マネージャーです…
これは、ある事務所に入社したばかりのボクのマネージャーとしての仕事を書いた日記である。
ボクはマネージャーになり初めての仕事は、売れてるとは言えないし、売れてないとは言えないアイドルグループだった。
自己紹介をするために、事務所の会議室に入るとテレビで見ていた人達が椅子に座っている。
「山田太一です
ヨロシクお願いします」
軽く会釈すると、リーダーである大島が「ヨロシクな」と言いながら二百円を渡してきた。
太一は子供じゃないんだけどと思いながら「ありがとうございます」と言った。
大島は軽く笑いながら「あげるんじゃなくてお茶買ってきて
お釣はあげたるから」
と言って椅子に座った。
「はい…」と言って太一は会議室を出た。
太一は事務所の廊下を一人で歩いていた。
昼になると廊下の人通りが少なくなる。
「自販機ねぇや…」
段々速足になる。
遠くに自販機が見えた、誰かが買っている姿が同時に見えた。
太一が近付いていくと見覚えがある人影が見える。
「大島さん?」
「あ~新人くん遅いから自分で買ったわ」
お釣をポケットにしまって会議室に戻って行った。
太一も慌てて後をついていく。
会議室までの道のりで会話がなく気まずい空気が二人を包む。
太一は二百円をどうすればいいのか悩んでいた。
「なぁ新人くん」
気まずい空気を破って大島が聞く。
太一は驚きながら「なんですか?」と聞き返す。
「なんでマネージャーになろうと思ったん?」
太一はちょっと恥ずかしそうに「笑わないでくださいね…」と言った。
「なんや、アイドルと付き合うつもりやったんか?」
「違いますよ!」
顔を真っ赤にして太一は首を振る。
じゃあ何やねんと言いながら歩き続ける。
「実は………養成所あるじゃないですか?」
「マネージャーのやろ?
それ出たんやったんか?」
「はい、芸人科と入り間違えました」
大島が立ち止まる。
太一は気付かずに歩き続け、大島を抜いてから気付いて止まった。
大島の顔は笑いを必死でこらえて真っ赤に染まっていて。
太一は、笑っていいですよと言うように手を上げた。
すると、声こそは出さないが腹を抱えて笑っていた。
会議室のドアの前で笑い終えて「まぁ、新人くん頑張ってや
ウチみたいに明るいやつだけやないしな」
ドアを開けて会議室に入っていった。
太一はファイルを開いて「マネージャーです……」と呟いてドアを開けた。




