39話 内閣総辞職
再開です!
首相官邸 閣議室
東京の中心部に位置する首相官邸。その一室で日本のトップたちによる会議が行われていた。
「金星経済産業大臣、原油の供給が始まりつつあるそうだね?」
「はい。金属類に関しても、クラート王国やインベルド王国に多数の鉱山があることが判明しています。時間は多少かかりますが、資源類に関してはもうだいたいは問題ないでしょう」
資源の確保に目途がたったおかげか、金星の顔色は格段に良くなっている。だが、それでも大半の大臣らは今の状況に危機感を感じていた。
危機感を抱いているのは、今の自国についてではない。自身の政治家生命についてである。
「経済に関しては結構なのですが、それより今の世論が問題です。例のインベルド王国の件は各メディアに非難されており、国民からも反感を買っています………どうしたものか」
そう田部農林水産大臣が言うと、場の雰囲気が一気に悪くなる。
「元はと言えば、葉名外務大臣や亜草副総理が言いだした案だ。お二人には責任を取って頂かねば」
「金星さんも賛成していらしたが、その辺どうなんです?」
インベルド王国を自衛隊で制圧する案を推進していた三名に、他の大臣たちが集中砲火をしだす。
総理大臣の須賀も、直接非難はされなくとも周りからの視線は明らかに冷たい。
(まさかこんなにも国民の反発が大きいとは………ここまでとなると、あの三人に責任を押し付けるだけでは済まないだろうな)
結局、須賀内閣はこの閣議の翌月に内閣総辞職をすることとなった。
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その後、須賀京太郎がまずは自友党総裁を辞したため、総裁選が行われた。
総裁選に出馬したのは、四名。
一人目は、岸川史雄。一時期は元首相安部の一番弟子とも言われていた男である。五人の中で最有力である。
二人目は、防衛大臣を務めていた川野太郎。党員からの信頼が非常に厚い。彼は対抗馬と言ったところか。
三人目は、高嶋。先述の安部が現在支援している女性で、防衛分野への意欲が強い。
四人目は、方山なつき。彼女は黒い噂などもあって、蚊帳の外と言ったところである。推薦人集めにも苦労したらしい。
そして、その四人の中から選ばれたのは………
「よって、新総裁には岸川史雄衆議院議員が選ばれました!」
岸川史雄である。党員投票では、川野が岸川に一歩リードした。しかし議員投票では岸川が圧勝し、岸川が新総裁となったのだ。
「岸川さん、よろしくお願いしますよ」
「ええ、分かっています………」
そして、岸川が勝てた一因は、亜草派の支援によるところが大きい。これが意味をすることは………




