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第七話『魔力とは』

皆さん最近地震が多いですね。くれぐれも外出中の地震に気を付けてください。

僕はあまり地震にあった事がないのですが、強いて記憶にあるのが震度3位の時で、プッチンプリンがブルブル揺れてたのを覚えています。

きっと震度6とか来たらプリンなんて粉々に吹き飛ぶんでしょうね。

あぁ、恐ろしや。

 何もわからぬまま連れてこられた訓練場ではバニガール姿の化け物から何人かの若者たちが悲鳴を上げ逃げ回っていた。


 すでに地面には犠牲者らしき青年たちが全身を剥かれ倒れている。


「ひ、酷すぎる……」

「嬉しいわぁマコトちゃんはこっちで講習受けてくれるのね!休憩よ〜、残った人達は地面に倒れてるお兄さんたちを運んで上げてね〜」


 マリアが受講生達に休憩を言い渡す。


「お、終わった……」

「生きてる!生きてるぞー!!」

「探索者になるの辞めよう……」


 生き残った受講生達は疲れ切った表情で地面に座り込む。


「あ、僕はこれで……来る場所間違えたみたい」


 まずい、こんなとこ居たらナニされるかわかったもんじゃない。


 僕は踵を返し入口まで走り出す。


「あらぁ、遠慮しなくていいのよ。次の講習は武器の扱い方よ、じっくりねっとり教えてあげるわ。もちろん二人きりでね……」


 しかし一瞬で回り込まれてしまった。

 気づけば僕は抱きしめられ、なんとも悍ましい犯行宣言をされてしまう。


「嫌ぁぁぁ、犯されるぅぅ!!」

「イヤん、犯すだなんてそんな……誘ってんのか、あ゛ぁん?」


 耳元でそう囁かれる。


「ヒィィィッ!」


 まずいマズイ不味い!


 このままだと貞操の危機に関わる!なんとかしてこの腕から逃げ出さねば!


「あ、あんな所にダンディーでハードボイルドなおじ様が!」

「えっ嘘!」


 好都合なことにこの化け物は脳みそまで筋肉で出来ているようだ。


「こんなとこにハードボイルドなおじさまが来るわけないだろバカが!」


 マリアの腕が少し緩む……が、これだと抜け出すにはまだ難しそうだ。


「よっと」


 僕はマリアの腕に自分の腕を差し込み強引に腕を解く。


「……ッ!おいあれ見たか?」

「嘘だろ……ギルマスのラブホールドを抜け出しただと!?」

「まじかよ、そんな事出来るやつ居たのか!アイツ誰だ見たことねぇ」


 一部始終を見ていた受講者たちが騒ぎ出す。なんだよラブホールドって気持ち悪いな……って


「えっ、ギルマス?」


 聞き間違えじゃないよな?


「……やるじゃないの。そうよ改めて自己紹介をしましょう。ワタシはマリア・グランベール、今は探索者ギルドの総括ギルドマスターをしているわ」


 マジかよ、こんなのがギルマスしてんのか。


「僕はマコトです。それでは」


 僕も名前を名乗ると再び扉に走り出す。


「まぁまぁ、ちょっと待ちなさいよ」


 しかしマリアに一瞬で回り込まれ再び捕まってしまう。

 今度は先程のような抱きしめ方ではなく、首に手を回し、その足で下半身の関節をきちんと固定した形で地面に座らせられる。


「むぐぅ……」

「大丈夫よ。頸動脈は締めてないし息も出来るはずよ」

「……ホントだ」


 確かに動けないだけで苦しくない。


 だけど暑苦しい!何が悲しくてオカマに拘束されなければならないのだろうか。


「安心して頂戴。おじ様からあなたの講習を頼まれたのよ。今日は戦い方をみっちり教えてあげるわ」


 身動きを押えられながら耳元でねっとり話しかけられる。

 吐息が耳にかかってくるのがとっても不快である。


「ハハ……お手柔らかに……」


 僕はおとなしくいう事を聞くしかなかった。




〜〜〜




「えっと……何故僕は両腕を縛られているの?」


 先ほどの場所から少し離れたところで僕は両腕を後ろに縛られていた。


「これがギルドカード再発行の課題よ。その状態で魔法を使わずに私に触れられたら文句なしで合格よ」


 ふと、僕一人にこんなに時間を割いていいのかと不思議に思う。

 僕以外にいた受講生達の面倒は良いのだろうか。


 ふと少し離れたところを見れば、僕以外にいた他の受講生たちは向こうで人形の的にむかって武器の取り扱いを練習していた。


 化け物がいなくなったからか先ほどの様に、鬼気迫る表情を浮かべる物は一人もおらず、全員が笑顔で訓練している。


「さぁ、いつでもかかってらっしゃい」


 気づけばマリアは開始の合図を出していた。


 ふむ、どうしたことか。

 僕の前に佇むこの巨漢は物凄い圧を出していて思わず足が動かなくなりそうだ。

 しかしそれも束の間、とりあえず近づかなければどうしようもない。


 とりあえず姿勢を低くしてマリアに近づいてみる。


 マリアは少しも動くことなく僕の事を待ち構えていた。

 その笑顔に何かむかつく物を感じるが、速度はそのままに不格好ながらも何発か蹴りを入れてみる。


「ん?」


 不思議なことが起こった。


 結論から言おう。僕の攻撃は一発も当たっていない。

 そしてマリアはその場から一歩も動いていなかった。


 動くことなく、僕の攻撃を紙一重で、首をかしげる、腰をまわす、状態を反らす、主にこれだけの動作ですべて避けたのだ。


 腐ってもギルマス、僕みたいな奴の攻撃なんか遅すぎるか。


「……マコトちゃん、別に身体能力だけじゃなくていいのよ?魔力をつかったりスキルを使うのは大丈夫よ」


 そんな僕の様子をみてマリアが不思議なことを言い出す。


「ん?魔力って、あの魔法とかに使うアレ?」

「……あ~そこらへんで記憶が止まってるのね」


 どうやら僕は魔法に関しての記憶もどこか消えているらしい。


「仕方ないからちょっとだけ教えてあげるわ」


 そういうとマリアは僕の腕の拘束を解く。

 そしてどこからだしたのか、ホワイトボードで絵を描きだす。


「いい?魔力は身体に纏わせて身体を強化することができるわ。これが今のマコトちゃん、それでこれが今の私」


 ホワイトボードには少女漫画風に描かれた僕と大量の花びらで囲まれたマリアらしき女の子が掛かれていた。


 どうしてもその絵柄に目が行ってしまう所ではあるが、ここで言う魔力とはこの花びらの事だろう。


 ホワイトボードの中の女の子の周りには、いくつかの花びらが一定方向に循環するように描かれていた。


「何となくわかったような?」

「大丈夫よ、多分身体が覚えてるわ」

「そんな適当な……」


 体が覚えてると言ってもそれをどうやって思い出せと言うのか。


「とりあえず両手を出して」

「……うん?ヒィッ!」


 言われたとおりに両手を出すとマリアにがっちりと手を掴まれる。


「何もしないわよ!ミコトちゃんに怒られちゃうでしょ」

「……本当?」


 いや待てよ?それはミコトがいなければ何かするという事では……まぁいっか!

 僕は思考を放棄し、とりあえずミコトに感謝だけしておいた。


「とりあえず!今から私の魔力をマコトちゃんに流してあげるから、ちゃんと感じ取るのよ」

「え、何かやだ」


 ようするにマリアの体の中のエネルギーを僕に流すってことだろう?

 なんか鳥肌立ってきたかも。


「んもう!照れちゃって可愛いんだから」

「……まぁいいや」

 

 しばらく悩んだのち、半場諦めたように提案を承諾する。


 確かに、現状それしか魔力を感じる方法がないのも事実。

 このオカマ、なんだかんだしっかりしてるところはありそうだし。素直に従った方が速そうだ。


「じゃあ行くわよ」


 次の瞬間

 マリアから何か熱を帯びた……何だろう……例えるなら、夏によく見る地面が熱せられた時に出るあのもやもやみたいな何かが流れて来る。


「……これが魔力?」

「そうよ、それを自分で出して体に纏ってごらんなさい」


 目を閉じ集中する。

 体の隅々まで意識を巡らせ、体に流れる魔力らしき物を知覚する。


「……こう。いや、こうか?」


 少しずつ、自分の中の魔力とやらをコントロールしてみる。

 

 段々と体が熱を持ち始めた。

 しかし汗をかくほど熱くは無い、ただ細胞が活性化しているような感じだ。


「うん、順調そうね。準備が出来たら呼んで頂戴。ちょっとほかの子たちを見て来るわ」


 マリアの足音が少し離れ、受講生たちの方向へと向かい出す。

 次の瞬間には受講生たちの悲鳴が上がりだした。


 すまんみんな、頑張ってね! 




~~~




 魔力を感じようと目を瞑って恐らく数十分。僕は未だ苦戦していた。


 魔力の流れを感じ、その流れをコントロールする所までは行ったのだ。

 しかしそこからだ、一体魔力をどうやったら身体が強化されるのか、いまいち想像ができず苦労している。


 でもできるようになったこともある。例えば両目に魔力を流すと人の持つ魔力の色が見えるようなった。


 少し離れた場所の他の受講生たちを見てみる。


「はい!とりあえず武器を下ろして。まずヒントをあげる。この人形は結構高ランクのモンスターの皮膚を使っているからただの攻撃じゃ少しも傷が付かないわ。技術、魔力、魔法、スキル、持ってる物は全部使って攻撃してみなさい」

「「「「ハイ!」」」」


 マリアからは青白い濃い魔力が立ち上り、他の受講生からも、それぞれに淡い魔力が漂っていた。


 そして意外なことに、マリアはまじめに他の受講生たちに訓練を付けていた。

 やはりあのオカマ、きちんとやるべき事はわかっているようだ。少し見直した。


「はっ!違う違う!」


 マリアを褒めている場合ではない。

 何か参考になる物は無いかといろんな人の魔力を見てみる。


「あれ?」


 そして途中、大きな鏡が訓練場の端に立てかけられているのを見つける。

 鏡の中でもマリアや、他の受講生たちの魔力を見ることはできた。

 ただ一人、僕を除いて。

 

「いや、魔力は出てるはず……」


 感覚では僕の周りにも魔力が動いているのを感じる。

 ならば何故僕の魔力は鏡に映っていないのか。


「……魔力……個人差……色……ハッ!」


 少し考え、あることに気づく。


 目を瞑り、再び魔力に集中する。


「どこだ……ッ!あった!」


 その存在を認識し、目を見開く。


 鏡に映る僕の周りには赤い魔力が漂っていた。


「なるほど、こういう事だったのか」


 さて、一体僕が何に気づいたのかまだ分かっていない人が大半だろう。

 一言で表すなら魔力の色、だ。


 昨日浴場でレンが魔力には色があると言っていたのを思い出した。

 事実、マリアやその他の人たちにも魔力に色が出ていた。そして僕だけ何も見えなかった。

 そこで僕は気づいたのだ。


 もしかして僕の魔力って透明色なのではないかと。


 そして次に気づいたことは色別の効果だ。


 周りの人を見ていると赤い魔力の人の身体強化は瞬間的に体の一部に魔力を纏って部分的に力を増幅。

 青色の魔力の人はゆっくりと魔力を全体に纏って感覚を強化している気がした。

 黄色の魔力も身体全体に纏っている気がしたが、どちらかといえば内臓寄りになっているようで持久力が高そうだった。


 とまあ、こんな感じで、色事に特徴があることに気づいた。


 そして予想通りならば僕の魔力は透明、恐らく何もできない。

 しかし、自称元同僚のあのオカマがそれを知らなかったわけがない。

 半場決めつけで何か突破光が無いか探してみた。


 そして見つけた。


 僕の中にごくわずかに三色、赤と青、それから黄色の魔力があること、そして透明な魔力はほかの魔力に同調して染まっていくこと。


 今の状態は全身に巡る透明な魔力を赤に染めただけだ。




「気づけたようね」

「ッ!」


 この発見に興奮していたところ、背後から声がした。

 気づけば、先ほどまで受講生たちにアドバイスをしていたマリアが僕の真後ろで寝ころんでいた。


「それで、再会する?どうする?」

「やる!」


 僕は即答で試験の再開に同意した。

 今はただこの状態で何ができるのか試してみたい。




~~~




「それじゃ始めるわよ。開始!」


 訓練場に野太い合図が響く。


「ふっ!」


 次の瞬間には僕は全身を赤い魔力で強化してマリアに突っ込む。


 もちろん軽くいなされ僕はマリアを通り過ぎる。

 しかし僕の狙いはそれだ。



 そのまま地面を踏みしめバックステップでマリアにぶつかりに行く。

 この試験の内容はマリアに攻撃を当てるではなく触れることが合格条件。


 わざわざ格闘経験がない僕が蹴りでこのオカマに攻撃を当てる必要は毛頭なかったのだ。


「ッ!」


 意表を突いた動き、これで当たれば楽だったのだがやはりギルマス、そう簡単に触らせてくれないみたいだ。


「なるほど、こういう感じか」


 僕は魔力の使用感を体を捩じったり飛び跳ねたりして確認する。


「油断したわ、ここからは本気よ。かかって来なさい」


 そんな僕を見て少し焦ったのかマリアから殺気と呼んでも差し支えないほどの圧が飛んでくる。

 僕はそんなマリアに少し恐怖しながらも、前傾姿勢で突っ込んだ。


「もう一回!」


 僕は


「それはもう見たわよ」


 ありがたいことに騙されてくれたようで、マリアは僕をきちんと目視し、軽く避けようとする。 


 だがそれは予想済みだ。


 最初からマリアは最小限で僕の攻撃を避けていた。今回の突進はマリアの左半身に向かって突っ込んでいる。


 マリアからすれば当然少し横に歩くだけでよけれる攻撃。


「引っかかった」


 マリアが僕を避けようと予想通り、横に動く。


 マリアと突進する僕が横並びになった瞬間、僕は密かに足へと纏っていた大量の魔力をフル稼働、進行方向を無理矢理変えた。


 そのまま僕は真横に向かって地面を蹴る。


「ちょっ、まずっ!」


 体に少し大きい衝撃が響く。

 地面に倒れ、急いで前を見上げる。そこには直立で唖然としたマリアがいた。


「……はぁ、侮ったわ。合格よマコトちゃん」

「へ?」

「合格だと言ったのよ。はぁ、四年もブランクあるマコトちゃんに一本取られるなんて私も鈍ったかしら……これじゃレンちゃんの事言えないわね」


 マリアは少し残念そうに微笑みながら僕の腕の拘束を引きちぎる。

 しかも片手で引きちぎってしまっているのがつくづく化け物だと感じさせる。


 きっとハンデ無しのなんでもあり真剣勝負だったら

 当然一瞬で負けるんだろうな。

 

「うぉぉぉぉ!!」

「すげぇ!アイツ、ギルマスから一本取ったぞ!」


 そんな事を考えていると少し離れたところそんな言葉が聞こえる。

 どうやら僕とマリアの勝負を観戦していたようだ。


「これで試験は終わり?」

「ええ、文句なしの合格よ。あとは……そうね、自分の武器でも選んでみる?」


 そんな提案をしてくる。


「武器?」

「そうよ、どうせ自分がどんな武器を使ってたか覚えてないでしょ?」


 武器、確かにどんな物を使ってたのか覚えてないな。探索者だったのも覚えてなかったし当然と言えば当然なのだが。


「……弓」


 ふと自分の部屋に飾られていた黒い弓を思い出す。


「あら、覚えてるじゃないの。せっかくだし前とは違った武器を試して見るのもありだと思うけど……一回試し撃ちしてみる?」


 するとマリアはどこから出したのか煌びやかな白い弓を僕に手渡す。


「あれ?さっきから思ってたけどホワイトボードとか弓とかどこから出してるの?」


 一体いつの間にそんな物を容易しているのか、好奇心から質問してみる。


「ん?これの事かしら?」


 するとマリアは目の前の何もない空間に手を突っ込んだ。


「ん?」


 僕の目はおかしくなったのだろうか、マリアの腕が急に消えてしまった。

 さっきマリアに突進したときに頭でも打ったのかもしれない。


「これは私のスキルよ。『空間術式』って言ってね、他にも色々できるのだけれど何気にこれが一番使い勝手がいいわ。アイテムボックスと同じ感じね」


 なるほど、そう説明されてしっくりくる。確か病院から退院したときにミコトが言ってた気がするな。

 こんな便利な使い方もあるのか。


「それで、矢は?弓だけじゃ射れないよ」


 とりあえずこのオカマの事は割り切って、手元の弓を試してみる事にする。


「それはマジックアイテムよ。弦を引くだけで勝手に矢が生成されるわ」

「それまた凄そうだ。……こんな感じ?あっ、ほんとに矢が出た」


 とりあえず弦を弾いて構えてみる。

 不思議と手元になじむ感じがする。


 体が覚えているのだろうか自然と弓を引く時の姿勢が分かる気がする。


「あら、完璧じゃない。やっぱり弓を構えてるときのマコトちゃんが一番かっこいいわぁ……食べちゃいたい」

「……」


 なんだか気持ちが悪いことを言っているのでとりあえずこのオカマの足元に矢を射ってみる。


「ちょっと!危ないじゃないの!」

「それで、的はどれ?」


 オカマが抗議してくるがとりあえずスルー。

 もう一発足元にお見舞いして的の場所を聞く。


「んもう!的はあれよ、あの人形ならそう簡単に壊れないわ、結構なお金をつぎ込んで開発してるからね」


 マリアはそう言って少し離れた場所にある人形を指さす。


 距離にして大体60メートル、僕は静かに弓を構える。


「……そういえば魔力って武器にも乗せられるのかな?」


 ふとそんな疑問が湧いてきた。


 思い至ったが吉日、とりあえずやってみよう。

 少し目を瞑ってイメージする。体だけでなく弓にまで魔力を巡らすイメージ、纏わせる魔力はそうだな……よし、赤色と黄色、両方にしよう。


「よし……」


 僕は集中して弓矢に魔力を纏わせる。心なしか弓は淡く光り始め、高い音を鳴り響かせている……気がする。


「あ、あの。マコトちゃん何やって―」


 なんだかマリアの焦った声が後ろから聞こえる。

 しかし時既に遅し、もはや弓は引き絞られ後は弦を離すだけ。


「……え?」


 パァァン!


 気持ちのいい破裂音が響いた。

 振り向いてみたマリアの顔は驚愕に染まっており、的の方からなんだか大勢の声が響いてくる。


「ん?何が……」


 改めて僕が狙っていた的を見る。

 そこには何もなかった。

 

 そう、的、そしてその奥の訓練場の壁さえも。


「マコトちゃん。弁償ね」

「はぁぁぁ!!?」

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