表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/103

37話 帝国の野望

 ある建物の豪華な家具が置かれた一室で、二人の男が会話をしていた。


「インベルド王国の件について、報告に参りました」


 最初に口を開いたのは黒いローブを被った男、ヤダールである。今日は彼の瞳の色は美しい紫だった。


「ふむ………かの国は最近連戦連勝で調子に乗っているところがありますからね。そろそろ一度痛い目に合わせるべきかもしれませんね」


 それに対して椅子に腰かけている男、マークは深刻そうな表情でそう話す。


「いえ、もう、インベルド王国について心配する必要は無さそうです」


「と、言いますと?」


「二ホンという国が、インベルド王国を破りました。現在はその国がウィストラ大陸とその周囲の覇権を握ったと言っても過言ではないでしょう」


 そんなヤダールの報告に、もう片方は驚いたような表情を見せる。


「二ホン………聞いたことのない国ですね。となると恐らくは新興国ですか?」


「ええ、恐らくは。それと、こちらの魔道具に二ホンの軍艦を映してきました」


 そう言うと同時に、ヤダールは胸元からブレスレットを取り外す。ブレスレットの宝石の部分が突然強く光り、空中に映像を浮かび上がらせた。


「これは!」


 それを見て、マークは先ほどよりもさらに驚く。


「この映像のとおり、二ホンは金属を使った軍艦を保有しています。さらに、この軍艦に載せられている大砲は10km以上の射程があるという情報もあります」


「なるほど、ラファ―やシルフィアラに匹敵する技術力を持っている可能性があるわけですね?二ホンは格上の国と言うことですか、面倒ですね」


 そんなマークの愚痴にヤダールが口をはさむ。


「いえ、そうとも限りません。これはクラートの方に忍び込ませた密偵からの情報なのですが、この映像のように、二ホンの軍艦は全て一門の砲しか持たないそうです」


「何ですって?」


 それを聞いてマークの目が紫色に怪しく光る。さらにヤダールは話を続ける。


「そのうえ、連中の軍艦は合わせて六十ほどしかありません。おまけに連中の【チナーク】なる航空機は巨大で多くの人員を運べますが、時速300km程度しか出ないようです」


「高い技術力を持つ割には軍事力は弱いわけですか………これはチャンスかもしれませんね。今度の御前会議で、この映像は使わせてもらいます」


「了解いたしました」


「では」


「ええ」


「「我らがアグレシーズ帝国に栄光を!」」


 そこには、母国のために暗躍する二名の男が居た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ