58.Maria ー異端審問会のマリアー
【タイトル】Maria ー異端審問会のマリアー
【作者】赤伊 正広
【掲載サイト】カクヨム
【URL】https://kakuyomu.jp/works/16817330656585483031
#RTした人の小説を読みに行くタグで来たもの。しばらくはそれから選んで読むと思う。募集してから、まだそんなに日が経ってないもんね。もう少ししたら、見かけた興味のある作品を読むようになると思う。
10万字で完結済作品。かの有名な切り裂きジャック事件の真相を追う、というお話。だけど歴史ミステリーではなくファンタジー作品だ。バトルものとしての要素もあり、クライマックスはそれで大いに盛り上げてくれる。
切り裂きジャック事件と、その百年後に起こったフィレンツェでの連続殺人事件。実在するふたつの事件を、不死の少女が時代を跨いで解決する。
そう。不死だ。百年の隔たりがあるふたつの時代を、同じ少女が目の当たりにすることになる。だからファンタジー。人外の存在が当然のように出てくる。ごく普通の人々の認識の外で密かに活躍する人外のキャラたちの、戦いの話だ。
とはいえ実在の事件をベースにしているから、それを追いかけていく雰囲気はちゃんとあるのが良い。
殺人事件があって、死者が出た。犯人はわからない。その事実だけを我々は知っている。その裏に何があるかを大胆に書きつつ、表の描写は事実に矛盾しない構図はかなり面白いと思った。
切り裂きジャックがあまりに有名な故にそれを取っ掛かりにしつつ、作者が本当に書きたかったのはフィレンツェパートではないかなと、僕は思った。事件の解決編だから当然かもしれないけど、かなり力が入っているようだ。80年代始めあたりのフィレンツェを歩き回るパートの描写が、細かくて良い。
フィレンツェのことをよく調べたか、かなり好きなんだろうなという印象を受けた。そこに創作意欲を割く方針はいいと思う。
また、そんな華やかなフィレンツェと対比するように、前半のロンドンの貧困層の空気感みたいなのを出すのもうまかった。
決して歴史ミステリーではない、ケレン味の強いファンタジー作品なんだけど、歴史ものとしての雰囲気もちゃんとあったという印象。
この作者の歴史もの小説があれば、読んでみたいなと思った。




