57.失敗召喚師の残念レポート
【タイトル】失敗召喚師の残念レポート
【作者】和扇
【掲載サイト】カクヨム
【URL】https://kakuyomu.jp/works/16817330648208537534
前回と同じく、#RTした人の小説を読みに行くタグで来たもの。現時点で40万字超えで、なかなかの大作だ。一応、キリのいいところまで書かれているから、安心して読んでいいと思う。
なかなか面白い作品だった。異世界ファンタジーで、現代日本からの転生要素はあるけれど、薄い。主人公は生粋の異世界現地人だ。
魔法の研究を日夜行っている組織を舞台にして、他に同じ分野を研究する者も先駆者もいない召喚魔法に挑み、失敗を繰り返す少女のお話。
召喚失敗で爆発事故を起こし続ける主人公なんだけど、性格が馬鹿っぽくて前向きなので暗い雰囲気にならないのが良い。
最初に召喚を試みるのはスライム。そんなオーソドックスなモンスターの召喚に挑みつつ、主人公の人となりや登場人物や世界の姿を見せていく構成が面白い。
ポンコツで研究もうまく行かない。けれどめげることなく挑み続けて、少しずつ成長していく過程を追いかける話。失敗ばかりの召喚だけど、その失敗の様子にどこか成功の兆しがあったりする。
本当に、主人公のキャラが可愛い。ちんちくりんのアホの子ってだけでも個人的に好みなのだけど、それが元気いっぱいに動き回る姿が良い。勢いのまま突き進み、周りの人たちを笑顔にして、支えられながら成長していく。良い。とても良い。
話が進むにつれて、召喚対象あるいは話のテーマになる生物は特殊なものになっていく。作中世界における豊かな自然のあり方。おもしろい生体の動植物と、それに関わっていく人間の文化を浮き彫りにする。登場人物は出身地も種族もバラバラで、それぞれの土地や文化の違いが見えてくるのがおもしろい。
異世界の動植物を通して、人間の営みを紹介するお話なんだと僕は思った。主人公が見聞きし、召喚を試みる対象である生物の多様性の、なんと豊かなことか。そんな生き物が暮らす世界が、とても美しく思えた。




