46.この世界に、残り続けるような物語を、君と。
【タイトル】この世界に、残り続けるような物語を、君と。
【作者】繊月ハクサイ
【掲載サイト】カクヨム
【URL】https://kakuyomu.jp/works/16817139558860245766
ちょっと前に募集した、RTした人の小説を読むタグに応募があった作品。カクヨムに連載していて、現状4万4千字ほどの連載中の作品だ。あくまで予想だけど、ダラダラ続けることなく、きちんと完結を見据えて書いている小説だと思う。完結した時は10万字くらいの、まとまった作品になるのではないかな。
そういう予想が立つのは、構成をしっかり立てた上で書いていると察せられるから。かなりしっかりした文体と、作品の中で書かれている日常にいつか終わりが来るという予感がひしひしと感じられる。そんな作品。
そんな、浮ついた所のない文章が美しい。「小説を書く」ということをテーマにした高校生の青春物語で硬派な恋愛小説だ。
かつては小説家の父を病気で亡くし、自身も小説家を目指す少年と、その父と関わりがあったと思われる少女。このふたりの交流を書いた作品。
ふたりで小説を書く、という甘酸っぱい行為と、少女の言動の端々に見える不穏さがバランス良く混ざっていて、なかなか展開が気になる構成となっている。
作品内では、少女の抱える謎が焦点となっているのだと思う。その真相については透けて見えるから、そこをオチにすると少し弱いかという印象はある。ミスリードだったらすまない。もしそうだったら、この作者は類稀なる技量を持っていると言えよう。
そういう意味で、ストーリーはまだ平凡なものかもしれない。一方で文章は巧みで楽しめる。情景描写も心情描写も丁寧に書かれていて、そこが好き。ヒロインもかわいいのも好きなところ。
前向きになれない少年と、いずこからかやってきて彼を導くヒロイン。そう書くと典型的な恋愛ものになってしまうけど、そういう基本に忠実な物語を丁寧に書いているのが、好感の持てる作品だった。
作者は中学生とのこと。それでこれを書けるのだから、末恐ろしいという他ない。




