35.七夕アウフヘーベン
【タイトル】七夕アウフヘーベン
【作者】うみのえび
【掲載サイト】四季ノ国屋 超時空支店
【URL】http://www7b.biglobe.ne.jp/~marboh_plus/07_gatu.html
七月になったから、カレンダー小説企画の七月の一編を読んでみた。
七夕をテーマにした、ちょっとしたミステリー作品。人の死から始まる物語だけど、それ自体ではなく故人の意思を探るというタイプのミステリーだった。暗号めいた手紙が示す意図とはなにか。短いながらもしっかり完結しているのが綺麗だ。
とはいえ、この作品はこの作品単体で終わっているものとは、どうも思えない。
茶葉のお店のアルバイトの高校生が探偵業もやっているという設定や、その主人公は推理はできないけれど直感で犯人を当てる能力があり、推理は相棒的キャラがやってると、なかなか凝った設定が語られる。
もしかすると、この短編だけの登場人物ではないのかもしれない。
つまり、別の箇所に掲載されているシリーズもののピンオフ的な奴なのかも。あからさまに、語られていない出来事に触れたり意味深な登場人物が出てきたりするし。けれど探してみても、彼らの別の物語は見つからなかった。残念。ためしにハンドルネームで検索してみたところ、あまり作風が一致してなさそうなBL漫画家が出てきた。たぶん無関係だと思う。
なかなか癖のある設定でシリーズ化したらおもしろそうなのに。
そんな設定を短い分量の中で端的に紹介した上で、謎と答えを提示する技術は見事。死んでしまった男の残した謎を解くというシンプルな依頼と、その中で判明する意外な事実、そしてさらに裏側の答え。短い物語だけど、起承転結の密度はかなり高かった
謎自体が、七夕の短冊と、遠い距離に隔てられて会えない恋人という季節に則ったものを使っていて構成が見事。答えをはっきり明言しないながらも予想がつくようにすることで余韻の味わい深さが出るのもいい。さらに、主人公たちの関係についても同じ構造を見せるという構成がうまかった。
やっぱこの作品、シリーズものだよな。なにか情報を持っている方がいたら、連絡してほしいな。




