99.2LDK賃貸物件の恋
【タイトル】2LDK賃貸物件の恋
【作者】りつりん
【掲載サイト】カクヨム
【URL】https://kakuyomu.jp/works/16818093089643881130
なんとなくXで話題になっていて、多くの人が読んで褒めていたから、僕も読んでみた。こういう話題には乗っかるべきだよね。
8000字弱の短編。
なるほど発想がおもしろいと思った。
2LDKの物件の中で繰り広げられる恋の話と思わせて、実際には物件そのものが恋をするという話。まあ、それは別に驚かない。こういう仕掛けで驚かせてくるだろうというのは読む前から予想がついていた。
無機物を擬人化させて感情を与えるという作品は多くあると思う。ここで言う擬人化とは人間っぽい姿を与えるということではなく、心を持たせるという程度のもの。でも、人間的な感覚を与えているという意味で間違いなく擬人化だ。
その上で恋愛させるという作品も多いだろう。カップリングを考えるのを極めすぎて、天井と床のカップリングを考える者もいるという話は手垢がつくほど昔から語られ続けている。
先行者の多いジャンルかもしれない。それでも、今作はちゃんと特徴的だった。
今作では物件にキャラクター性を持たせるだけではなく、物件にとっての生きがいとは何か。どういう出来事に喜び、あるいは悲しみ、そうやって感情が動いた時にどうなるのかが、丁寧に語られている。人間が胸をときめかせる時、物件はどうなるのか。それを大真面目に見せつける。
さらに、人間に立場や人間関係があるように、物件にも似たようなものを設定して、その上で立場や他者との関わりを書く。
これの描写が丁寧だから、単に出落ちなだけの作品とは一線を画している。
それだけではなく、予想もつかなかい方向に話が展開していき、なおかつそれを読者に納得させた上で恋愛ものとしてしっかり畳んでいる。それが本当に上手い。
発想こそ突飛だけど、書き方は恋愛作品としてものすごく真摯で丁寧だ。
だから、2LDKの恋なんて変な題材だれど、書かれているのは間違いなく恋であり愛だ。そこになんの偽りもなく、ただ真剣な想いが綴られる。
ゆえに引き込まれるし、感動した。題材選び以外は真っ当な作品なのが素晴らしい。




