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攻略対象と接触!?


 週末二日目。私は王都から少し外れた場所にあるギルドにやってきた。ストレス発散として魔物退治をするためだ。しかし……


 "なんで攻略対象がここにいるんだよ!!"


 見覚えのある攻略対象三人の姿が見えた。私は疲れ切った風を装い、急いでテーブルに顔を伏せる。私にここから先のゲームの知識はない。だが、攻略対象をパーティに入れて戦闘ができると聞いた覚えがある。ギルドに攻略対象がいてもおかしくない。というかもっと早くに気がつくべきだった。とりあえず今はこの場を去ろう。


「ゴブリン、大量の群れを討伐!二人一組でそれぞれに高額報酬が出る!」


 ゴブリンの群れ!?確かに雑魚ではあるが、大量の群れなんてそうそういない。私は攻略対象のことなど忘れ、ギルドの受付に向かい、こう言った。


「引き受けます!」


「お見受けするところ、一人のようですが……この依頼は二人一組となっておりまして」


 いつもならば父がいるが、今は父も男爵としての仕事で手一杯のはず。一緒に父とという訳にはいかない。せっかくのチャンスだが、ここは見送るしかないな。私はギルドから出ようとした。


「私もお相手がいないんです。よろしければ私と組みませんか?」


 そうやって声をかけてきたのは第一王子、フリージアだった。私があの時の男爵令嬢だって分かってるよね?なんか初対面みたいな対応なんだが……あと、いくら国民が自分の顔を知らないからと言って堂々と変装もせずにその場に王子がいると思うだろうか。否思わない。今でも十分混乱する状況だというのにさらに人が加わってきた。


「その人には私が声をかけようと思っていたんです。抜け駆けはやめてください。私と組みますよね?」


 そう言ってきたのはブローディ・ブルースター。ルピナスの兄だ。しかし異母兄弟なので、年は同じ。そしてブルースター公爵、宰相の息子だ。もうすでにカオスな状況だというのにまた人が加わってきた。


「綺麗なお嬢さん、俺と組まない?」


 そう言って後ろから私の肩に触れてきたので、私は振り返ってそれを避けた。この人は名前をド忘れしたが、騎士団長の息子だ。攻略対象の三人が金髪、銀髪、茶髪なのは覚えてる。ちなみにこの人が茶髪で宰相の息子の方が銀髪だ。


「そうですね。ではあなたに決めてもらいましょう。恨みっこなしということで。誰と組みたいですか?」


 フリージアがカオスと化した状況をまとめ、私に判断を委ねた。


 "あ、これ誰と組むかでルートが決まる気がする!?"


 「モネ恋」は一人を選んでルートが進んでいくタイプの乙女ゲームだ。そして、今まさにそれぞれの名前の選択肢が示されている状態。これはルート選択だ。間違いない。


 "だけど、私はモリオンルートを攻略したいんですけど!?"


 AとBの選択肢がある中、Cを選びたいのだ、今の私は!どうする?ゴブリン退治は諦めるか?でもそれは魅力的だし……あっ!思い出した。この人にしよう。


「銀髪の人で」



***



 現在私たちはゴブリン退治に向かっている。ゴブリンは森にいるらしいので、今は森への道を進んでいる。


「何故私を選んでくださったのです?」


 宰相の息子、ブローディは歩きながらそう聞いた。太陽に照らされると彼の銀髪が煌めく。


「メガネかけてて後衛っぽいからかな。私が前線に出てゴブリンを薙ぎ払うから相方は正直必要ないし」


 実際の理由はブローディには婚約者がいないからだ。ルピナスから聞いたのだが、茶髪の方は婚約者がいるらしい。しかし、茶髪は遊び人なので、婚約者からの妨害よりかは彼の遊び癖にヒロインが振り回されるらしいが。だから、その婚約者は影が薄く、悪役令嬢の括りには入らない。一方ゲーム上ではブローディに婚約者はおらず、妹であるルピナスが妨害する。だから、私はフリーのブローディを選んだのだ。


「私も前線で戦えます。よっぽど自分の腕に自信があるんですね」


 ブローディの皮肉混じりの言葉に私はこう返した。


「うん!戦闘には自信がある!」


「脳筋バカと組んでしまった気がする……」


 ブローディは視線を逸らし、苦悩するように小声で呟いた。私にはそれが面白くって笑顔でこう言った。


「それは気のせいじゃないね!私は脳筋だよ」


 ブローディの大きなため息が聞こえたが、私は聞こえないふりをした。しかし、この対応には理由がある。それは……


 "間違ってもブローディと仲良くならないためだ!!"


 私の本命はモリオン!気を持たせるような行動は厳禁。あくまでも魔物を退治するためのビジネスパートナーなのだから。しかし、男女二人で行動……これは浮気になってしまうのか!?(*まだ付き合っていない)私の一番はモリオンだから心配しないで!(*まだ付き合っていない)いやモリオンの心眼があれば私の真意は読める。やましいことは何一つないから大丈夫だね!(*まだ以下略)

 ガサガサ……森へ入ってしばらくすると私達の足音とは違う音が聞こえてきた。私は立ち止まり、背中の剣に手をかけて辺りを見回す。ブローディも臨戦体勢を取る。


 "後ろだ!!"


 私はそう気がつくとブローディを押し退けるように後ろを振り返り、飛び込んできたゴブリンを剣で薙ぎ払った。森のもっと開けた場所に誘導して戦うつもりだったんだが……よし逃げながら誘導するか。私は剣を背中の鞘に戻し、ブローディをお姫様抱っこで抱えると走り出した。


「な、何をしている!?」


 ブローディは驚きながらも首に手を回し、落ちないようにしている。


「ここは死角が多すぎる!数が多い雑魚相手なら私達が隠れられる利点よりも敵が隠れている危険性の方が高い!広いところに出ないと!あと喋ったら舌噛むよ!」


 私は前方に敵がいないか、後ろのゴブリンとの距離に注意しながらそう叫んだ。ブローディは大人しく黙り込んだ。私が走り抜けていくと視界が開け、湖に出た。よし水の魔法で……


「ここは私に任せてください」


 ブローディは私から降りると湖に足を踏み入れた。しかし、彼は水の中に落ちていかない。


 "湖の水面が凍っていたからだ"


 基本の四属性の魔法、火、水、風、土。その他の派生した魔法は適正がある人のみが使える。私はブローディが水属性魔法の派生、氷属性魔法の適正があるのだと理解した。ちなみに私は四属性だけなので、それを極めている。そしてこう聞いた。


「ゴブリン全員、氷漬けにできる?」


「えぇ」


 ブローディは悪い笑みを浮かべた。私は邪魔にならないように凍った湖の上を歩いてブローディの後ろに下がる。ゴブリンの群れが飛び込んでくるや否や湖の氷はそちらの方へ向いて……


 "ゴブリンの群れを一瞬で氷漬けにした"


 見事な手腕だった。聞いてみたものの、本当に全員氷漬けにできるとは思っていなかった。仕留め損ねたものは私が前に出て倒そうと思い、剣に手をかけていた。私はその手を離した。


「で、誰が後衛だと?」


 ブローディは私の方へと振り向き、片方の口角を上げる。私は笑顔でこう言った。


「人を見た目で判断しちゃダメだね!ごめんね。それじゃ、帰ろう!」


 魔物を倒し終えたならブローディにもう用はない。さっさと帰ろう。


「あっ、ちょっ……今回の戦い、私が全て仕留めたのですが?あなたの分の報酬も私が貰うべきでは?」


 ブローディは急いで私の後を追ってきた。私はチラッと後ろを見てすぐに前を向く。


「でも、戦いづらいところからここまでお姫様抱っこで運んであげたのは私だけど?」


「あそこでも十分に戦えました!!」


 やはり女性にお姫様抱っこされたのは屈辱的だったか。彼は声を張り上げていた。


「どうだろう……あそこで氷漬けにするとなると面倒じゃない?木もいっぱいあるし。ああいう広範囲攻撃は広いところじゃないと無理でしょ?」


 私はマジレスで返した。ブローディはぐうの音も出ないのか黙り込んだ。私は続けてこう言った。


「どうしてもって言うならお金あげても構わないけど……」


「結構です!!」


 ブローディはお金が欲しいからああ言った訳ではない。だから、逆にお金がそんなに欲しいならあげるよという憐憫の念を見せれば断ると判断したのだ。思った通りブローディは断ってきた。しかし、ブローディはまだ何か納得しないのか、色々と話しかけてくる。私はブローディをあしらいながら帰路に着いた。


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