37.アジサイ戦隊! ハイドレンジャー
【タイトル】アジサイ戦隊! ハイドレンジャー
【作者】クロードニュウスキー
【掲載サイト】四季ノ国屋 超時空支店
【URL】http://www7b.biglobe.ne.jp/~marboh_plus/06_gatu.html
ちょくちょく読み進めているカレンダー小説企画。これが5作目で、つまり前回読んでいたのが4作目ということになる。
その4作目の評論記事に感想が来ていた。なんとこの企画の主催者からだった。これまで4作読んできた僕が気づかずスルーしていた(4作目でちょっと違和感を抱いた)要素について正解を教えてくれた。
ついでに言えば、それは企画趣旨を説明した文章にしっかり記載されていた。
僕がいかに鈍感に小説を読んでいたかというのと、いかに事前情報を読まずに小説に向き合っていたかがよくわかるエピソードだ。実際僕は、小説を読む際に付随するあらすじとかタグとかはあまり目を通すことなく本文を読み始める。結果として、こういう見落としが発生するわけだ。
その事実に多少の気まずさとか恥ずかしさを覚えながら、今後はこの短編作品集の楽しみを念頭に置いて読むことができる。僕はポジティブな人間だからな。そして5作目として読んだこの作品は、作品群全体を俯瞰して楽しむ上で実に参考になる一編だとわかった。
主催者から教えられた情報はふたつ。各小説には共通した「書店員」キャラがさりげなく登場していること。前回読んだ作品で登場した、妙に目立っている謎の書店員の正体がわかってしまった。なるほどこれまでの既読作品を読み返せば、それぞれさりげなく登場している。おもしろい。
それから、それぞれの世界が緩くつながっているということ。他の作品内で語られた出来事に触れられていたりする。そして、この六6月の作品を読めば良いと教えられたから読んでみたというわけだ。
なるほど、前回でよくわからなかったエピソードがしっかり回収されている。企画小説の新しい楽しみ方がわかった。
独立した短編作品としても、もちろん楽しめるようになっている。
6月の梅雨に咲く花、アジサイをモチーフにした戦隊ものの活躍を書いた作品である。といっても本物の戦隊ヒーローではなく、金で集められた一般人たちがボディスーツを着て街の平和を守らされているという「戦隊ごっこ」的な集団となっている。
少ない金で集められたアルバイトみたいな彼らの奮闘と失敗。そして視点を担う少年の、ちょっとした青春の顛末をコミカルに書いている。実際にはヒーローなんかがいない世界に生きる、しょぼくれたヒーローにも少しだけ奇跡のような良いことが起こる。そんな優しいお話だ。
本物のヒーローではなくアルバイトであり、お互いの素性もよく知らないというやる気のなさが笑いを誘う。余談だけど現行のスーパー戦隊も、お互いの素性をよく知らないまま共闘している共通点があって、ちょっとおもしろかった。
そんな感じのコメディなのだけど、最後に甘酸っぱい青春が繰り広げられる。
その恋の様子は、全身タイツに包まれたちょっと不格好なものかもしれないけれど、長い雨が上がった後の爽やかさも同時に感じさせる。シチュエーションの勝利というべき光景が、眩しかった。
そんな戦隊ヒーローの活躍が描かれる中で、他の短編の出来事なんだろうなというのが連続して語られていた箇所が印象的。なるほど、これは今後の話を読む楽しみが出てきた。




