盗賊討伐
どうも、クルトです。少し寝ていたみたいです。
どのくらい寝ていたのか、わからないけど、盗賊たちは、まだ騒いでいるようです。
幾分、ダルさが抜けたようだし、本格的に、どうしようか考えなければ不味いでしょう。
暗い中、いつまでも寝たふりもできない、とりあえず周りの様子が、わからないとどうしようもない。
うん、こういう時こそ魔力を目に集中して、デビルアイなら透視力~♪‥‥思わず歌ってしまったが、そんな歌、知らないはずなのに、前世の記憶に引っ張っられてるのかな?
まぁ、切り替えて行こう、いま大事なのは、ここを切り抜けることだ。
薄ぼんやりとだが、見ることができた。
部屋の端に子供たちが、固まっている。その反対側に箱や樽が置いてある。
僕は頭を部屋の奥側で、足の方向に入口があるのだろう。首を動かしてわかるのは、これくらいか。
僕はまだ寝た振りをしている。ダルいからではない、お腹が空いてるからだ。昨夜、薄い麦粥を食べてから、何も口にしていない。
それに洞穴のためか、息がしずらい、酸素が足りない。
空気に名前があるなんて思いもしなかったよ。
酸素に、窒素、二酸化炭素、と考えていると、視界に、うっすら色が付き動きを見せて、ゆらゆらしてる。
直感的に空気が見えてると思った。
確か普通は、八割近くが窒素で、酸素が二割弱のはずなんだけど、狭い部屋に閉じ込められてるからなのか、二酸化炭素らしいのも少し多いな、酸素らしきものを吸ってみる、少し落ち着いた。
こんなのも見えるんだと感心した、子供たちにも酸素を流してやろう。
だけど、やっぱりお腹が空いてる。何か口にしたいと思っていると、キラキラ見えるものがある。
まるで、太陽の光の中に、細かい埃が舞っているようだ。表現は、ちょっとアレだが正にそんな感じで漂っている。
魔力を切ってみると暗がりが見えるだけだ。
もう一度キラキラに注意して見てみると、頭の方向にある土の壁の亀裂から出ている。
触ろうと、静かに手を出した、するとキラキラは手についた。
これは魔力か?それも飛びきりの濃厚な!
なんで、こんなところにと考えていると、 外からさっきまでと違う騒ぎ声が聞こえてきた。
これは、デビルイヤ~は地獄耳~♪と言うことで、耳に魔力を集中してみると、
ヴっ、凄い雑音と罵声に悲鳴、ヤバい良く聞こえるけど意味わからん、どうにもならんか。
そういえば、デビルアロ~は超音波~♪ってアニメでは武器の能力だったけど、超音波は周りの様子を、跳ね返りで感知することができたはずだよね。
それなら魔力を乗せたら知りたいことが聴けるかも‥‥ドアもボロいし上も下も隙間が空いてるしやってみよう。
ドサッ、ぐぇっ、やっちメェー、ギャー
明らかに争ってるな、助けか?
子供たちも気がついたらしい、ざわついてる。
そこで、超音波で囁いてみる。デビルボイスかな?アニメにはなかったけど、
<< 扉が開いたら、隙をついて逃げろ >>
うまく聞こえたのか、さらにざついている。
蹴やぶるような勢いでドアが開かれる。
剣を手にした盗賊が一人、飛び込んで来た。
すぐに << 目の前の子供を人質にしろ >> と、囁いてやった。
盗賊が、かがんで僕に手を伸ばした隙に、子供たちへ
<< 今だ、逃げろ >> 囁いたとたんに
「逃げろ!」 「助けてー!」と、子供たちが、入口から出て行く、
「どわっ?」 「子供!」 「おい!そこの二人、子供を連れていけ!」
入口に、領兵らしい軽鎧を着けた男があらわれた。
盗賊は、僕を引き寄せ、剣を突き付けながら
「てめえ!やりすぎだぞ!どういうつもりだ!」
「領兵が盗賊を討伐するのは、当たり前だろう」
「てめえ、騙しやがったな!」
領兵は、ニヤリと笑い脇に避ける。
「ファイアボール」後ろにいたローブの男が魔法を放つ。
炎が部屋の中で炸裂する。
ボワッ、ドガガン! がらがら
「こら!ちったあ、加減しろ!」
「ゴホッゴホッ、張りきり過ぎたぜ」
「たくっ、だが、上手くいったな」
部屋の中には、焼け焦げた死体の上半身が崩れた瓦礫に潰されていた。