表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/18

可笑しく犯してお菓子か死

作者:キャベッジ



 昼下がりのTVショウは実にくだらない。芸能人が専門家に混じって話題のニュースについて持論を語る。そんなの誰が聞きたいと思うんだ。そもそも平日のこんな時間にテレビ見てる奴なんざ、家事が一段落ついた主婦か暇なご老体か碌でもない連中だろうけど、この番組はそのどれを対象にしてんだろう? どの需要も満たせてるとは思わないけど。

「くぁぁ……」

 欠伸が出て背伸びする。よく寝たなぁ。起きたらもう午後だもんなぁ。どこ行ったんだろう、俺の午前中は。リビングのカーテンは閉めっぱなしである。薄暗いが開ける気にもならない。喉が渇いた。床に足を下ろしてソファから立ち上がる。散らばった邪魔なものたちを避けつつ、キッチンまで。冷蔵庫の一番上のドアを開ける。酒は流石にダメだし……あ、この牛乳高いやつじゃん。飲まなきゃなー。他には、………ん? この箱なぁんだ? ……うわぁ、ケーキじゃん。見つけちゃったよー。……ごめんなさいして食うか。とりあえず牛乳をコップに注ぐ。なんにでも牛乳を以下略。ソファに座り直して牛乳を飲み干す。んー、うまい! 流石に高いだけあるな。幾らなんだっけこれ。スマホを取り出して値段を調べようとしたら電話が鳴った。家電だ。なんだろう、セールスの電話かな? 小学生ですらスマホを持ってる時代、固定電話がある家の方が珍しいように思うのだけど、どうだろう? 煩いのでさっさと受話器を取ろうとして、ハッとなってやめる。悪いことをしているという自覚があればこそ、それを隠そうとする。悪を取り繕って善を装う行為こそが、人を善たらしめるのかもしれない! きっとそうに違いない! だから電話には出ない!

『洞木中学校、二年三組担任の伊勢です。今日、亮太くんが登校していないのですけど何かご事情によるものでしょうか? お忙しい中申し訳ございませんが留守電を聞き次第、折り返しご連絡頂けると助かります』

 あっぶねぇ! 出なくて良かった! 一日来なかっただけで学校の先生から連絡が来るとは思わなかった。亮太くんは学校に行きたくないそーでーす。ホッとしたら催してきた。

「えーと……トイレトイレ」

 リビングを出て、片っ端から扉を開けまくる。トイレは何処だー? ここだー。トイレの蓋が勝手に開く。ハイテクぅー。立ちながら用を足す。レバーで流してーちゃんと手も洗ってー、タオルでお手拭きー。あらタオルも良いやつだ。流石金持ちの家だなー。こんな生活してる連中には悩みとかないんだろーなー。


 トイレを後にしてリビングのソファに戻ろうとして蹴躓く。転がっていた少年の身体に足を取られたらしい。……あ、そうだ! 亮太くん、誕生日ケーキ頂くね。昨日がお誕生日だったんだね! ゴメンね! そんな日に押し入っちゃって! ……へんじがない。ただのしかばねのようだ。口笛を吹きながら、冷蔵庫を開けて誕生日ケーキを箱から取り出す。流石に全部は食いきれないので綺麗な包丁を取り出して八等分にする。それを皿に移して食卓まで持っていった。食卓の椅子を引こうとして、また転がった死体に引っかかった。邪魔だなー。華さんの死の足を持って引っ張る。圭一さんの死体に重なるように被せておいた。夫婦水入らずじゃーん。

 昨夜読んだ華さんの日記によれば生前は家族仲がすこぶる悪かったらしいので実にアイロニーな芸術作品かもしれない。……ふむ、仲間はずれも良くないし亮太くんの遺体も重ねるか! 中学生とは思えないほど軽い少年の遺体を引っ張ってきて、少し考える。……どうせなら間に挟んであげようか。一回華さんの身体を蹴って退かす。亮太くんを圭一さんの上に、そして亮太くんの身体をサンドするように華さんの遺体を持ってくる。タイトルは「明るい家族計画」に決定! 声は出さずに笑いながら、席に着いた。さて、いただきまーす。フォークでショートケーキを崩していく。イチゴは倒さないように。フォークで刺して口へ運ぶ。………んー? スポンジにフワフワ感はなく味も少し変に感じる。なんだろうなぁ、杏仁豆腐みたいな風味がする。不思議な味だなー。でも勿体ないし食うか、一日経ったからかなー。……なんか、頭が痛、フォークが手から────────い、……し、きが、遠


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ