71.死神さんと、俺。
【タイトル】死神さんと、俺。
【作者】にわ冬莉
【掲載サイト】カクヨム
【URL】https://kakuyomu.jp/works/16817330650306183922/episodes/16817330650306515215
短編シリーズもこれで一段落。まだまだおもしろい奴があれば読みたいから、知ってる人は教えてほしいな。
いくつか短編を読んで、今回扱ったものに限らずこれまでこの「なろう外評論」で扱った短編を振り返ってみた。とても興味深かった。
短い文字数の中で世界を表現する。長編作品でもそれは可能なことではあるけれど、短編という枠の中では特にそれが顕著なように思えた。
すぐに物語の終わりが来るという制限の中で、様々な事象を描く。それは日常のワンシーンかもしれないし、大冒険かもしれない。人の一生かもしれない。いくつもの世界の連なりかもしれない。
表現できる物語の幅の、なんと多いことか。ダレることなく、それを書き切る技術力も必要で、そこが短編を読む楽しみのひとつかもしれない。
今作も約6000字で、さらっと読めてしまう文字数のお話。しかしそこで書かれる人生は、さらっと読むには重く、優しすぎる。
そう、この作品では一生の経過が語られる。長く温かな人生の話だ。
生きる希望のない男の前に現れた、黒い死神の少女。魂を持っていかれることに未練がない彼と、マイペースで掴みどころのない死神の会話が独特の雰囲気を出していて、良い。
生に執着しない男と、死神の役目を果たそうとしない死神の対比。この奇妙な関係が一生続く。
死神の言う運命なるものに導かれて、男の人生は進んでいく。おぼろげながら未来が見えて、けど何が起こるのかはわからない。わからないから、生きていく意味がある。
短編故に、長い人生はダイジェストの形で書かれるのだけど、それはそうとして人の一生を読ませる重さが伝わってくる。
そして最後に明かされる"死神"の真意。謎めいた言葉の真実。短い中にしっかりとした構成があって、そして泣かせてくれる。
人生は生きる価値あるものなんだなと、強く思わせてくれた。
短編とは実に興味深いものだな。今後も積極的に読んでいきたい。




