慣れ親しんだ生活録
霊夢「ねえ〜、甘堕〜?まだここに葉っぱが残ってるわよ。」
甘堕「わかってるよ。そういちいち言わなくてもいいだろ…。」
あれから、三週間が経過した頃。
名前を思い出した僕は、霊夢や紫と話した末に、ここの神社にしばらく泊めてもらう事になった。だけど、泊めてもらえる代わりに、ここでの家事や仕事をやる事になっていた。
だが、一つ疑問に思う事があった。
甘堕「なんで僕が全部やらないといけないんだ。どう考えてもおかしいだろ絶対。」
と、まあまあ小声で愚痴を呟いていると。
霊夢「それで泊めてやってるのは誰だと思ってんのよ?」
甘堕「げっ!聞こえてんのかよ!」
霊夢「当たり前でしょ。こんなにもの静かな神社なんだから、ほんの少しの声量でも聞こえちゃうもんなのよ。」
霊夢「静かじゃなくなる時といえば、閑古鳥が鳴いている時か、迷惑な客人が来る時くらいね。」
「その迷惑な客人ってのは、私の事か?」
と、聞き覚えのある声が辺りに響き渡る。ふと声がした方向を向いてみると、魔法使いのような服を着た少女、霧雨魔理沙がそこに居た。
霊夢「…ん?なんのことかしら…。」
と、面倒な顔をしながら視線を逸らす博麗霊夢。僕は魔理沙に近づいて挨拶を交わす。
甘堕「おっ?魔理沙来てたのか…。」
魔理沙「よっ!久しぶりだな、乱!」
そう言って僕の肩をポンポンッと叩きながら笑顔を浮かべる。
甘堕「いや、久しぶりって言うほどじゃないだろ。というか、昨日も来たよね?」
魔理沙「まあまあ、細かい事は気にすんなって!」
甘堕「そっ、そう……。」
いまいち、魔理沙の事はよくわからない。なんというか、男勝りで自由そうな人って事はなんとなくわかるのだが。何故か魔理沙の考えている事がわからない。まあ、考えても意味は無いしやめておくか。
と思った僕は即座に考えるのをやめた。
霊夢「でっ?魔理沙は何しに来たの?まさか、また用もなく来たの?」
魔理沙「いやいや、用ならちゃんとあるって!霊夢と話すっていう用がさ!」
霊夢「どうせ、暇潰しに私のところに来たってだけでしょ?」
魔理沙「バレちまったか…。さすがは霊夢だぜ。」
霊夢「何年一緒にいると思ってんのよ。」
霊夢は呆れ気味にそう言葉を吐いた。
甘堕「んっ?霊夢と魔理沙って結構付き合い長いんだな?見る限りでも、仲が良いなぁ〜とは思ったけど。いったい何年の付き合いなんだ?」
と、僕は気になった事を口に出して聞いてみた。すると、その質問には魔理沙が答えてくれた。
魔理沙「何年の付き合いって、そりゃあー……二、三……数年くらい前の頃からだったかな〜?」
甘堕「えっ?」
魔理沙「えっ?」
甘堕「そんな時から?」
魔理沙「ああ!そうだよなー霊夢!」
急に魔理沙は霊夢に振ってきた。そして、霊夢も口を揃えて同じ事を口にした。
霊夢「まあそうね…、多分それぐらいの時だったと思うわ。」
魔理沙「……だろ?」
甘堕「…まあ、とりあえずはわかったよ。ほら霊夢、境内の掃除終わったぞ。今度は何すればいい?」
と箒を壁に立てかけると、僕はゆっくりと霊夢の方へと駆け寄り、縁側の方へと腰を下ろした。
霊夢「あ〜…、終わった?なら次は夕食の食材の調達をお願い。前に教えてあげたんだから覚えたでしょ?」
甘堕「…うん、まあな。」
霊夢「それで、それが終わって戻って来たら、夕食の支度をお願いね。それじゃあよろしく。」
と、霊夢はだらしなく寝っ転がりながらそう言って、寝返りをうつのだった。
甘堕「……。はあ…、本当に面倒だぜ。」
魔理沙「なんだ、食料に困ってんのか?」
甘堕「まあな、ここ最近山菜ぐらいしか食ってないからさ。山菜でも、取れる量には限りがあるし、なんなら昼を抜く時もあるしで、いろいろと大変なんだよ…。」
魔理沙「それじゃあ、うちのキノコを分けてやろうか?」
甘堕「っ!?」
僕は目を見開いて魔理沙の方へと視線を向ける。
魔理沙「なっ、なんだよ?」
僕は魔理沙に感謝をしながら魔理沙の手を両手で握って、感謝を口にした。
甘堕「ありがとう魔理沙!本当にありがとう!」
魔理沙「おっ、おお??」
魔理沙は動揺しながらもそうゆっくりと頷いてくれた。よほどここまで感謝されるとは思っても無かったのだろう。
甘堕「よしっ!久しぶりに山菜以外の食材が手に入るぞ!さあ、気合入れて山菜取りに行こう!」
と、ウキウキとした足取りで僕は山菜を取りに向かうのだった。
不定期での投稿でございます。次回もいつ作るかは予定しておりません。もしかしたら、また投稿は先になるかもしれません。ですが、続けるつもりではございます。
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