95.ある自動階段人夫の話
【タイトル】ある自動階段人夫の話
【作者】黄金頭
【掲載サイト】関内関外日記
【URL】https://goldhead.hatenablog.com/entry/20120413/p1
今年最初の更新となります。本年もよろしくお願いします。
今年も、いろんな小説を読んで感想を書いていきたいと思います。
最初の一本は、XのTLで見かけた短編作品だ。掲載されている関内関外日記とは、はてなブログの中にある個人のブログサイトだ。ブログ事情に疎いから、はてなブログっていうのがどういうブログなのか詳しくないのだけど、ブログなのは間違いない。タイトルの通り、普段はブログ主の日記が書かれている。
今作が書かれたのは2012年4月13日。ずいぶんと前だなあ。ブログの更新は今もされていて、作者のXも今も更新されている。昔から続けている人っていうのは偉い。なんというか、長く続いている歴史のロマンみたいなのを感じる。
そして昔から文章がうまいというのが、尊敬できる。
というわけで読んだ。なるほど面白い。
「自動階段人夫」なる、聞き慣れない職業が出ているが、読んでいれば何なのかはすぐにわかる。この仕事をしている男の人生と内面にある価値観の物語だ。短いが、その中のドラマがある。
この仕事は、機械の一部になりながら単純で技量が必要ではない、とされているものだ。
そんな仕事に従事する人間は、社会的の中で考えれば底辺というか、そうでない仕事の人間から見れば蔑まれて見られることだろう。
そんなことはない。社会に必要な立派な仕事だよと言う人間も多いだろう。それは本音のはずだ。しかし彼らも、立派な彼みたいになりたい。あの仕事をしたいとは決して言わない。だから彼の仕事は、周囲から見てうっすらと蔑まれていると言っていい。
そういう仕事をしている物が、なぜそれを出来ているのかを解き明かす。
その理由はあまりにも儚く一瞬のことだった。理解はできるが、それでも小さすぎる。しかし彼にとっては永遠だった。それで十分だった。
それのみを心に抱いて、ただ黙々と仕事を続ける彼の心が眩しかった。
彼は己の中に揺るぎない価値観を持っていて、それを守り続けている。周囲にどう思われようが構わないし、変わることがない。それが美しい。
きっと、そんな価値観を持てない側、そしてこういう人間を立派だと思いつつも自分は出来ないとわかっている側に僕が立っているからこそ、一層美しく見えるのだろう。




