82.余命一か月の彼女と、彼氏と、そして殺人カナブンと
【タイトル】余命一か月の彼女と、彼氏と、そして殺人カナブンと
【作者】加藤よしき
【掲載サイト】カクヨム
【URL】https://kakuyomu.jp/works/16817330656481831570/episodes/16818093081239640446
Twitterとかで流れてきて、面白そうだなって思って読んだ作品。
だって殺人カナブンだよ? ワードの時点で最高じゃん。殺人ってつくと大抵の言葉は面白くなるけれど、カナブンというワード選びが最高すぎる。読むしかない。こういう変な題材に真面目に取り組もうとする姿勢が最高だと思う。
カクヨムに掲載されているこの作品は「もしもカップルが……」というタイトルで纏められる短編作品集だ。
Twitterで「こういうカップルがいたとして、どうなるべきか?」というタイトルでアンケートを取って、その結果から話が進んでいくという内容。面白い試みだ。
つまり今作以外にも、そういう作品がたくさん掲載されているというわけ。素敵じゃないですか。
タイトルは変だけど、中身はとても美しい話だった。
余命一ヶ月の少女と、想いを寄せ合う少年。余命ものっぽい雰囲気で、残り少ない命をどう使うかのやりとりをする。ふたりの関係性は悪友という感じで、湿っぽくはならない。けれど余命という大きな要素が陰を落として、儚さも見せつける。
そして話に殺人カナブンが乱入する。
美しい話に殺人カナブンが乱入して面白くならないわけがない。サプライズニンジャよりも面白いから、これは発明だ。
この殺人カナブンも、設定自体はかなり真面目にやってるのが伺える。いいなあ。すごくいい
殺人カナブンに襲われると死ぬ。それを前にして余命一ヶ月の少女は何を思うのか。少年と下す決断の顛末が話の肝。そこも、なかなかいい落とし方をしていて好きだ。
美しい死を書いた後に、殺人カナブンという美しくない死を見せる。死の対比があるからこそ、そこに新たな道を見出すことができる。
死は美しいが、生きることも美しい。深い話だった。
今作は短編集の中の一編であり、他にも面白そうな作品が見受けられる。これはいいな。今後もこのシリーズを読んでいきたいと思った。




