55.封魔戦姫・理沙
【タイトル】封魔戦姫・理沙
【作者】六条院深雪
【掲載サイト】pixiv
【URL】https://pixiv.net/novel/series/1240800
僕がアカウントを持ってweb小説家として活動している、小説家になろうやTwitterの界隈とは全く関係ない、他のネット上の繋がりで知り合ってる方が前に小説を書いていたということで拝見した一作。
その方はpixivアカウントのパスワードを失念してしまい、この作品は今後更新の余地が全くない、いわゆるエタった作品。それでも十万字あまりある分量は、なかなか読み応えがあって楽しめた。
ダーク気味な歴史ファンタジーっぽい始まり方をして、シリアスな雰囲気の物語かなというのが第一印象。崇徳院が隠岐に流刑となった時代。平安末期の京の都が舞台。崇徳院が狂気に冒された原因は、人々を脅かす妖にあった。そんなバケモノとの、戦いに身を投じることになる封魔師と呼ばれる者たちを書いた作品。
となると、やはり「陰陽師」みたいな歴史ファンタジーみたいな雰囲気が感じられるけど、実際にはもう少し気軽に読める作品だ。ただし大人限定で、だけど。
本作の正式なジャンルは、変身ヒロインもの。封魔師の女の子たちが、掛け声と共に身に纏う服を変え、露出の高めな格好に少し恥じらいながらも悪しき怪物と戦う。そんなお話だ。
そして当然のようにヒロピンものの作品で、下心がある怪物たちに服を剥かれたりする。そういうえっちなシーンがたくさんある。
そういう意味で、肩苦しいお話ではない。読む側も気楽に臨めるというか、そういう下心を隠すことなく読んで満足していいと思う。
一方で、文章はかなり手堅い感じで綴られているから、ライトな物語ではないと言える。えっちなシーンはありつつ、そこに至るまでの戦闘シーンなんかはかなりシリアス。
登場人物の背景もそれぞれに過酷なものを用意している。ヒロピンに遭って読者を楽しませる、そういう期待を向けられるキャラではあるのだけど、彼女たちの内面がエロい部分以外にもしっかり書かれているのが特徴的。過去にそれぞれ挫折や悲しみがあり、それと向き合う心情が細かに記される。
今作の敵である「妖」は、人の弱い心に付け込んで乗っ取る性質を持っているらしい。故に、各登場人物の内面描写が生きてくる。自分の心の暗部に、悔いに、悲しみにどう向き合うか。それが敵との向き合い方にも反映される。真の敵は己の中にある。気を抜くと悪に魅入られる。
心の強さをどう持つか。封魔師として強いことが、心の強さに直結しない。じゃあどうするか。ライトではない問いが登場人物に突きつけられることになる。
未完のまま放置されている作品故に、答えが示されるわけじゃない。けどそれが、色々考えられて面白いんだよなあ。




