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第九話 開戦

一応言っておきますが、隼は人の見た目をして人の心を持ったただの人です。

上空では隼と、敵の男がバトルを繰り広げていた。筋骨隆々の敵の男だったが、時折地面を蹴ることで上空で戦い続けていた。とは言っても、最早ノミと人間の戦いのように、圧倒的な差があった。

目元だけの、白と水色の仮面を被った隼は上空に何故か飛びながら、見えない速度で敵の攻撃を防いでいた。


「あの筋骨隆々のやつ………パーカー野郎と大した差もないのに隼にボコボコにされてるなんて、隼どんだけ異次元なんだよ…」


ブラックが嫉妬で文句を吐き捨てた。攻防の最中に近づいたパニックとパーカー男も、ただ上を見上げていることしか出来なかった。


「くそ………隼ァァァァァ!!」


筋骨隆々の男が怒りで叫んだ。だが、気がついた時には男が開いた口に、隼の背中に生えた翼が突き刺さって、後頭部まで貫通していた。


「久しぶりだ、隼。」

「よぉ、タイム。それとお前ら全員キル家か?」


隼が翼をたたんで、目を覚ましたタイムとツバキの目の前に降りてきた。


「あ、あと一つ言っとくけどあのさっきの筋肉の敵、『不死身(ゾンビ)』のゼロ使いらしいから別に死んではないよ。」


そう話している最中に、ちょうど筋骨隆々の男は立ち上がった。ようやく我を取り戻したパーカー男と筋肉男が隼に飛びかかったものの、近づいた瞬間、反発されたように飛んで行った。


「『怪物達(モンスターズ)』の幹部もこんなに簡単に倒せるなら、ボスも楽勝なんじゃないか?」

「アストラだっけ?勘違いしてるようだけど、こいつら幹部じゃないよ。」


話していると、突然黄色い姿でカエルのような顔の形の裸の生物が現れた。


「………や〇うのお兄ちゃん!?!?!?」

『やぁ、僕の名前は“怠惰”。こんにちは。』

「確かに怠惰!怠惰だけど!?口調が優しすぎて元の形の欠片もねぇ!!」

『彡(゜)(゜)』

「なんなんだこいつ!!」


“怠惰”は突然その場に寝転がった。すると、周りのタイムやパニックもどんどん寝転がっていき、更には植物までもやる気をなくして萎れていった。


「おいおい…“怠惰”ってそういうことかよ…!」

『みんな眠っちゃいなよ。』


その範囲内に入らないように気をつけて、離れた。この状況で怠惰の攻撃を受けていないのは、俺と隼とニャン太だけだった。


「くそ…こっちが本物の幹部か…!」


そんなことを言っていた途端、突然三人の腹から巨大な棘が出てきた。

腹の出血を抑えようと、傷口に『侵入』を使用した。(自分に対して『侵入』を使うと、分身のミニアストラが侵入してくれます。)


『あぁぁぁ!!なんでお前らばっかり!!才能に恵まれたゴミ共が!!』


前には怠惰。そして背後からは身体中から棘が生えた男が現れた。


「挟み撃ちかよ。で、お前名前は?」

『俺は“嫉妬”!!あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!恵まれただけの畜生が!!』


“嫉妬”がそういうと、隼の棘がどんどん肥大化していき、心臓までたどり着きそうになっていた。だが、それでも隼は余裕そうな笑顔で嫉妬を見下し続けた。


「隼!俺の治療は終わった!傷口を見せてくれ!」


そう言ってアストラは隼の腹の治療を始めた。


「お前らからやってきたんなら………そりゃ開戦ってことでいいよなぁ!!」

『あたりめぇだろ!!』


こうして『怪物達(モンスターズ)』と『隼組』の戦いが始まったのだ。

もう気づいてる人いるかもしれませんが、モンスターズの幹部は七つの大罪の名前になってます。

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