シルバードラゴン
あ、知らない天‥‥鍾乳洞だね。
ども、クルトです。
どのくらい寝ていたのか、少しボーっとしています。
身体の調子は、あれ?なんか調子いいな。
意識が、はっきりしてきたら、何だかメチャメチャ体調が良い。寝る前にあった疲れも身体の痛みも、きれいに無くなっている。あちこちあった小さな傷もきれいになっている。
やっぱり睡眠て大事なんだなぁ、って言うんじゃ無くて、どう考えても目の前にある淡く輝きを放つ黄金の泉のおかげだよね。
スゲー万能感があるな。やっぱり癒しの泉とか、ゲームみたいだなぁ、どこかにドラゴンとかいたら見てみたいよな!
さて、もう少し頑張るか、腹は少し減ってるけど‥‥‥でも、なんか違和感があるんだけど、なんだろう?
グゥ~と腹が鳴る。くそっ、とにかく、ここから出ないと、見たところ泉以外なにも無さそうだな。
どこか行けそうなところは、泉の向こうに上のほうに隙間があるな。
登ってみるか、その前に、もう一口泉の水を飲んで、登って行く。
登りきる最後の出っ張りを掴んだとき、ぐんと引っ張られて、あっと思う間もなく、ストンと転がされた。
ドサッ
「いって、あれ?」
「グルルルルル」
ばっと見上げると、銀色に輝くドラゴンがいた。
なんとなく違和感の正体がわかった。
ヤバいって、こんなのが居たら身体の感覚が拒否反応して、まともに魔力を感知なんてできる訳ないよ。
わかったとたんに、ブワッと冷や汗がわいた。
思わずクラっと後ずさった刹那の瞬間に、
スパンと右脇腹から左胸にかけて切り裂かれた。
血が吹き出る。息が止まる。死ぬか、ちょっと待て、傷口に魔力を纏う。感覚を鈍くする。感覚を無くすと魔力も上手く使えない。
まず、血を止めた血管を繋げる。同時に神経を繋げ内臓を繋げ、骨を肉を繋げ再生する。
流れ出た血は、傷付いた細胞肉片わ身体の外に弾き出して皮膚わ再生する。
「ゲホッゲホッ」
肺と胃から血を吐き出した。時間にしたら数秒だろうか、改めてドラゴンを見たら、その目の瞳孔が縦に細くなる。
ドラゴンの口元から魔力が溢れ、こちらに向かって炎のブレス発射される。
ブワッと高熱の炎が迫ってくる。身体の前に炎の壁を展開する。矢印のように角を前に両脇に受け流すように、その次に窒素と二酸化炭素の壁を挟んで、また炎の壁、空気の層を三重にしてブレスを受け流していく。
ブレスを受けて一層は、一瞬で消し飛び二層の炎の壁を受け流す為に左右に削り、それでも10数秒ほど持ったか、最後の三層目の壁にブレスがぶつかる。炎の壁に魔力を注ぎブレスを受け流す。
熱で皮膚が、ジリジリと焼けていく、髪の毛も煙を上げている。
そしてブレスが炎の壁を貫いて僕は炎のブレスに包まれ意識を失う。
‥‥‥「う、あぁ、え?生きてる?」
「お目覚めですか?」
ビクッとして、声の方に目を向けると、巌のような巨体をタキシードのようなスーツを着た人影が、こちらを見ていた。
「オーガ!」
口元の牙を見て、思わず声が出てしまった。
「ハッハッハ」
と、重低音の笑い声が響く、僕はすぐに失礼なことを言ったと思い謝ろうとしたら、
「わたくしは、オーガではございません。ハイオーガでございます」
「へ?」
良く見たら、牙どころか頭に短かめの角が有った。
絶句していると目の前のハイオーガは、やうやうしくこちらに対して、
「我が主より、あなた様を客人として遇するとされましたので、ご安心下さい」
驚いていた僕は、ハイオーガの執事さんに促され入浴、食事をいただいた。
もちろん、それほど上等ではないが、衣服の提供もあり、こちらに気を使っている様子が伺える。
「我が主の元へ、ご案内致します」
と、僕を案内して、前を進んで行く。
後をついて行く、部屋もそうだが落ち着いた上質な貴族の館のようだ。本物は見たことないけど、
やがて大きな扉を開け、室内に招き入れられる。
広い部屋の中では、銀色の少女いた。
少女は、僕を見て口を開いた。
「お前は、転生者だな?」