ヲタッキーズ28 ヒストリーβ-327からの脱出
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの暗躍が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
彼女が率いる"ヲタッキーズ"がヲタクの平和を護り抜く。
ヲトナのジュブナイル第28話は"ヒストリーβ-327からの脱出"だ。
今回は…秋葉原で謎のヲタク失踪が相次ぐ中、神田川沿いの廃ビルで超古代の"歴史キャリブレーター"が発見される。
"リアルの裂け目"経由で別ヒストリーへ飛んだヲタッキーズは、そこで、ヲタクを奴隷売買する商人と出会うのだが…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 アキバ治験の謎
深夜で人影絶えた地下アイドル通り。
場違いな猛スピードで疾駆するバン。
「見えるか?」
「あぁ。畜生、追って来やがる!」
「構わねぇ。ブチかませ!」
物騒な会話があって、バンの後部ドアが開くや噴煙を上げ、ミサイルが飛び出す!
真っ直ぐ真後ろへ飛ぶミサイルだが…突如青い電流が絡まりスパークして大爆発w
どっかーん!
さらに地を走る青い電流はバンに追いつき後輪に触れるやタイヤが爆裂してバースト!
バランスを崩してハンドルを切り損ねたバンは横転、派手にゴロゴロと路面を転がるw
命からがら運転席から這い出る覆面男。
その覆面男を見下ろし頭をヒネる女子。
「あら、独りなの?お友達は?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。ミサイルの爆発音を間近に聞く地下アイドル通りを1本入った暗い路地裏。
バンの横転直前に飛び降りた覆面男達の前に立ち塞がる人影。シルエットが女子?
しかもさっきと別人か?
ヤタラと…巨乳だから←
「アンタ達、そこまでょ」
「誰だ?」
「人呼んで"愛の装甲擲弾兵グレナディア"」
一斉に殴りかかる武装強盗を右に左に交わしながら、パンチとキックを繰り出す。
さらに、背後から突き出されたバタフライナイフを腕に装着した盾で弾き落とす。
「装甲…なのか?」
「だから、そぉ言ったでしょ?ダマヤ!お一人様、ソッチに逃げた。任せるわ」
「え。何?あ、来たw」
逃げ出した強盗の前に、後部が特徴的な形をしたハーフトラックが駐車している。
横を走り抜けようとした強盗だが、突如開いた装甲ドアに激突して路面に転がる。
「わぉ!意外にチョロいな。グレナディア、やっつけたぞ!僕もヤルだろ?」
「…うぅ。何なんだ、お前は?鉛の弾でも食いやがれ」
「え。や、やめてくれ!」
強盗が拳銃を突きつけるw
躊躇なく引金を引く直前…
「イテェ!」
背後からグレナディアに殴られて失神w
「ダマヤ、大丈夫?」
ドッと鼻血を噴くダマヤ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
今宵も武装強盗騒ぎが一段落、面々がジャドー司令部に帰投スル。
あ、ジャドーは"リアルの裂け目"から秋葉原を守る秘密組織だ。
「"リアルの裂け目"から落ちコボれた異次元人が宝石泥棒を働いたの?」
「YES。捕まえたのは私。でも、後からノコノコ出て来たグレナディアに良いトコ取りされてムッとした」
「まぁまぁ。グレナディアも役に立つってコト?」
手柄を横取りされて御立腹なのはムーンライトセレナーダーだ。
黒いセパレートタイプの(アラサーにしては)派手なヘソ出しコス。
「だって!私は、対空ミサイルに狙われたのょ?なのに、グレナディアは後から出て来て、手錠をかけただけ」
「…ホントのイライラの原因は?」
「何のコト?」
スーパーヒロインではあるが同世代女子の扱いには長けたレイカがなだめる。
彼女は、アキバ防衛組織"ジャドー"の司令官でシルバーのコスモルックだ。
コッチも(アラサーにしては)派手カモw
「だって、貴女はマジでムカつくと眉間にシワが寄るから…」
「えっ?!ボトックス打たなきゃw私に刺さる絶縁した針を探して…でも、コレで良いのかな。今の私は、宝石泥棒や武装強盗を捕まえるだけ。何だか仕事がカンタン過ぐる」
「だから?」
「宝石やお金を守ってばかりで、アキバの平和の役には立ってナイ気がスルの」
「ソンな…ねぇ今宵はヲタッキーズの活躍をみんなでお祝いしない?」
ヲタッキーズとは、ムーンライトセレナーダーが率いるスーパーヒロインのグループだ。
「そうね。ヲタッキーズのエアリやマリレも呼んで、一緒に海外ドラマでも見よっか?」
「あ。今宵は…実は約束が。でも、取り消しても良いわょ?」
「え?あ、そぉかダメ絶対!…ラギィとでしょ?楽しんで」
ラギィは万世橋の敏腕刑事。レイカとゲイカップルとしてカミングアウトしたばかりだw
「ゴメンね。でも…あぁ!ついに私にも"彼女"が出来たのね!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
で、翌朝のラギィとレイカの"愛の巣"。
「あ。今、着てるのは私のシャツ?」
「だめ?」
「トンでもない。もぉ最高ょ」
"彼シャツ"ではなくて"彼女シャツ"だ。
まだ寝てるレイカの前でポーズするラギィ。
「あぁ!ラギィが眼の前にいる。私の家に泊まったのょ!そして、私のシャツを羽織ってコーヒーを淹れてる。もぉ信じられないわ」
「その幸せに一刻も早く慣れてね」
「ただ今、鋭意奮闘中ょ」
朝の光の中で下着姿の美女ふたりがキス。
"彼女シャツ"を下着とすれば、だがw
「遅刻しちゃう」
「仕事が何なの?ヤメちゃえば?私、ココにいたいわ。永遠に」
「ソレはどうかしら?でも、お昼までマッタリするのも悪くないわ」
「あーん。貴女、司令官に仮病を使わせるつもり?」
「そうょ。タマには聞き分け良くしなさい」
「何ょソレ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アキバ発の巨大メディア企業、ワラッタ・ワールドワイド・メディアのHQタワービル。
アキバを睥睨スル最上階でエレベーターのドアが開く。
中から現れたのは、通称"紙面の独裁者"校閲部長だ。
不機嫌な顔をして登場した彼に、明らかに待ち受けていたと思われるスズキくんが早速ウルサくつきまとい手にした原稿を押し付けるw
「校閲部長!新ネタで素晴らしい記事が描けた!ぜひ1面に載せてくれ!」
「主筆、私に朝のコーヒーとデニッシュを味わう時間をください」
「わかった。でも、事件の核心に迫るルポが描けたンだ!一昨日、ムーンライトセレナーダーが食い止めた武装強盗の件だけど…」
「あ。グレナディアが手伝った奴ですか?」
「YES。そして、コレはそのディープな真相に迫った渾身のルポというワケだ。グレナディアは、ムーンライトセレナーダーに便乗しただけだったンだ!」
「え。」
「ムーンライトセレナーダーはミサイルで狙われたンだ。校閲部長は、未だにグレナディア推しだろ?でもソレ、変だから」
「でも、グレナディアは実に良くやっています。昨夜だって強盗2人を最後に捕まえたのは彼女だし」
「ソレが間違いナンだ。このルポを読んでくれ!読めばわかる!」
「…とにかく!今の私にとって大事なのはコーヒーとデニッシュです。私は、コレのおかげで何とか生きてるので…ああっヤメてください、主筆!コーヒーがコボれる」
原稿を脇の下に捻り込む。
コレは立派なパワハラだw
「邪魔です!」
「読んだら…感想を聞かせてくれ。CEOルームで待ってる」
「デニッシュが先で良いですか?」
校閲部長はスズキくんを振り切りデスクに向かうと…目の前に知らないオバさんがいるw
「3日前に私の娘のイジィが消えた!私と喧嘩したから…私がイジィを信じてないって。そう言って家を飛び出したのw」
ソレを聞くや、瞬時にウンザリした顔をスル校閲部長、全力で同情顔になるスズキくんw
「このチラシを秋葉原中に貼ったの!」
"私の娘が行方不明!"と朱文字で大きく描かれたチラシが勢い良く両人に手渡される。
「パパにも親友のユ→コにも連絡が無いの。警察は家出だから、出来るコトはありませんってw」
「過去に家出は?」
「昨日は私の誕生日だった。普通なら電話をくれる。良い娘なの。何かあったのは間違いナイわ」
「わかりました!娘さんの家出を記事にしましょう。必ず見つけます」
「ありがと。社長さん」
社長はサリアだから、ホントはCEO代理ナンだがスズキくんにヒシと抱きつくオバさん。
「ありがと、社長さん!」
「主筆、必ず見つけるナンて約束を?」
「あの母親を助けたい。我が社は協力出来るょね?」
直ちに論争を始める男ふたりを手玉にとり、してやったりという顔のオバさん恐るべしw
「10代の家出ナンてよくあるコトです。大して重要じゃない。記事にもなりませんょ」
「オバさんの大事な娘が行方不明なんだぞ!」
「CEO代理は、私のコーヒーの時間を奪うだけでは御不満ですか?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の御屋敷。
ムーンライトセレナーダーに変身しない夜はミユリさんはココでメイド長をやっている。
同じく、昼間は真面目なサラリーマンの僕も夜はココでミユリさんのTOをやっているw
あ、今は原子力発電所に単身赴任中で、週末だけアキバに聖地巡礼という二重生活中だ。
「すみません。クラブソーダ…あれ?ナウナ?ココのヘルプやってるの?」
「"異次元人メイドカフェ"が毒ガス攻撃で全滅して以来、ココが"リアルの裂け目"から落ちコボれた異次元人の受け皿になった。御帰宅が増えたのは良いけど、人手不足らしいの。ソレに私、お酒が好きだから、バーテンダーにはピッタリでしょ?」
「そう思えるとは幸せだな。過去は振り返らない主義か?」
ナウナは原始太陽系の"火の星"皇女の親衛隊長をやっていた誇り高き女子ナンだけど…
「ソレはテリィたんでしょ?しかし、今宵は暗いのね。話を聞くわょ。私、バーテンダーだから」
「最近、自分が中途半端な気がするンだ」
「中途半端?助言しても良いかしら?」
「僕に?of course」
「トラブルを探すと、必ずトラブルにぶつかる」
「え。役に立たない助言をありがと…ギャw何だょこのドリンク?」
「違った?ねぇクラブソーダって何だっけ?」
ソコへ、半分仕事モードの万世橋の敏腕刑事ラギィがUSBを首からブラ下げて登場スル。
「コレでどうかしら?」
「ご協力どうも」
「ミユリさんからも頼まれてて…とても断れないわ。はい、最近の失踪者のデータ。情報量は少ないけど」
クビから下げたUSBを渡す相手はゲイのパートナーであるレイカ。オフなのでメイド服。
「あぁ助かるわ」
「実は気になるコトがアルの」
「何が?」
「ココ数週間、秋葉原でヲタクの失踪者が急増してるのょ」
「へぇ。で、万世橋の見立ては?連続殺人鬼とか?未来人による誘拐の線もアリ?」
「その界隈はプロファイルしてある。でも、今回の失踪者には共通点が乏しいのょ。10代の遺児でしょ、40のパパでしょ。後は大学生とか」
「ソレが全員消えたの?いったい何処へ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アキバ治験。
パーツ通りにある「アキバ治験」は、外見は献血センターみたいだが中身は臨床試験所。
あ、治験とは「治療の臨床試験」の略で新薬の販売許可を得るために行う試験のコトだ。
まぁ人体実験みたいなモノ(逝い過ぎw)←
「さて。血液検査は問題ナシね」
「そりゃ良かった。健康だけが取り柄ナンで」
「素晴らしい。じゃ残る検査は1つだけょ。はい、そこに立って」
「ココですか?」
「良いわょお。OKね」
いかにもヤリ手風の白衣の女子が巨大な水晶玉に計器を付けたような装置を引いて来る。
「あ。ソレは何の機械ですか?MRIか何かかなぁ?」
「まぁソンなモノね。最新型ょ」
「え。なぁに?」
突如両サイドから屈強なムキムキ男が現れ、"健康だけが取り柄の男"を取り押さえる。
「ヤメろ!離せ!」
巨大な水晶玉が見る見る紫色を帯び、やがて巨大な紫玉?になると屈強なムキムキ男達は躊躇なく"健康男"を紫玉の中へ放り込む!
「ぎゃあああ…」
男の姿も悲鳴も全て紫色の光の渦に消えるw
「成功よっ!成功したわっ!」
「今回も完璧なサンプルの提供をありがと」
「いつでも協力するわ」
物陰から真っ赤なドレスの女が現れ微笑む。
第2章 ヒストリーβ-327へ飛べ
オフからオン。
メイド服から(アラサーにしては)派手なコスモルックに着替えジャドーに出勤するレイカ。
「万世橋から最近の失踪ヲタクのデータをゲットしたわ。何か共通点がないか調べて!…あら?ナンでサングラスしてるの?暗いでしょ」
「いいえ。その分未来が明るいので…あ。ヤメて」
「そのアザ、どーしたの?!」
ジャドー司令部でダマヤ分析官のサングラスを取り上げるレイカ。またまたパワハラだw
「お、追い剥ぎに遭って…」
「ソレ絶対ウソょね?そもそも"追い剥ぎ"って死語だし」
「直ちに失踪者の共通点を探しますっ!」
通常の百倍死に物狂いになりキーワード解析を始めるダマヤを尻目に(アラサーにしては)ハデなヘソ出しコスのスーパーヒロインが登場。
「御機嫌よう。ムーンライトセレナーダー!」
「あら、レイカ司令官。御機嫌ね」
「そうかしら?わかる?」
「何なの?その全身からほとばしり出る幸せビームは?」
「実はね…昨夜ラギィが家に泊まったのん!」←
「ウソでしょ?!…あら?一方、ダマヤ。そのアザは何?」
「いえ、別に。追い剥ぎに遭いまして」
「でも、追い剥ぎって死語…」
「ところで!例の共通点ですけど、失踪した全員が失踪の数日前に謎の血液検査を受けてます!」
「謎の…わかりやすいわねwでも、血液検査?しかも、全員が?献血?」
「私も献血しよーかな。ヤクルト飲みたい」
「あ。レイカは良いわ。ヲタッキーズが動きます。貴女は、司令部で幸せビームを出していて」
「そぉ?OK、わかった…ソレなら任せて」←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
エレベーターに乗り込むムーンライトセレナーダーとスレ違いで降りて来たのはナウナ。
「待って。ナウナ、貴女が何故ココに?御屋敷は?」
「え?休みを取ったけど」
「メイド長の私が聞いてないわ。ソレに貴女、働き出して未だ2日目でしょ?」
「まぁね。ミユリ、ランチでも食べょ?」
「食べナイ!コレから潜入捜査だし」
「え。面白そう!私も行く!」
「ソ、ソレってどーなの?」
「きっと楽しいわ!消えた子供を探すのでしょ?カラダが透明になってたりして!」
「わかった。もぉ黙ってて」
「そうそう、透明人間といえばね…」
エレベーターのドアが閉まるw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
再びアキバ治験。
朝からバイト面接室は大変な賑わい←
女子ふたりが夫婦漫才をやっているw
「ねぇ私ってダサイ?イケてる?」
「え。ダサイでしょ」
「がちょーん」←
白衣の女子が出て来る。
見るからに悪者っぽいw
「いやいや。コレは素晴らしい腐女子が集まったわね」
「そりゃどーも」
「ガッチリ系が2人も来たと聞いて耳を疑ってたのょ」
「私達、女相撲をやってルンです。ところで!治験バイトを始める前に、確認しておきたくて。ホームページには即日払いとありましたが!」
「私達、日本橋への旅費を溜めてるの」
「日本橋?」
「え?あ!大阪のアキバと言われる日本橋のコトです」
「そうですか。今回は、新しいサプリメントの治験で基礎代謝率への影響を調べています。実験値を取るだけ。貴女、気がつけば大須ょ名古屋だけど」
「あ。でも、事前の検査は出来ません。私達の宗教では、採血を固く禁じているので」
「そう!ダメ絶対!私達は、忠実なシモベなの」
「敬虔な一神教徒で処女よっ!」
バカ丸出しのマシンガントークが止まらないw
「いやはや。おふたりはお若いし、何より頭が健康そうだ。検査は必要ナイわね。で。治験の話は誰に聞いたの?今日は予約は入ってなかったハズだけど」
「前に治験を受けたお友達から聞きました。でも、彼女と今は連絡が取れないの。行方不明だから」
「いったい何処へ消えたのかしら?」
「あっそwじゃ貴女はココに」
「はい」
「ココは貴女ょ」
「待って。連絡が取れなくなったお友達の名前はイジィ」
「あぁイジィ?彼女なら確かにココに来たわ」
白衣の女子は関心なさそうに答えて、壁際から台車に乗った巨大な水晶玉を押して来るw
ナウナの故郷"火の星"では普通に"リアルの裂け目"発生装置と呼ばれているメカだ。
「ねぇ貴女達。旅行をしたいンでしょ?」
何処からともなく現れた屈強ムキムキ男が突如全身紫で頭の尖った異次元人にw
同時にミユリさんも(アラサーにしては)ハデなムーンライトセレナーダーに変身!
襲いかかる異次元人に同じくスーパーパワー全開のナウナとタッグを組み反撃!
殴って蹴って大乱闘して異次元人を片づけ、白衣の女子に迫ると…彼女も紫だw
「アンタも異次元人だったの?」
「オッホホホホホ。捕まえてごらんなさーい」←
「あ、待て!」
待たないw
いつの間にか全球が紫色に光っている水晶玉
の中へ飛び込む元・白衣の女子w
彼女は、未知の技術により開けられた"リアルの裂け目"へ飛び込み逃げる!
「ナウナ。貴女はジャドーに戻って応援を呼んで!」
「でも…」
「レイカと特殊部隊を連れて来て」
ナウナは、ムーンライトセレナーダーのコトを真正面から見据え、落ち着いた声で逝う。
「ムーンライトセレナーダー。貴女は"リアルの裂け目"に飛び込むつもりでしょ?」
「だって、イジィが向こうにいるの。連れ戻さなきゃ!」
「"リアルの裂け目"の向こうに何が待ってるかわからない。危険過ぐる」
しかし、ムーンライトセレナーダーは躊躇なく"リアルの裂け目"へと飛び込む!
その先にあったのは…砂漠?広大な砂漠だ。所々に廃墟のような残骸が顔を出し…
アレは…ラジセン?
ココは…アキバか?
茫然と立ち尽くすムーンライトセレナーダーだが後頭部を殴られ地面に叩きつけられるw
全身を暗く汚れた包帯のようなモノで巻いたマミー?が長い棒を振り回して襲いかかる…
「危ない!」
今度は吹っ飛ぶのはマミーの方だw
後頭部を蹴り飛ばしたのはナウナ←
「貴女まで…なぜ来たの?」
「コッチで困ってるかなって。ホラ、血が出てるわ」
「え。アキバで無敵の私が…見て!太陽が赤いわ」
「"火の星"と同じ?」
「スーパーヒロインは、赤い太陽からはパワーがもらえないのょ」
「直ぐに戻らなきゃ!」
振り向くふたりのスーパーヒロインの目の前で、無情にも"リアルの裂け目"が閉じる。
「戻れなくなったわ!どースル?」
「何とかして"リアルの裂け目"発生装置を起動させなきゃ!」
「もぉ!ナウナ、貴女が私の逝うとおりにしないからょ」
「私を責めるのは秋葉原に帰ってから」
「ソレにさらわれたイジィ達も見つけて救い出さなきゃ」
「そのためにも。先ず私達が生き残らないと」
「私はね。応援を呼べと逝ったハズよ」
遠くから蚊が飛ぶような微かな音が聞こえる。
「…待って。何?」
「ステルスシャトルの爆音?軍用機ね。何処?」
「アソコだわっ!」
見上げると巨大な赤い要塞艦が宙に浮かぶ。
その周囲を無数の戦闘機が飛び交っている。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
南秋葉原条約機構の司令部。
ワラッタ・ワールドワイド・メディアHQタワービルの地下室にあり"愛の装甲擲弾兵グレナディア"を擁する民間軍事会社の基地だ。
社長のサリアはワラッタ・ワールドワイド・メディアのCEOでもある。
ほとばしる正義感から、自ら装甲服に身を包みアキバを襲う悪と闘う。
「ダマヤ、大丈夫?強盗に殺されかけたんでしょ?トラウマになった?」
「うん。確かに…もはや絶好調ではナイょ」
「そう…実は、警察無線を傍受してたら、さっきから万世橋が不審車両を捜索してるの。でも、未だ見つからナイみたい。で…もし良かったら出撃しない?」
乗り気なサリアに押され気味のダマヤは、ジャドーの分析官。
その腕を買われグレナディアのバックアップもやらされてるw
「え。僕のコトを心配してくれたンじゃナイの?」
「モチロン!貴方が参ってると聞いてハルバル来たのょ函館」
「あぁ確かに参ってるさ。だって、殺されかけたンだょ?」
「私だって、いつも怖い目に…」
「やめろ!」
ダマヤ、激オコw
「僕は、デスクワークと聞いたからバックアップの仕事を受けた。だから、もう現場には出ない。僕には無理だ。SATOも辞める!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
異次元空間の空中に浮かぶ赤い要塞艦。
下界は廃墟が並ぶ砂漠と化したアキバ。
「ミシュラン的に格付けすると、ココは一つ星だわ」
「いろんな星に逝ったけど…ココと違って綺麗だった。ナルビクにも逝った」
「ビスマス山?」
「えぇ。一面にクリスタルが広がってるの。それが重力の潮汐効果で盛り上がっては山になる」
「私もデートで行ったw良いトコロょね」
「ミユリ」
「何?お腹すいたとか?」
「違う。動けナイの」
「何ソレ?」
「罠ょ。私の脚が罠にはまってる」
「え?アレは誰?」
見上げる稜線上、逆光の中に怪しい武器でふたりを狙う異次元人の影←
思わズ顔を見合わせるスーパーヒロイン…赤い太陽でパワーはナイがw
「最悪だわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。
ジャドーの特殊部隊が倉庫に突入スル!
短機関銃を構えて、紫の水晶玉に殺到w
「何なのコレ?」
「見たコトないわ」
「私は…見覚えがアル」
突入隊長は、破壊工作に遭った宇宙往還機を無事着水させた"神田川の英雄"ハンナだ。
ハンナに助言してるのは、同行したヲタッキーズの妖精担当エアリ。背中に羽根がアルw
「エアリのその声のトーン、嫌な予感」
「ピンポーン。コレは"時間線ポータル"ょ。時間線から時間線へ瞬時に移動が出来る装置ね」
「タイムゲートみたいなモノ?人類には無い技術だわ」
妖精のエアリは、地球が冷え固まって以来、ずっと神田川の畔で図書館司書をしている。
あ、今は地下ライブハウスに併設した図書館カフェのメイド長だが…とにかく物知りだw
「超古代の人類は"歴史キャリブレーター"と呼んでいたけど」
「歴史を…キャリブレーションするの?」
「YES。私達は、今この空間に無数の時間線を共有してるけど、異なる波動を持つから互いに干渉し合うコトがない。つまり、お互いには見えないの。この水晶玉は、異なる時間線の波動をキャリブレーションして、時間線から時間線への移動を可能にする装置。まぁタイムマシンの一種ね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
いつか砂嵐は去り、晴れた夜空に月が4つ。
異次元レイダーが鍋で料理を煮ているが…
あの鉄鍋、ダッジオーブンじゃないか?
「奴はスネアビースト。火の星にもいたわ。今宵の鍋のメニューは私達w」
「ジョナは二本足は食べナイ」
「ワォ。言葉、通じるの?ってか、貴女は女子?」
「言葉、通じる。ヲタクも何人か解剖した」←
「え。」
「舌の研究した…あの、ピンクの奴」←←
「…ねぇ。ジョナって逝ったわょね?安心して。私は貴方に危害は加えない」
「ホント?」
不思議な拘束具で手足の自由がないナウナが器用にスマホを取り出しイジィの画像を出す。
「見て。この子を探してるの」
「知ってる。キャリブレーターから現れて赤い要塞艦に収監された。要塞艦の中では、二本足は家畜のように売買されてる」
「ヲタクを奴隷として売買してるの?」
「YES。この"ヒストリーβ-327"では、奴隷売買は一大ビジネス。"ヒストリーβ-327"の経済は奴隷売買で回ってるの」
「ココがヒストリーβ-327なのね?」
「何か知ってるの?」
「通称"奴隷のヒストリー"ょ。私の故郷の火の星でも利用してたわ。火の星にも奴隷制度があったから。私は反対だったけど…ねぇ。早く自分のヒストリーに帰ろ?」
「ダメょ!イジィを探さなきゃ」
「でも、早く帰らないと!」
「失踪したヲタクを見つけるのが先」
横で聞いていたジョナが色をなし割り込むw
「見つける?ダメ絶対!赤い要塞艦、恐ろしい。誰も逃げられないし、艦内に入って出て来た者、いない」
少し考えムーンライトセレナーダーが逝う。
「…1つだけ方法があるわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
赤い要塞艦の中。
衛兵ならぬ衛獣を従えて歩く白衣の女子。
ドアが開き衛獣達が一斉に武器を構える。
入って来たのは、(アラサーにしては)ハデな黒のセパレートタイプのコスチューム。
不思議な拘束具に自由を奪われ武器でこずかれ歩くムーンライトセレナーダーだ。
囚われのヒロイン!
こりゃ萌え萌えだw
「ギブアップ!私、負けましたわ(回文)」
第3章 大脱走
白衣の女子は鼻高々だ。
囚われのムーンライトセレナーダー(萌え萌えw)を先頭に、衛獣を従えて艦内をパレードw
「はいはい。逝くわ、逝くって」
「ちょっと!分かってるわょ」
「ヤメて。変なトコ、つつかないで!」←
キャアキャアとうるさいスーパーヒロイン達は、艦内をくまなく行進させられた挙句、ようやく拉致されたヲタクとの合流を果たす。
薄汚れた部屋の片隅に集められた彼達は身を寄せ合うようにして声もナイ。
ムーンライトセレナーダーとナウナが駆け寄ると背後で遮断バリアが閉鎖。
「さてと。コレで艦内には侵入出来たし、アキバから失踪したみんなとも会えたわ…あ、貴女ね?貴女、イジィょね?」
「ムーンライトセレナーダー、私を知ってるの?」
「モチロンょ。ママが貴女を探してるわょ」
突然現れたハデなコスのスーパーヒロインに親しく声をかけられ、イジィはビックリだw
「ママのコトも知ってるの?」
「あ。しまった…えっと、私の友達の従姉妹のペンフレンドの隣人が新聞記者をしていて、貴女のママから失踪の調査を依頼されたのょ」
「良くわかんないけど、ムーンライトセレナーダーなら、あのバリアを壊せるハズだわ!早く助けて!」
「ソレが…出来ないの。私、このヒストリーβ-327ではスーパーパワーが使えないの。でもね。私は、ココにいるヲタク全員を必ず助ける。貴女達をアキバに連れて帰るわ」
ソコへ現れたのは…真っ赤なドレスの女だw
「ムーンライトセレナーダー。貴女、またもや私の捕虜になったのね」
「あ、Ms.ポーカー!こんなトコロで会うなんて!」
「こんなトコロじゃなくて…こんなヒストリーで、でしょ?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ジャドー司令部。
「ダマヤ、歴史共鳴ポータルがキャリブレーションした先は判明した?」
「はい、レイカ司令官。分析によれば、終着点は、ヒストリーβ-327の原始銀河系、惑星51アークB」
「ソレは…ビッグバン着後の地球ってコト?理論的にあり得ない…しかも、ヒストリーβ-327と逝えば、奴隷貿易が全盛の時間線じゃないの」
レイカ司令官が天を仰ぐw
「司令官、さらに問題が発生」
「何ょ?」
「太陽が、いきなりステーキ…じゃなかったイキナリ赤色矮星化してる。なぜ誕生したばかりの原始太陽が赤色矮星化するのかな…とにかく!赤い太陽の下では、スーパーヒロイン達は、エネルギーを吸収出来ない。恐らくスーパーパワーを喪失してるモノと思われます」
絶望するレイカは、フト司令部にゲイのパートナーであるラギィがいるコトに気がつく。
「ラギィ?どうしたの?良く司令部に入れたわね」
「だって、貴女に連絡しても出ないから心配で来たのょ」
「…忙しかったから」
ついラギィすらウザく感じてしまうレイカw
「お取り込み中みたいね、レイカ」
「YES。ムーンライトセレナーダーが姿を消したの」
「必ず見つかるわ」
思わズ恋人の慰めの言葉に逆上してしまうw
「気休めを言わないで!こうなるコトは、私にはわかっていたの!」
「え。わかってたの?何で?」
「私が幸せだったから」
「はい?貴女が幸せ?ねぇ何を言ってるの?」
「私が間違ってた!私は、5分以上幸せになってはいけない女なのょ!ねぇもう帰って!」
「…そう。またね」
肩を落として、司令部から立ち去るラギィ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ヒストリーは異なるが同時刻の赤い要塞艦。
「ムーンライトセレナーダー、何処かで見た光景ね」
「なぜココに…じゃなかった、このヒストリーに貴女が?」
「そぉよ…ってか誰ょ、貴女?」
ムーンライトセレナーダーの尻馬に乗るナウナを愉快そうに見ながらMs.ポーカーが語る。
「貴女にスーパーヒロイン同士が闘う地下クラブを閉鎖されたせいで、私は落ちぶれ、ヒストリーβ-327に流れ着いた。でも、奴隷貿易の話を聞いた時は、とても興奮したわ!だって、私の地下ビジネスを広げる絶好のチャンスだと思ったから」
「ビジネスチャンス?奴隷みたいにヲタクを売買するナンて!」
「私は、ただ売買スルだけじゃない。あのね。廃人になるまで何かに打ち込む秋葉原のヲタクって、意外に高値がつくのょ」
「貴女は、人身売買をしてるのょ?」
「たかがヲタクょ。ソレに、私にとっては単なるビジネス。ヒストリーβ-327では、秋葉原のヲタクは高額商品なの。ダイヤより価値がアル」
白衣の女子の背後に、ヤタラとヒョロ長い痩せっぽちが現れてMs.ポーカーに何か耳打ち。
「え。何?…ねぇ喜んで!ココにいる全員に"旦那"が過去最高の値段をつけたわょ!」
「その痩せっぽちの"旦那"も貴女も、みんな大嫌いっ!」
「あら。私も貴女が大嫌い」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"神田川の英雄"ハンナ率いるジャドーの次元空挺部隊が"歴史キャリブレーター"前に集結。
「閃光手榴弾を6つ束ねて装薬した集束手榴弾ょ。"スーパー大閃光"に匹敵スルけど、1つしか作れなかった。無駄にしないで」
「了解」
「頼んだわょ」
レイカがハンナに手渡す集束手榴弾は、大きな丸いクッキー缶に柄がついたような形だ。
「ソレから…ダマヤ分析官?」
「はい。ヒストリーβ-327側の歴史キャリブレーターは、コレで作動します。予めプログラムしておきました。このスイッチをオンすれば誰でも"リアルの裂け目"が作れます」
「え。貴方も行くのょ?」
「大丈夫です!全部プログラム済みだから、後はボタンを押すだけ。僕がヒストリーβ-327に行く必要はありません」
「だから、貴方がボタンを押すのょ」
「いや、僕は…」
「あら?誰もお願いナンかしてないわ。ダマヤ分析官、コレ、命令だから」
「無理ですょ司令官。僕は、ジャドーを辞めます」
スタスタと歩き去るダマヤをレイカが追う。
「ダマヤ!」
「嫌です!だって、僕が行っても役には立たない。ソレに…グレナディアのバックアップのバイトをやった時に…もう少しで僕は…」
「OK。"神田川の英雄"が待ってる。貴方が必要なの」
「僕は怖いんです」
「私も初めて戦場に出た時、スゴく怖かった。でも…逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃだめだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」←
「…せめて何か理屈で説得してくださいw」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ヒストリーβ-327の遮蔽バリアの中でヲタク達を励まして回るムーンライトセレナーダー。
「怖いのはわかるけど…必ず脱出出来るわ。また、マチガイダのホットドッグを頬張れるわょ。私が奢るわ…何?ナウナ。呼んだ?」
「ムーンライトセレナーダー、銀河1危険なヒストリーにいて、スーパーパワーも使えないのに安請け合いょ」
「だって、スーパーヒロインはヲタクに希望を与えなきゃ」
「だから!私が言ったでしょ?トラブルって黙っていても必ずぶつかるの」
「え。何の話?とにかく!スーパーヒロインは闘うモノなの。バーテンダーに化けて御屋敷に逃げ込んだりしない」
「え。貴女の御屋敷でしょ?ソレに、私は賢いの。いつも危険なヒストリーで生きて来た。ところで、なぜミユリは毎度ヲタクを助けるの?」
「ソレはね。私は…私とナウナは、理由があって逝き延びたからょ」
「私達が逝き延びたのは"運"でしょ?」
「違う。私達には逝き延びた理由がある。だから、最後まで闘わなきゃいけないの。たとえ、スーパーパワーを使えなくてもね。それがアキバのスーパーヒロインだから。さぁ、行くわょ!秋葉原のヲタクども」
ソコへ白衣の女子が衛獣を連れて現れる。
その瞬間、邪魔な遮蔽バリアは消えたが…
思わズ身を引くヲタク達w迫る緑色に輝く肌をした衛獣の前にムーンライトセレナーダーが飛び出し思い切り両手を広げて立ち塞がる!
「どけ」
「ウガガガー」
「イヤょ」
衛獣は手にしたライフルみたいな武器を…てっきり撃つかと思ったら押し付ける←
セパレートタイプのコスを着たムーンライトセレナーダーの剥き出しのオヘソにw
忽ちライフルから青い電流が迸りムーンライトセレナーダーのオヘソから全身へ流れるw
「いやーん」
「ウガガガー」
「私が電撃で責められるナンて…」
自分の得意技をキメられて、苦しみ悶えるのはヒロピンの王道だ←
しかも、緑色の怪人に襲われるビキニ美女?
アメコミの表紙かょw
無情にも電圧が上がり絶叫が響く!
「ぎゃー!」
「ウガガガー!」
「やめて!」
止めに入って逆に殴り倒されるナウナw青い電流に激しく悶えながらもなお両手を広げフラフラ立ち上がるムーンライトセレナーダー。
「どけ!」
「ウガガガー!」
「嫌よ!」
再びライフルを押し付けられ青い電流に悶絶するムーンライトセレナーダーw膝から崩れ落ち絶叫しつつ床をのたうち四肢を痙攣させるw
「続けて!」
辛うじて膝立ちしたムーンライトセレナーダーのオヘソに再度ライフルが押し付けられる。
再び絶叫するムーンライトセレナーダーwやはりヘソ出しコスは(アラサーには)酷だったのか?
イギィが叫ぶ!
「何を見てるの?私達の推しがピンチなのょ?」
「ぎゃあああっ!」
「アンタ達、ソレでもアキバのヲタクなの?行って!」
イギィに言われて衛獣に飛びかかるヲタク達にナウナも混ざって大乱闘!
幸い武器ヲタクや空手ヲタク、相撲ヲタクとかもいて意外にも善戦スルw
衛獣から光線ライフル奪取w
白衣の女子達に突きつける!
「ムーンライトセレナーダー!貴女が諦めないなら私達も諦めない。たとえ、この身が廃人になろうも!」
「良く逝ったわ、みんな」
「形勢逆転だ!お前ら、バリアの内側に立て」
ミリタリーヲタクがMs.ポーカーと白衣の女子に光線ライフルを突きつける。
渋々従うふたりの目の前で、透明な遮蔽バリアが閉じてヲタク達は大喜び。
ムーンライトセレナーダーが先頭に立つ。
「さぁ大脱走よっ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同じくヒストリーβ-327の同時刻。
赤色矮星に灼かれる砂漠の上に置かれた"歴史キャリブレーター"が突如作動スル。
"リアルの裂け目"が出現し、完全武装の特殊部隊が短機関銃を構えて続々現れる。
「異次元だ。僕は今、次元を旅して異なる歴史にいる!あ、アレはラジセンの廃墟か?ココは未来の秋葉原?理論的にはビッグバンの直後のハズなんだけど…」
「ソンなコトはどーでも良いわ!ダマヤ、無事に秋葉原に帰りたいならキャリブレーターの操作を再確認して。私達が戻って来るまで、しっかり歴史ポータルを開けておくのよっ!」
「え。僕を置いて行くのか、ハンナ?」
生まれて初めての次元旅行の興奮も一気に消し飛んで、たちまち不安な顔になるダマヤ。
「殺生だ!ソレでも"神田川の英雄"か?!」
「部隊は前進スル。あの巨大な空中戦艦から"ヲタク反応"が出てる(どんな反応だょw)。ムーンライトセレナーダーは、多分あの戦艦の中だわ。貴方は大丈夫ょ恐らく」←
「そ、そうだね。モチロン大丈夫さ。そう、僕なら出来る」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"赤い要塞艦"のエアロックが爆発!
立哨中の光線ライフルを構えた衛獣が爆風と共に吹っ飛ぶ。
その爆炎の中を赤いポインターを光らせて特殊部隊が乱入w
「前進!囚われのヲタク達を取り戻せ!」
「ウガガガー!」
「強行突破スル!MG、前へ!」
衛獣が光線ライフルから青い電流を迸らせてワラワラ突撃して来るw
が、迎え撃つ特殊部隊は肩打ちロケット弾まで繰り出し火力で圧倒!
指揮官らしい獣を一騎討ちで見事仕留める"神田川の英雄"ハンナ。
倒した相手の手から、未だ青い電流が迸る光線ライフルを奪い取る!
「GO!GO!MOVE!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「その光線ライフルを私に。急いで!」
一方、艦内を闇雲に走り回る大脱走チーム。先頭はムーンライトセレナーダー。後尾は…
「私が最後の防衛ライン。ココから先、追っ手は一歩も通さない!」
勇ましく光線ライフルを構えるナウナだが、次の瞬間、青い電流に捕まって尻餅をつくw
「あ、イヤ!撃たないで!」
「ウガガガー!」
「待って!話せばわかる!」
わからないw
たちまち追いついた衛獣が、光線ライフルをナウナの額に突きつけて引金に指をかける!
もうダメ!観念したナウナが力一杯目を閉じると今までの幸せな人生が走馬灯のように…
「☆♫&&○⇔!」
「ウガガガー!」
「⌘〓≧◉Å$‰♀!」
あら?
耳慣れない会話に恐る恐る目を開くナウナ。
さっきの痩せっぽちが衛獣を制止している。
「√⁂‖*》*∫〔﹆」
さらに、痩せっぽちは衛獣に光線ライフルの銃口を下げさせて自ら…やや?頭を下げる?
コ、コレは御辞儀なのか?ソレともこのヒストリーでは何か別の意味がアルのだろうか?
とにかく逃げようw
実は腰が抜けたので四つん這いのママ後ろ向きに逃げ出すナウナ。
何とか爆煙が立ち込める艦内通路の角を曲がって目の前から逃走w
最後にチラ見したら痩せっぽちと痩せっぽちに強要された?衛獣が未だ頭を下げてイルw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
闇雲に逃げ回る大脱走チームを"ヲタク反応(臭い?)"を頼りに追う特殊部隊。
とうとうホールのようなトコロで両者は感動的な"エルベの出逢い"を果たす!
「やっと見つけたわ、ムーンライトセレナーダー。もぉ逃げ足が速いンだから!」
「え。"神田川の英雄"が追いつけるようにユルユルで走ったのに?」
「OK!さぁ秋葉原に帰ろう」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
超未来?のアキバ砂漠。
"歴史キャリブレーター"の前に残り自分のヒストリーに帰る手順をテスト中のダマヤ。
「あれ?うーん今、繋がったのは江戸時代の秋葉原かw落ち着いてやり直してみょお。よーし」
几帳面な性格なのか独りでチャカチャカやっていると突如背後から衛獣に抱きつかれるw
アッサリと殴り倒され、踏みつけられて青い電流が迸る光線ライフルを突き付けられる←
が、何たる偶然か伸ばした手に当たった小岩を思わズ振り回すと、その一撃が後頭部に当たり衛獣は妙な悲鳴を上げバッタリ倒れるw
「あは、あはは。僕が倒したぞ。見たか!」
両手を上げ、ダマヤはチャンピオンポーズ。
「どうだ参ったか。あ、ムーンライトセレナーダー?お帰り!僕が倒した衛獣だょ。あれ?君、追っかけられてるの?」←
「ウガガガー!」
「ダマヤ!ポータル開いて!早く!急いで。追いつかれる!」
岩陰からヲタクと特殊部隊の混成集団が算を乱し、一団になって逃げて来る。
さらに、ソレを追うのは青い電流が迸る光線ライフルを振り回す衛獣の一団w
ドサッ!
その両者の間に転がり落ちて来た黒焦げの死体は狙撃タイプの光線ライフルを持つ衛獣w
「狙撃兵がいた。でも、ジョナが撃って二本足を助けた。二本足はジョナを助ける?」
「モチロンよっ!コッチへ来て。私達、貴方を助けるわ。ありがと、ジョナ!」
「早く!急いで!」
岩山を降りて来たマミーみたいな異次元レイダーだ。手にしてるのは狙撃銃。
ヲタクも特殊部隊もジョナもダマヤが開けた"リアルの裂け目"へ飛び込む。
その時!
「助けて!ムーンライトセレナーダー!」
「ウガガガー!」
「イジィ!」
イジィが別の衛獣に羽交い締めにされ、岩陰へ連れ込まれる!
さらに、赤い要塞艦からはレンズみたいな形の飛行体が飛来w
"歴史キャリブレーター"の真上でピタリと制止し、青い電流を放って周囲を焼き払うw
「敵の戦闘ヘリょ!対空戦闘!」
「無理。殲滅されるわw」
「待って。コレに賭けてみる!」
ハンナがバックパックから取り出したのは、閃光弾を束ねた集束手榴弾だ。
遠目にはクッキーの丸い缶に柄がついてる感じ?戦闘ヘリに向けて投げる…
次の瞬間、起きたのは…光のビッグバン!
世界中で太陽が爆発し何者も目を開けていられない…時空の隅々まで光に満ち溢れて万物が照らし出されるwそして光の嵐が止むと…
赤い大地に片膝をつき、腰に手を当てグッと腰を落とすムーンライトセレナーダー!
光のビックバンでエネルギーチャージを瞬時に終えオヘソを空へと突き出すポーズ?
「何?今のは何?で、コレから何が起きるの?」
「ウガガガー?」
「今のは"黄色い太陽の集束手榴弾"ょ!そして、ムーンライトセレナーダーは…何を始めるつもりかしら」
誰もが息を呑む中、突如ムーンライトセレナーダーが時空も揺るがす図太い光線を発射!
…恐らくオヘソからw
"光線"に触れたレンズ状のヘリが瞬時に蒸発、さらに"光線"は遥か虚空に浮かぶ赤い要塞艦を直撃し要塞艦は木っ端微塵に爆散←
大爆発を起こした船体の残骸は未来のアキバ砂漠に墜落、激突し、ジャイアントインパクトが起き恐竜が絶滅w地球規模の災厄となるw
イジィを抑えていた衛獣も、呆気に取られたのも束の間、算を乱しスタコラと逃げ出す。
「イジィ!コッチよっ!」
「貴女が最後よっ!"リアルの裂け目"へ飛び込め!」
「入って!急いで!」
イジィを"リアルの裂け目"へ押し込み最後に周囲を見回すムーンライトセレナーダー。
さらば、光と闇のヒストリーβ-327!裂け目を潜り抜けたら…ソコは見慣れたアキバの街。
「やったぞ」
「無事で良かった」
「聖地に生還ょ」
直ちに"歴史キャリブレーター"は爆破されヒストリーβ-327からの逆侵攻を絶つ。
拍手と歓声。イジィとハグし合うムーンライトセレナーダー。感動したヲタク達に…
ハグを迫られ特殊部隊の猛者達が逃げ回る←
長く幽閉され"ヲタク反応"が強烈なのだw
「集束手榴弾、助かったわ」
「レイカのアイデアょ」
「私がヒストリーβ-327へ行けない代わりに、太陽に行ってもらったってワケ」
レイカ司令官がムーンライトセレナーダーと固く握手スル。
ムーンライトセレナーダーのオヘソからは、煙が立ち上る。
「このヒストリーでは、秋葉原は変な匂い」
ジョナが鼻をクンクンさせている。
「いつもこんな匂いなの?」
笑い声がドッと沸く。
第4章 ヲタク達の凱歌
聳え立つワラッタ・ワールドワイド・メディアHPタワービル、CEOルームのある最上階。
CEO専用エレベーターのドアが開き、スズキくんが現れる…より前に現れたのはイジィ?
胸に手を当て娘との再会を待ってたママに気づき、思い切り両手を広げママに抱きつく!
「おかえり!イジィ」
抱き合う母娘。
「ママ!私、ママの言うコトを聞かなくてゴメン」
「ママも」
「愛してる、ママ!」
男親にはわからない、母と娘の世界だ。
スズキくんは苦笑いしながら通り抜け…
「おい!素晴らしいルポが描けた!今度こそ1面に載せてくれ!」
"紙面の独裁者"校閲部長のデスクに、ルポの入ったファイルを叩きつけるスズキくん。
「異次元の奴隷…ですか?主筆、うーんコレならウケそうですね」
「異次元にあるヒストリーβ-327で秋葉原のヲタク達が売買されていた!スクープだょ。囚人と奴隷売買関係者の証言もアル。イジィの証言も。僕の取材が実を結んだ」
「確かに…ピューリッツァー賞に立候補しますか」
「校閲部長。僕は、理性に従うべきだとは思う。でも、僕は僕が自分が信じるモノを描きたいんだ。ソレが僕の理想でもアル。今は、自分の心に従いたい」
「結構なこってす」
「では、校閲部長。良い1日を」
校閲部長のデスク前から去るスズキくん。
その背中に向かって校閲部長がつぶやく。
「お手柄ですょ、主筆」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。
ワラッタのリアルCEOであるサリアは、同じワラッタタワーにいる。
タワーの地下に秘密裡に作られた、南秋葉原防衛機構の洞窟基地だ。
「サリア!…いや"愛の装甲擲弾兵グレナディア"!先日、僕が口走ったコトは全部キレイさっぱり忘れてくれ!僕は復活したぜ」
「ダマヤ、どうしたの?強盗に殺されそうになったトラウマは?」
「克服した」←
ダマヤは、砂の入った小瓶をデスクに置く。
「砂?コレで心変わり?」
「その砂は、超未来の秋葉原から持ち帰ったモノだ」
「ホント?待って。私抜きで他のヒストリーへ旅したの?嘘でしょ?」
「砂漠になった秋葉原へ行った。グレナディアは今を守れ。僕は未来を守る。また、共に頑張ろう」
投げキスし洞窟基地から出て行くダマヤ。
キョトンとした顔で取り残されるサリア。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
アパートのドアがノックされる。
薄くドアを開けると…ラギィだ。
溜め息をつき合うふたり。
「来てくれたンだ、ラギィ」
「すごく迷ったわ。ねぇレイカ。私達。付き合うのはまだ早かったのカモ」
「そんなコト無いわ!」
ラギィを自分の部屋に招き入れてから、心を決めゲイのパートナーに語り始めるレイカ。
「ねぇ聞いて。私はパニクったの。だって、私が幸せになろうとする度に、必ず世界が邪魔をスルんですもの」
「何ソレ?説明して」
「私は、少女の頃から責任感が凄く強い性格だった。まるで、いつも独りで世界を背負ってるような気分。で、タマに世界より自分を優先スルと、必ず悲惨な出来事が起きる。だから、今回もムーンライトセレナーダーが消えた時に…」
ラギィが遮る。
「ムーンライトセレナーダーって…ミユリさんでしょ?」
「…え。何の話…かしら?」
「誤魔化さないで。ムーンライトセレナーダーがミユリさんでなければ、あそこまで貴女は焦らない。ミユリさんのメガネ、ダテでしょ?」
「子供だまし…だったかwでも、ソレ国家機密だから。だけど、バレて良かったわ。貴女に隠しゴトはしたくない」
既にラギィの顔からは険しさは消えている。
「レイカ。悪いコトは必ず起きる。私達の仕事は特にね。でも、もう逃げないって誓える?」
「誓うわ。私は逃げない。ごめん。私、幸せになりたい。貴女と」
「最後のチャンス…カモ」
「了解」
アキバの片隅で優しく抱き合うゲイのカップル。
「ありがと」
「私こそ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
もう一つのノックは御屋敷だ。
「あら?」
「メイド長、クラブソーダ」
「気がきくのね」
その夜、スーパーヒロインのお仕事はオフでミユリさんはメイド服(コレが絶品萌え萌え)。
あ、バーテンダーはナウナだけど、彼女もメイド服。何しろココはメイドバーだからね。
「ナウナ。昼間は何をしてたの?」
「別に。ショッピングして散歩して、実は…ねぇミユリ。私が間違ってたわ。それで…」
「何が?ナウナが間違ってたコトは、いっぱいあるでしょ?」
「そ、そうね。人助けのコトょ。ミユリの闘う姿を見て、やっと手本が出来たの」
「貴女が火の星で護ってた皇女は?」
「心から尊敬は出来なかった。でも、私は変わりたい。そこで本題だけど、やっと決心したの」
「あら?何か覚悟を感じるけど」
「そりゃそーょ。だって、一大決心だもの。でね、ミユリ。私、貴女みたいなスーパーヒロインになりたい」
「え。何?」
「私も名前が欲しい。マントとか」
「セパレートのコスチュームも欲しい?」
「いえ、アレは…でも、心から思ったの。私もカラダを張って何かをやりたい」
「本気?」
「えぇ」
「この道は楽じゃないわょ?」
「もちろんょ」
「重圧もスゴいわ」
「大歓迎」
「フザケないで!」
ミユリさんがピシャリと遮る。
が、ナウナは引き下がらない。
「ミユリと一緒に秋葉原を守りたい。私達、そのために生き延びたのょね?」
「え。うーん…実は昨夜の貴女は、少しだけダサくなくて、少しだけイケてた」
「…やっと気づいてくれた?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
墜落大破した赤い要塞艦の残骸の中で、火花が散る爆煙に紛れ黒いケープの人影が出現。
その足下で、残骸の下敷きとなり余命いくばくもない白衣の女子。既に白衣は真っ赤だ。
「…助けて」
黒いケープの人影は、黙って手を差し伸べるが、ソレは救いではなくホログラムだ。
そのホログラムは、囚われの共和国側の王女ではなくて…やや?彼女は…ナウナか?
「コ、コレは…」
「"風の星のナウナ"だ。彼女は今、何処にいる?」
「ココには、おりません。彼女は、別ヒストリーの秋葉原へ…あ、お赦しを!」
次の瞬間、白衣の女子の肉体が蒸発スルw
おしまい
今回は、海外ドラマでよくテーマになる"異次元の奴隷商人"を軸に、奴隷商人に落ちぶれた主人公のライバル、奴隷を買う痩せっぽちの異次元人、手下の衛獣などが登場しました。
また、同時並行で防衛組織司令官のゲイのカミングアウト、パートナーとなる万世橋警察署の女刑事との恋の行方、古代太陽系人のスーパーヒロインとしての成長などを盛り込んでいます。
海外ドラマに登場するNYの都市風景を、第3次となったコロナ宣言に揺れる秋葉原に当てはめて展開しています。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。




