88.すみちゃんに見えた光
【タイトル】すみちゃんに見えた光
【作者】尾八原ジュージ
【掲載サイト】カクヨム
【URL】https://kakuyomu.jp/works/16818093082016743222
ネオページ以外の作品も、もちろん今後もここで感想を書いていきたい。
前にふたつほど読んだ作品の作者の別作品。こっちもフォロワーおすすめということで読んだ。なるほど、面白かった。
ジャンルとしてはホラーだし、そういう雰囲気はあった。けれど作者がキャプションで「いちおうホラーにした」という趣旨のことを書いているあたり、本来は別ジャンルの想定だったのかなと思った。
たしかに、話の中には怪談めいた箇所もあったし、不快な登場人物や不気味なモチーフが出てきて全体的にダークな雰囲気だ。怪奇的な現象が起こり、そこに多くの死が書かれる。だから間違いなくホラー作品なんだけれど、同時に美しさも感じた。だから印象としてホラーっぽさは薄いと思う所もある。
小さなすみちゃんは目が見えない。けれど光が見えるという。それはなぜか、死にまつわるものに見えるそうだ。
そんな彼女のたどる運命を、同い年の少女から見る話。幼い頃の思い出を語るといったような、懐かしい日々を思い返すような叙情を感じさせる構成が郷愁を誘うようで好きだ。
話には常に不穏さが見え隠れしている。それはすみちゃんにきつく当たる叔母の存在だったり、すみちゃんが死に触れ続けていることだったり。それが終盤で大きな悲劇をもたらすのだけれど、それでも美しいと感じた。残酷で物悲しい話なのだけど美しかった。
この美しさはどこから来るのだろう。
「光」というビジュアルから来る美しさとか、ラストの郷愁を感じさせる文のおかげでもあるけれど、すみちゃんの存在というか、ありかたに起因するのもあるんじゃないかなと思う。話には欲深い大人たちが出てきて、すみちゃんはそれに抵抗して報いを与える。彼女の力は超自然的だけれど、内面は人間っぽさを感じさせる。
彼女は自分の運命を知っていて、それを受け入れつつちょっとした反抗をする。超然としていて人間らしい。そのバランス感覚が、なんかいいなと思えた。そんな彼女の存在感が、とても美しいと感じた。




