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東方夢想忌  作者: 松花 陽
青髪の少年編
4/8

人間なのか……?

それは数日前のこと。僕が幻想郷に来て二日目の日の事だった。僕は紫さんに、ある事を言われたことがある。それは……。


紫「ごめんなさい。どうやらあなたを現代に戻すことは、出来ないみたいだわ…。」


霊夢「…えっ?」


魔理沙「…えっ?」


甘堕「…えっ?」


僕らは、紫のその思いがけない答えに、口を揃えてそんな素っ頓狂な声を漏らす。実は、僕を現代という今の世界に戻すという事を行なっていたのだが…。その紫の一言によって、現代に戻るという希望が、なくなってしまった。

霊夢は、少し怒り気味に反論する。


霊夢「ちょっと紫?それはいったいどういうことよ!アンタの力があれば、容易に幻想郷と現代を繋げることができるでしょう!?なのになんで不可能なのよ!」


霊夢は、訳がわからないといった顔で、紫からの説明を急かす。


紫「とりあえず、落ち着いて聞いてね?」


そうして紫さんは、話し始めるのだった。


紫「なぜあなたが、現代に戻ることができないのか……。それは至って単純、あなたはもうあちらでは死んでいる身だからよ。」


甘堕「……えっ??」


紫さんのその言葉に、僕は唖然として口を開く。

空いた口が塞がらないとは、多分こういう時を言うのであろう……。僕は、そのカミングアウトに驚きすぎてしばらくの間口が閉じれなかった。

すると、魔理沙が反乱をする。


魔理沙「おいおい?!なんで甘堕が死んでることになってんだよ!甘堕は今、ここでちゃんと人間として生きてんだろ?!」


魔理沙「まだ会って丸一日くらいしか経ってないけど、私はこいつが人間じゃないとは思えないんだぜ!」


魔理沙は、僕の事を案じてくれているのか、僕のために反論をしてくれた。

だが…。


霊夢「でも魔理沙?もしコイツが妖怪だった場合、この幻想郷を脅かす者かもしれないのよ?それに、私的には妖怪だった場合、すぐにでも退治させてもらう所存だけどね。」


霊夢はそう厳しく、冷徹に冷静にそう魔理沙に返した。霊夢から、ある程度の幻想郷の事を聞いた僕は、博麗の巫女の役目とかもしっかりと頭に入れている。

そして、霊夢は博麗の巫女。もし僕が妖怪であった場合、幻想郷を脅かす可能性のある存在として危険視され、退治されることになるだろう。

僕がそう頭の中で深く考え込んでいると…。


紫「まあまあ、とりあえず続きを話してもよろしいかしら?」


紫が突然、霊夢と魔理沙の話を遮り静止させる。

紫には、まだ何か言いたいことがあるようだ。それを察した僕たちは一斉に黙り込み、紫の言葉を待つ。


紫「まず、甘堕乱が人間かどうかについてだけど、もちろん人間よ。ただ、どうやってこの幻想郷に来たのかは不明。そして記憶がない。」


紫「多分、幻想郷に来れた理由としては、世界から忘れられたからだと思うわ。」


紫「詳しく説明すると、あなたは現代では死んでいて、それで世界から忘れられて、この幻想郷に迷い込んだといった感じね。」


紫「というのが、私の考察なのだけど…。」


霊夢「なるほどね。」


霊夢はそれを理解して、頷く。


魔理沙「ん?私は少しこんがらがってわからなかったけど…。ようは、甘堕は人間で、現代で死んだからここに来たってことなのか?」


紫「まあ、そうとも捉えられるわね。」


魔理沙「あれ?もっとわからなくなったぜ?」


紫「というわけで、お役に立てなくてごめんなさい。というわけだから、霊夢?」


霊夢「んっ?何、紫?」


霊夢は、紫に名前を呼ばれ振り向く。

すると、紫は霊夢にこんな言葉をかけるのだった。


紫「甘堕のこと、当分泊めてあげなさいよ〜。」


と言って隙間を開くと、一目散に中に入って帰るのだった。


霊夢「………はっ?はあぁぁぁぁーー!?」


霊夢はそんな、困り果てた叫び声をあげるのだった。


□□□


そうして、今は夕方の時間。

この家……いや、神社には時計が無いため、正確な時間を知ることができない。なので、太陽の傾きを見て、今がどれくらいの時間なのかを大体で見積もっている。


霊夢「甘堕?」


甘堕「なんだ霊夢?」


霊夢に呼ばれた僕は、霊夢の近くに寄って、呼びかけに応答する。


霊夢「ご飯作ってもらえない?」


甘堕「……へっ?」


ふと、そんな素っ頓狂な声が漏れでた。だって、料理作った記憶がないから。いや、もしかしたら作れるかも?そうすぐに自分の頭の中で完結すると、せっせと台所の方へと足を運ぶ。


甘堕「マジか……。これだけの材料しかないのか……。まっ、なんとかするか…。」


僕は、あまりの食材の無さに唖然とするも、動きを止めずに、チャチャっと調理に取り組むのだった。


□□□


甘堕「ほら霊夢。できたぞ?」


料理ができたので、霊夢を呼ぶ。すると、早足で座布団の座り込み、飯を食べる。そうして、僕も一口おかずを口に放り込んで、白米をかき込む。

すると…。


霊夢「えっ?美味しい…。」


霊夢がいきなり、そう呟いた。僕はそれに驚き、霊夢の方を見入っていた。そして、霊夢は僕にこう言う。


霊夢「アンタ、これ本当に甘堕が作ったの?」


甘堕「うん、そうだけど…。なぜに疑う?」


霊夢「もしかしたらアンタの料理が不味いかもしれないって思ってたから、期待してなかったけど。」


甘堕「おいっ!」


それは思ってても口に出さないのが常識だろ?

と、心の中だけでツッコミをする。


霊夢「これは期待以上だわ!」


すると、霊夢は僕の方に向いてこう言い放つのだった。


霊夢「いい?あなたはずっと、この神社で泊まることを許可するわ!そのかわり、家事や料理とかもろもろ、働いてもらうからね!」


……と。

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