9.CAMPUS OF THE INFERNO 戦慄の課外授業
【タイトル】CAMPUS OF THE INFERNO 戦慄の課外授業
【作者】樹海
【掲載サイト】恐怖映画学校
【URL】http://kakipyi.fc2web.com/junk-novel/campus_ofthe_inferno.html
読んだ。先日レビューしたゾンビ小説「鮮血の登校」の続編で、掲載サイトも同じく「恐怖映画学校」である。映画レビューもおもしろいから、皆さん是非訪れてほしい。
前作のラストシーンから始まり、結末が実は……というのが提示される種類の導入。そして新しい惨劇の幕が上がる。今度の舞台は大学のキャンパスであると同時に、地獄の門が開いた向こう側でもある。
とがいえ地獄でもやってる事は変わらないというか、やはりゾンビ作品だ。
ゾンビの造形は前作とは異なっていて、脆い代わりにより不気味なものとなっている。地獄の餓鬼をゾンビとして書く発想が秀逸。ゾンビの可能性はまだまだたくさんあると思わせてくれる。
登場人物は若干少なくなり、その分キャラクターの掘り下げがなされてる印象。ゾンビ映画における犠牲者要員であっても、キャラの個性は重要だ。
キャラクターの多くは大学生で、大抵が問題児。極限状態におかれた彼らの人間性が光っている。より魅力的に書かれていると思う。等身大の大学生という書かれ方がされているのが、前作からの進歩した点だろうか。
そして今作にはゾンビ以外にも、鬼と呼称される強敵も出てくる。ボスキャラクターであるこれを、少ない人手と道具でどう攻略するかのギリギリの戦いが見どころのひとつ。
一歩間違えれば死ぬっていう戦いで、スリリングだ。残酷描写の表現力も上がっている。ここは、物書きの端くれとしてあやかりたいものだ。
人体破壊的な残酷描写もさることながら、餓鬼や鬼のグロテスクな造形や、舞台となる地獄の光景まで、視覚に訴えかける残酷さが目白押しで実に好みの作品。
ラストも、乾いたタッチながら爽やかだった前作とは変わった、どこまでも救いのない種類のもので、良い悪趣味だなあと思う。おもしろかった。