表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日本国、異世界へ。(旧題 異世界転移は唐突に)  作者: スライム小説家
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/103

41話 三者会談①

やらかした。すいません。


 

(ついに、始まるね。二ホンは空母を持っているらしいし、ひょっとしたら我々や帝国以上の強国なのかもしれない。………舐めたらまずそうだね)


 そんなことを考えながらも、コーデリアは屈託のない笑顔でにこにこしながら自己紹介する。


「二ホン国の皆さん、初めまして。ボクはナルカル連合大統領のコーデリアと言います。以後よろしくね?」


「日本国外務大臣の葉名深雪です。お二人とも、よろしくお願いします」


「アグレシーズ帝国の外交大臣であるガバダだ。二ホンよ、最初に言っておくが我々が今回の会談に来たのは連合の顔を立ててやっただけに過ぎぬ。弱小の蛮族が勘違いをするなよ?」


 ヤーロピアル大陸で最強であり、列強の一角でもあるアグレシーズ帝国。

 帝国が台頭してくる前まで列強であり、現在も事実上の列強と言われることが多いナルカル連合。

 ウィストラ大陸周辺を完全に支配下に置いた勢いのある新興国(と思われている)、日本。


 これらの三者が集ったこの会談はいきなり不穏な雰囲気で始まった。


「へえ。ずいぶん虚勢をはるんですね。そんな余裕はそちらにないんじゃないですか?今すぐ講和をしたいから、この三者会談に乗ってきた。………違いますか?」


「なっ………ち、違うに決まっているだろう小娘!貴様らこそ今頃魔王に困らされているだろうに、虚勢をはっているのはそちらだろう!?」


 言い合いも同然であるこの場を収めようと、コーデリアが間に入る。


「まあまあ、会談も始まったばかりなんだ。そんなにピリピリすることもないだろう?」


「ふん、小国のくせに生意気な態度を取るからだ。分をわきまえぬと、そのうち痛い目を見るであろうに」


「私としては、我が国を見下すような発言を看過できなかっただけです」


 言うだけ言ったのか、それっきり何も言わなくなった両者。場を沈黙が支配する。

 そんな雰囲気を変えようと、コーデリアが口を開く。


「ところでガバダさん。さっき今頃魔王に~、なんて言っていたけどどういうことかな?魔王が出現したとなれば一大事だけど………」


 そんなコーデリアの疑問に、ガバダが待ってましたと言わんばかりに答え出す。


「ふむ、連合は知らなかったか。我が帝国で開発中の新兵器が、二ホン近くの海域で巨大な魔力を発見してな。その魔力の大きさから考えるに、四大魔王でほぼ間違いないと考えられるのだ」


「何だって!?………つまり二ホンは四大魔王と戦っているさなかだってことかい!?」


 余程驚いたのか、コーデリアが犬耳をピーンと立てる。


「ああ、連中はやせ我慢しているだけさ。我々は、出現した四大魔王に備えるために一旦講和を結びに来たが………二ホンの態度があまりに生意気なのでな、少し考え直さねばならんかもしれんぞ」


 ガバダが意地の悪そうな笑みを浮かべながらそう話す。


(そうか………帝国がやけに乗り気だったのは四大魔王への対処に専念するためだったんだね。四大魔王が出たなると、うちの国も不味いなあ………にしても、二ホンも不運だね。下手したら滅ぼされかねないし、仮に四大魔王を追い払ってもその後に帝国が攻めてくるのは間違いない)


 コーデリアが考えに沈む中、日本側である葉名の反応はというと。


「四大魔王?そんなの居るんですか?」


「「え」」


 そもそも四大魔王を知らないという葉名の発言に、二人ともあっけにとられる。他の二ホン側の外交官を見ても………


「おい、どうなってるんだ………(小声)」


「知らん、四大魔王なんてのは初耳だぞ?(小声)」


 本当に知らないというような感じの者ばかりである。


「え、演技もいい加減にしろ!しらばっくれても無駄なのだぞ!」


 ガバダがやや困惑した表情でそう怒鳴りつけるも。


「いや、四大魔王とは一体………?それらしいものが我が国に………ああ。そういえば少し前にヒト型の空を飛ぶ何かが我が国に来ましたね」


「それだ!ふふふ、貴様らも苦しいだろうに、ふふふ………」


 勝ち誇った表情になったガバダが、優雅にグラスに注がれた何かを飲み始める。もはや勝負あり、と言わんばかりの態度だ。


「多分それが四大魔王だね。ヒト型で空を飛ぶなんて高位の魔族くらいにしか無理だからねえ」


(にしても口がずいぶん軽いなあ………そんなの黙っておけば良かったのに)


 あっさりとそう話す葉名にコーデリアがそう考える。自分から不利になる情報を認めるなど普通はあり得ないからだ。


「でも、一旦帰ってくれって言ったら帰りましたよ?」



 ブ――――――――――――ッ!


 ご、ごほっごほっ!けほけほっ


 動揺の余り吹き出し、むせるガバダ。


「」


 あまりの内容に絶句するコーデリア。よく見ると彼女の目は、白目をむいていた。


 二国の代表が体調に異常をきたした為、会談は一時中断された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 四大魔王の存在すら知らず、知っても恐れる様子も見せない。 そんな日本側の態度そのものが、アグレシーズ帝国とナルカル連合にとっては信じられない。 要するにそういうことでしょうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ