待ち下さい。
カツッ……カツッ……と一秒ごと程に足音が廊下に鳴り響く。その男は奇妙な笑みを浮かべて歩いていた。
横に立つ男は背中から翼の形に黒炎が出ていた。表情筋をピクリとも動かさずに黒炎男は歩き続けた。
二人が暗い廊下を歩き続けると、目の前には明るい部屋が見えてきた。目が痛いが、そのまま部屋の中に目を向け続けた。
「あ、ボス!」
ボスと呼ばれるその男の名は『ガストロ』。古びたボロボロの服に、金髪の髪が目立つ男だった。
「俺もいる。」
「会議に参加するの久しぶりじゃねぇか?ゴステラ……いや、『強欲』。」
「何も得られん会議には参加しない。」
ガストロの隣に立つ男は『強欲』の称号を持つ、『ゴステラ』。『怪物達』の幹部の一人である。
部屋の中の、会議用の長机についている椅子に座っている者に目を向ける。
左から、『傲慢』、『暴食』、『色欲』、『憤怒』。
『傲慢』こと『マイン』は、左目から稲妻のようにも見える黒炎が吹き出している。
『暴食』こと『ラビⅢ世』は、筋骨隆々の人型の兎。人語を喋っている、珍獣。
『色欲』こと『エミ』は、魔法使いのような黒いパーカーを羽織った女性。魔法が吹き出す一メートル程の杖を椅子に立て掛けている。
『憤怒』こと『クラウス』は、ピエロの面を被って、水色の髪をかきあげた男。
「さて、久しぶりに全員会議に集まった事だし、『例の作戦』について話そうか。」
全員。この言葉の真意に気が付きつつも、言葉にはしなかった。
『怠惰』と『嫉妬』は、幹部に含まれていない。幹部ではあるものの、実力不足なので、幹部としてほとんど認められていないのだ。
「全員に話した通り、『例の作戦』が近づいている。これからは本名ではなくコードネームで呼ぶように。」
『例の作戦』。それはいわゆる世界破壊。地球を粉々にしてしまうのだ。それを阻止するべく動いているのが、『隼組』含む『キル家一行』。怪物達もその存在を知覚していた。
「そして、作戦の為に二つ確認しておくことがある。一つはこれだ。隼組の幹部。」
そう言って三枚の写真を出した。
一枚目には「ランド」と呼ばれる白髪の男がのっていた。赤色の目に黒色の装いが絵になっている男。
二枚目には「セカイの主」がのっていた。赤子でも知る、世界を守る者。取って付けたような球体の頭に、二頭身ほどの体。王者を思わせる装いをしていた。
三枚目には「マグナム」と呼ばれる男。逆に裏社会の人間でも知っている者は少ない。見るからに固く動きにくそうな上着を着ている。
「こいつらが敵になる。準備しときな。そして最後は……」
壁に取り付けられたボタンをバンッと押した。すると、地面から液体が入ったガラスがガシャンッと出てきた。中にはスイカの模様の帽子のような物が頭に着いている怪物が現れた。
「こいつの名前は【Y】。最悪な怪物さ。」
ガラスを突き破ってYが出てきた。人型、小学生程の身長の怪物がでてきた。まるで地獄のゴングのように。
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