51.シガツの桜
【タイトル】シガツの桜
【作者】執筆:橙。 原案:7GO
【掲載サイト】四季ノ国屋 超時空支店
【URL】http://www7b.biglobe.ne.jp/~marboh_plus/04_gatu.html
カレンダー小説企画、四月のお話。
この企画唯一の、作者の他に原案者の名前がクレジットされている作品。この原案者の7GOという方の情報も皆無だ。個性的とは言えるけど、検索してもそれっぽいのは見つからない。謎だ。
執筆したのは、11月の作品「目隠し鬼さん、手の鳴る方へ」の橙。さん。この人も消息不明である。そして、かの作品と全く異なるテンションで文章が綴られていて、感心した。
春は別れと出会いの季節とはいうけれど、別れは三月に済ませてしまって四月は出会いの季節と、月で分ければ性格は大いに違う。三月は別れの物語だった。そして四月の今作は、出会いの季節というわけではない。
遭遇は書かれるけれど、それ自体がメインではない。
四月といえば桜が咲いて散る季節。
これは桜が舞う季節に起こった美しい出来事。極道に生きる男の身に降り掛かった、喜劇だ。そう、耽美なる喜劇なんだよな。主にBL的な意味の。
物騒な内容のお話が、限界腐女子の視点で面白おかしく語られているのが特徴的なお話だ。
他の短編では端役として登場することも多い、メインテーマである四季ノ国屋の店員をメインキャラに据えて語られる短編。しかし話を動かすのは、書店員の女が向かった先にいたヤクザ。
組同士の抗争を片付けるために、因縁の男との戦いに臨む彼に嫌々ついていく彼女を語り部として展開する。美少年のBLが好みだから、おっさんのヤクザはなあという感情が素直に語られるのが面白い。主にテンションの高さとかが。
少年愛なBLが好きなだけではなく、実在の人物同士の絡みが大好物なナマモノ趣味で、しかもそれを当人に告げることにも一切の抵抗がなさそうな限界腐女子が、仕事のためにヤクザの世話をしてついていく。その戸惑いと、ヤクザ同士の切なくてBL的な物語が展開される構図の立て方が上手い。
ヤクザの話それ単体だと、それなりにエモくはあるけど盛り上がりに欠けるかなという出来栄えの短編になるのだけど、そこに特殊な視点を投入することで違った味付けにしてるのがいい。




