45.燃えよ本
【タイトル】燃えよ本
【作者】エミムラ
【掲載サイト】四季ノ国屋 超時空支店
【URL】http://www7b.biglobe.ne.jp/~marboh_plus/01_gatu.html
今年も、いろんな小説を読んで感想を書いていきたいと思います。
一本目は、去年からちょくちょく読み続けているカレンダー小説企画から。今年の内にコンプリートしたい。
当月のやつを読もうということで、一月の作品。一本目にふさわしく元日を舞台にしたお話。僕が読んだのは、とっくに正月気分など抜けてる頃合いだけど。本作も元旦の初詣の日付以外に、この季節でなければという要素は薄いから、いいだろう。
作者のエミムラという方は、小説家になろうにアカウントを持っている。ただし2019年を最後に更新が止まっている。メインとして書いていた作品は、登場人物の喋りをメインにした連作短篇でいくらでも書き続けられそうな作品で、実に200万字にも及ぶ長編である。執筆期間もかなり長い。いくらでも書ける題材であることを考えれば、また復活して執筆再開して、ライフワークにしてくれないかなという希望もある。
もちろん、作品を書くのは大変な労力がいるものだから、気軽に言えることではないのだけど。
ところで、連作短篇ということは、短い中に起承転結をつけなければいけない話をいくつも書かなければいけないということだ。短篇というのはそういうものなのだけど、それを長期間、2000編も書いていたのだから、作者の実力が伺い知れるというもの。そんな作者の渾身の一筆がこれだ。
短い中に起承転結があって、実に密度が高いのが素晴らしい。キャラはテンプレ的というか、悪く言えば薄いのだけど、それによって余計な説明をしなくていいようにしているのが技術的に見事だと思う。
絵的なインパクトもあって好きな短編だ。
カレンダー小説企画全体のノルマである書店員を出した上で、その繋がりで読書家さんが騒動に巻き込まれるというお話をテンポよく書いている。説明が煩雑になりそうな幻想的な出来事も端的にわかるようにしてるのが、素晴らしい。
クライマックスで、地味な少女が不可思議な力で一気にイメチェンして派手な場面が繰り広げられるくだりは、静かに進んでいた物語が一気に爆発する感じがして、良いと思う。その後また静の雰囲気に戻って、ラノベ的な戸惑い描写を見せながら良い感じに終わっていく構成。好きだ。
思うに、ラノベチックな話だと思う。テンプレとも呼べる。登場人物の属性も、能力も。あるいは漫画的と言えるかもしれない。それを小説という媒体で書ききったこと、見事だと思っている。




