第十二話 裏切り者
休載申し訳ありません。今も書ける隙に少し書いているだけなので、休載になる可能性がまだあります。すいません。
「裏切り者…!?」
ハート姉ちゃんのさらりと言った言葉に驚きを隠せず声を上げた。だが落ち着いて考えるとある違和感に気がついた。
「え、なんでそんなこと分かったんだ?」
当たり前のことだった。『怪物達』と何らかの交流がある訳でもないのに有り得ない。そう思った。と言うよりそうであって欲しかった。だが一蹴するようにハート姉ちゃんは言った。
「庭に『怪物達』に対しての手紙が書いてあった。しかもご丁寧にその名前まで。」
『怪物達』というのは、キル家と隼組の使用している仮称なので他の誰かが知っているはずがない。
その説明を聞いてもまだ納得いかなかった。
「だからといって何で俺たちのメンバーの中にいるって分かるんだ?」
そう聞くと先程の手紙を差し出した。手紙は乾いている。それを見て気がついた。
俺たちは『時の悪魔』こと長男「キル・タイム」の基地に訪問していた。その直前、通り雨が降っていた。なので手紙が乾いているということは庭に落ちたのは雨が止んでからということになる。
「余計なことが起きないように私達は誰も外に出なかったの。」
それだけ言って、ハート姉ちゃんは何事も無かったかのようにリビングにスタスタと歩いていった。衝撃からアストラは手紙を持ったまま動けずにいた。
だが数秒後廊下を歩くハート姉ちゃんに何かが襲いかかった。周りの壁に切り傷が大量に出来た。
「姉ちゃん!!」
「危ない下がれ!!」
何者かの攻撃によって起こった煙の中からハート姉ちゃんの叫び声が聞こえてきた。
瞬間煙の中から黒い影が飛んできた。『侵入』の能力で壁の隙間に侵入して避けられた。そこから何者かの顔が見えた。
「ニャン太兄ちゃん…!?」
目にも止まらないスピードで壁も切り刻んだ。
「アァァアァスゥウトォォオオォラァアァ!!」
ニャン太兄ちゃんが叫び声を上げながら飛びかかってきた。体内に侵入しようとしたが、そんな隙はなかった。
腹に切り傷をつけられ、悶えて倒れた。
「っ………」
隼に助けを求めようとしたが、その前に足を折られ、口を押さえられた。
「余計なことするんじゃねぇ…!!」
いつもの特徴的な語尾がなくなっていた。暴れようとしたが馬乗りにされていたので動けなかった。
ハート姉ちゃんが助けを求めてくれるから、裏切り者は倒してくれる。一瞬そう思ったが、気がついた。
そう、ニャン太 (モンスターズ)は俺を倒すのが狙いなんだ。俺には最悪の怪物『キルデビル』が宿っている。それが邪魔だから。ならその思い通りになる訳にはいかない。押さえられた口からモゴモゴと声を発して叫んだ。
「『キルデビル』!!」
キルデビルは呼び出す度に姿かたちを変化させる。今回で二度目。キルデビルは背中からは皮のように出てきて、肉体を覆うようにしてアストラを乗っ取った。
アストラは半身黒、もう半身白色の怪物になった。
【キルデビル Lv.2】
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