66.オーロラの中で魚と踊りたい
【タイトル】オーロラの中で魚と踊りたい
【作者】エキセントリクウ
【掲載サイト】四季ノ国屋 超時空支店
【URL】https://www7b.biglobe.ne.jp/~marboh_plus/12_gatu.html
これが、2023年のなろう外作品評論の最後の投稿になる。今年も一年、ありがとうございました。
今年投稿した件数は、これも含めて22件。去年よりも増えた上に、十数万字ある長編作品もそれなりの数を読むことができた。
来年も、多くの作品を読んで感想を皆に届けられればと思います。
今年最後に読んだのは、カレンダー小説企画の12月の話。
去年の3月にフォロワーから、このサイトについて教えられた。そこからゆっくりゆっくり読んでいって、今回ようやく全編制覇できたわけだ。
短編集なのだから、その気になれば数日で読み尽くせる分量。それにわざわざ時間をかける意味も薄く、単に僕が短い間隔で感想を書くのは疲れちゃうとかの、そういうものぐさな理由でしかない。
けれど、一年の季節の移り変わりや年中行事をテーマにした作品群をゆっくりと読んでいくのも、それはそれで風流なのではないかなと思っている。まあ、言いわけだ。
というわけで、最後の短編を読んだ。
そしてちょっと困惑した。
とても詩的なタイトルだし、内容も童話調の語り方でメルヘンな世界が展開されるけど、とても変で素敵なお話だった。
うん。変な作品だ。だから困惑した。
サンタクロースが病気の子供たちの願いを魔法みたいな力で叶えてあげるという筋書きは、とても童話チックで良い。
そのサンタクロースは女の子で、随分パンクな性格をしていて口も悪く、彼氏がいる。大人の欲望にまみれたお願い事に暴言を返す、ロックなサンタだ。うん、変だ。
ここから連続して、シュールな光景が矢継ぎ早に展開される。
限られた文字数の中で、ここまでおかしな世界観を展開できるのは素晴らしい。
このサンタクロースと、落ち着いているが理屈っぽいトナカイの掛け合いが面白い。これだけ強烈なキャラクター性を見せるふたりだけど、物語のクライマックスの描写の前振りでしかないという使われ方も意表をついていて面白い。変だけど。
話のクライマックスにある、タイトルにもあるオーロラの中の魚の描写がいい。愉快な海の光景が次々に映し出される。文字情報だけど、情景が浮かんでくる書き方がされていて、作者の技量を感じた。
名作絵本である「スイミー」について唐突に話すんだけど、あの作品の一番の見どころってスイミーが魚群の目になって強敵を倒すところではなく、孤独になったスイミーが見る海の美しい光景の数々だと思うんですよね。
それを彷彿させる、海の光景が次々に描写されるくだりが、とても美しいと思えた。
ラストに、物語はメインのキャラクターの手から離れて、カレンダー小説企画それ自体のエンディングが書かれる。唐突感ある終わらせ方だけど、そういうものかと納得させてくる世界観の構成ができているのも事実。
なかなか面白い話だった。
うん、素晴らしい話だった。美しく、シュールな世界観が連続しながら、ここまで読ませてくれる。かなり楽しめた作品だった。
来年もこんな感じで、小説を読んでいきたい。どうかお付き合い、よろしくお願いします。




