11話 対立
「肌黒が生意気なッ!死ね!」
そう言うと、シャーリーが杖を取り出す。
「炎よ、矢となり敵を貫け!ファイアアロー!」
杖から、矢の形をした火が飛び出す。
「ぎゃあああああああああああああ!熱い熱い熱いー!」
「お、おい!何してる!やりすぎだ!」
慌ててキーマが止めるが、魔法を撃たれた男はもう手遅れだ。
「ふん!肌黒ごときがモノを言うからこうなるのです!」
「そうですな。この肌黒の獣が………」
「まあ、二ホンも他国の人間が一人死んだところで気にしはしないでしょう」
そこに、騒ぎを聞きつけたのか他の者たちが集まってくる。
「何があったんです!?」
大田原なども来て、そして焼死体を目撃する。
「こ、これは……キーマさん。何があったんです?」
「………その男が二ホンが我が国との国交樹立を断ることをこちらに伝えた。それに我々使節団の副代表であるシャーリーが激怒して魔法で焼き殺したのだ。こちらも止めようとはしたが」
「なッ………」
キーマの言うその内容に大田原は絶句する。が、すぐに落ち着きを取り戻すとこう言う。
「シャーリー副代表。貴方はこのインベルド王国で殺人という重罪を犯しました。貴方の身柄は拘束させてもらいましょう」
「な、何だと!彼女は我が国の外交官だぞ!確かに今回の行動は問題があるかもしれないが、拘束するなど正気とは思えんぞ!」
「肌黒を殺しただけでなぜそこまで騒ぐのやら、二ホンも程度が知れますなあ」
「むしろ害を処分したシャーリー卿を貴方は賞賛すべきだろう?」
キーマや他の交渉団がそれに対して食い下がる。
「まず、我々二ホン国は【アグレシーズ帝国】を名乗る集団を国家承認していないので彼女はただの外国人です。それに、何度も言いますが肌の色などによる人種差別に我々は賛同できません」
「くっ………が、外交問題に発展するぞ!それに、我が国との国交を拒否しながらケッペル王国と外交関係を持つということは我々の『宣言』に反するぞ!」
キーマがそう脅しをかけるが、大田原は一言。
「宣言?よく知りませんが我が国の選択をあなた方がどうこう言う資格はないでしょう?それと、我が国はあなた方と外交関係など無いので外交問題にはなりませんよ」
この瞬間、両国が友好関係を築く可能性は0になったと言えるだろう。
遅れてすいません。宿題をやっていたら気づかない間に時間が………




