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6.汝、人間なりせば

【タイトル】汝、人間なりせば


【作者】はち


【掲載サイト】ノベルアッププラス


【URL】https://novelup.plus/story/503236519

ここのところ、ずっと短編読んでる気がする。別に長編を読んでるのをサボってるわけではなく、長編は読むのに時間がかかるゆえ、レビュー投下の間隔を開けないためのテクニックです。


というわけで今回も短編。1万字程度の作品。ノベプラで行われた、ロボット工学三原則コンテストなるものに応募された作品とか。


アシモフもロボット工学三原則も、僕は大好きだから、これは興味をひかれる。


今作は、三原則を下敷きにした、寓話である。SF要素は薄めながら、興味深い短編だった。


ロボット工学三原則に謳われている「人間」の定義の曖昧さに関しては、アシモフ自身も自覚していた。というか、曖昧故に物語を作るギミックとして有効だった。今作では、人間とロボットの構造を限りなく近づけることで、新たな解釈をしている。


今作に登場するロボットはプラスチックの歯車で作られたものではなく、人間と区別のつかない構造のもの。アンドロイドと言うべきものかな。

三原則とはロボットの構成ではなく行動を規定するものだから、このような形であっても問題ない。そこがまず重要な点。


人間と完全に同じにも関わらず、人間に従属する存在となった世界。それが不要となってしまい、人間がロボットに悪意と残虐性を向けた世界が描かれる。このディストピア感溢れる世界の閉塞感というか、人間の醜さをストレートに書くスタイル、ありだと思う。さらっとえげつない描写が入るのが好きだ。


物語のクライマックスで、ロボットから見た「人間とは何か」の問いかけがなされる。三原則の解釈を扱った作品なのだから当然出し、その結果としての皮肉なラストがあとを引く構成となっている。そして同時に、人間から見て人間とは何かについても、鏡合わせのように問いかけているのではと思う。


ロボットをロボットと見なし虐殺する人間は、本当に人間を把握できているのか。その危うさがあるからこその、あの終わり方なのだろう。


ギミックはSFを用いながらも、人間性という哲学的な問を投げかける作品だった。

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