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「小説家になろう」以外掲載の作品の評論集  作者: そら・そらら


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68/116

68.祈りの海

【タイトル】 祈りの海


【作者】小鳥猊下


【掲載サイト】よい大人のnWo


【URL】https://newtest.nwo.jp/fake_emperor/blaze/551/

前回に続いて、なろう外に掲載されている短編作品で応募があったシリーズ。これは他薦作品で、かつてカレンダー小説企画を紹介していただいたフォロワーからの推薦となっている。


掲載されているのはブログ形式のサイト。そこには数多くの短編作品や文章がある。

この作品の投稿された日時として、1999年10月29日の表示があった。前世紀じゃないか。

このブログが開設されたのは、もっと後になってからのこと。ブログの、投稿日時を操作する機能でこの日付を出したのだろう。これが書かれた日時を見せるために。


どうやら本当に、1999年にこの文章はネットに初めて出されたのだと思われる。


「よい大人のnWo」というのは、個人がインターネットを利用し始めた黎明期に数多くあったとされるテキストサイトのひとつらしい。サイト自体は既に閉鎖されて、ブログとして復活したという経緯がある。

軽くググってみると、mixiにファンコミュニティが見つかったし、X(旧Twitter)で検索するとサービス開始から間もない2007年の4月に言及しているつぶやきを見つけた。当時からコアなファンが一定数いたらしい。

当時のことを知ることは今となってはできないが、一旦ブログになってからも休止と復活を繰り返していた様子である。そして著者の小鳥猊下のXアカウントは今も使われているようだし、noteには最新の映画やゲームの批評が綴られている。


とても頭のいい人だと思う。映画評に関しては個人的に意見が合わない箇所もあるけれど、それはそうとして深い考察がなされていると思うし、なるほどと思う文章が書かれている。面白い表現も多々あった。

なにより、インターネット黎明期から文章を残してきて、ここまで支持を集めている人だ。相当な才があるのだと思う。


そんな人が、およそ四半世紀前に書いた文書がこれだ。


文学的で幻想的な作品だ。ふわふわとした、なかなか掴みどころのない書き方をしているのだけど、それでも読ませてくれる力量がある。


語り手が何者なのか、かなりぼかした書かれ方を始終している。そんな、謎を残す構成でありつつ、の文章の美しさで作品を成り立たせているのが良い。

自分の葬式を知覚している。悪によって魂が傷つき変容するという内容の回想があることから、語り手はたぶんそういう状態なんじゃないかなと推測しつつ、他者との関わりも持ってる点が、どうも不可思議というか。謎な雰囲気を漂わせている。

そんな、幻想的と現実的の境を行き来するような描写が楽しい。


他者との関わりとは言うけれど、その他者もあやふやというか、現実感に乏しいというか。そこにいるけどいない感じもする描写に美しさがあった。まるで夢を見ているような、そんな感覚。この表現が出来るって、素敵だ。


故に唐突に訪れるラストも、そこで告げられるメッセージの唐突さや、微かに込められている温かさにも綺麗な余韻が生まれるというか。突き放しているというか、どこまでも語り手を虐げるような展開が感覚に訴えるような描写をされているのに、ラストは穏やかな感じなのがいいのだよな。

よくわからないけど、美しい作品だ。



この作品は2つのタグがつけられている。読んでいて抱いわからなさは、もしかしたら他の作品も読んでいけばわかるのかもしれない、なんて思った。

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