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「小説家になろう」以外掲載の作品の評論集  作者: そら・そらら


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34/116

34.通学路一方通行、道端で雑草枯れてる

【タイトル】戦隊ヒーローレッドは異世界でも戦うのがめんどくさい~でも召喚されたものは仕方ないのでしぶしぶ戦うことにしました~


【作者】なんようはぎぎょ


【掲載サイト】カクヨム


【URL】https://kakuyomu.jp/works/16816452218395524668

少し前にTwitterで、年収200万円以下の人の小説を読むというハッシュタグを戯れに作ってつぶやいてみた。

もちろん、使った瞬間に大量のWeb作家が小説を読めと押し寄せてくる「#RTした人の小説を読みに行く」のパロディだ。そして勢いのままに投稿したものだからハッシュタグ自体に誤字があってまったく趣旨が異なる募集になってしまったわけだけど、それでも年収低めの方が数人、そう自己申告しながら作品を紹介してくれた。


正直に言うと、作品を持ってきてくれる人がいるのは意外だった。RT小説読むタグを見るや大挙して押し寄せてくるおなじみのWeb作家たちも、自分が低所得者であることを明かすような真似をするとは思わなかったから。あの界隈はそういう、プライドが高い割に打たれ弱い人が多い印象だから。僕がそうであるように。



とはいえ、応募されてしまった以上は読むべきだ。そして、読んだ甲斐は十分にあった。

なかなか読ませる文章で、13歳の少女が見る鬱々とした光景を表現する短編。負の方面へのリアリティがすごい。なるほど、こういう後ろ向きな感情を揺さぶってくる作品こそ、失礼な言い方になるかもしれないけれど低収入の方が書く醍醐味と言えるかもしれない。



同性愛者が増えれば足立区は滅びる、と足立区議が言ったのを覚えているだろうか。そこから始まる、コロナ蔓延初期の頃の東京を彷徨い歩く少女のお話。足立区はそう簡単に滅んだりしない。けれど滅んだほうが清々しいのではと思うような光景が、少女の目に何度も映る。


大都市とは、住む人間の多さを糧に物質的な豊かさを住民に与えるもの。けれど人の多さはつまり、真っ当な生き方が出来ない愚か者たちにも、かろうじて生きていける手段を与える。そんな、大都市の負の面を多感な少女にありありと見せつける物語だ。


滅んだ方がいいような世界で、しぶとく生き続ける人間の描写は生々しい。実際の街を舞台にしているのもあって、圧倒的なリアリティがあった。

世の中の闇を書いた作品である一方、現実にある闇の嫌な感じを次々畳み掛けてくる構成が見事。


そんな地獄を見せつけられ続けた少女が、ある転機によって少しだけ希望を持つ。最後は優しい感じで終わっているのは、救われるお話だった。


「おもしろい」とは少し違うけれど、引き込まれる文章を書く方だった。こういう作品と期せずして出会ってしまえるのだから、web小説界隈は奥が深い。


これ、また同じような募集をかけてもいいかもと、少しだけ思ってしまった。

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