77.おれの華麗なる一日
【タイトル】おれの華麗なる一日
【作者】フカ
【掲載サイト】カクヨム
【URL】https://kakuyomu.jp/works/16818093072916794497
今回もまた、カクヨムでやっていた個人企画、暴力小説大会の一遍。
企画者によって審査が行われて、栄えある暴力大賞を受賞することになった、一番暴力的な作品だ。なるほど、その栄誉に相応しい暴力性が書かれている。しかもいくつも。
暴力の内容が具体的であり、写実的なのも好きなところ。暴力やそれによる痛みの表現がねっとりとしてるのが好きだ。
どうやら視点となる少年の暮らす街は治安的に終わってるらしい。雰囲気としては「地元最高!」みたいな感じに似てるかもしれない。あそこのように犯罪する組織がない分、さらにカオスなことになっているかもしれない。けど、暴力に抵抗がない人間たちばかりが住んでいるというのは変わらないし、行き着く先は似たようなものになるのだろう。
暴力装置であるやばい奴の存在をみんな知っていて、それが暴れるのを誰も止めることができない。暴力が既に日常の中にある世界で、非日常の暴力事件を目にすることになる。
その暴力は容赦がなく、正気ではなく残酷なのだけれど、それでもどこか心地よさを感じられる描写だった。
そして、読み手は思い知ることになる。
暴力は誰にでも振るえるのだ。一方的なものではない、と。
そんな事実を目の当たりにした少年が逃げ帰った先にある、さらなる暴力。しかしこれも、不快になるタイプの暴力じゃないのがいい。
暴力から逃れることは出来ないという絶望的な世界が繰り広げられるのだけど、一方で作中で提示された、暴力とは何かという問への答えが印象的だ。
それはとてもわかりやすく、誰にでも公平なものと思わせられるもの。だから残酷なのかもしれない。
公平だからこそ、誰も逃れられない。
暴力というテーマに真正面から向き合った、実に良い作品だった。




