1話 異世界転移は唐突に
それは、余りにも唐突な出来事だった。
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東京都某所
「はぁぁぁぁ。やっと終わったっ!」
ある会社員の男が、仕事を終えて帰宅しようとしていた。その時、彼はそれを見つけた。
「ん?なんだアレ。白く光って―
そして、閃光が辺りを包んだ。
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首相官邸
「何が起きているんだ!?いったいどうなってるッ!早く説明しろ!」
総理大臣の須賀幸太郎は、動揺していた。各地で、白い光が辺りを包み込んだという証言や目撃情報が出てから、何かがおかしい。各国との連絡が取れなくなったとか、領空付近を飛行していた中国軍機が消えたとか、変なことばかりが報告されてくる。
サイバー攻撃や電磁パルス攻撃?スパイが偽情報を流して我が国が混乱させられている?それともそれらの出来事は全部嘘でドッキリか何かなのか?どの想定も、あり得ない。何らかの矛盾が生じてしまう。
そんな現実に混乱し焦りや不安が強い須賀の問いかけに、彼の秘書官は報告こそするが………
「わ、分かりません。白い光が出てきてから他国との連絡が一切取れません。それに、米軍基地も丸ごと消えてしまいました………」
その報告も要領を得ない言葉ばかり。おまけに、いざというときの頼みの綱である米軍が煙のように消えてしまったことが彼をさらに不安にさせていた。
コンコン!ガチャ!
そんな中に一人の男が早歩きで入ってきた。
「失礼します!川野です。大至急報告したいことがあって参りました」
「そんなに焦ってどうかしたのか?川野防衛大臣」
「それが、その………「早く言いたまえ!私も暇ではないんだっ!」
言いよどむ彼に、須賀は早く言うように催促する。
「………世界の地形が無茶苦茶に変わっているんです!」