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「小説家になろう」以外掲載の作品の評論集  作者: そら・そらら


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32/114

32.May be ~母に捧げる薔薇ード

【タイトル】May be ~母に捧げる薔薇ード


【作者】汁茶


【掲載サイト】四季ノ国屋 超時空支店


【URL】http://www7b.biglobe.ne.jp/~marboh_plus/05_gatu.html

先日、Twitterにて募集した #RTした人の小説を読みに行く というタグで、小説家になろう以外の作品も読んで感想を書こうと募集してみた。その作品についても今後ここで紹介してい予定だけれど、その前に以前から読むと言っていたカレンダー企画短編のひとつについて書く。


作者は汁茶という方。小説家になろうにアカウントを持っていたらしいけれど、2013年を最後に活動の形跡がない。活動報告には他にサイトで小説を掲載していたとの記述があったけれど、それも探しても見つからなかった。現在は紐付けられたアカウントでの活動は確認できなかった。

この小説を書いたのが、最後の創作活動だったのかもしれない。もちろん、全く関係ないアカウントを作ってどこかで小説を書いているかもしれないけれど。創作家というのは、そういうものだし。



それでも、この人の確認できる限り最後の小説を読んだ。


12個ある月それぞれにちなんで描かれる12本の短編。今まさにその月だからと、5月の作品を読んだ。

5月は祝日も多く題材となる日は多いけれど、今作は母の日にちなんだ物語。タイトルにも母の文字が掲げられている。


そのタイトル、5月の小説らしくMayの単語が入っているのだけど、作中ではそれが別の意味を示していることが明かされる。バラードという言葉に混ざっている薔薇も、ダブルミーニングとなっている。なかなか凝った作りとなっている。


2013年に書かれた短編作品だけど、電子書籍の台頭によって紙の書籍がほぼ無くなった近未来を描いている。少しSFっぽさはありつつ、今の状況を見れば本当にありえるかもしれないリアルさが心地良い。そんな未来を書いた話である一方、物語の主題自体は普遍的な人間の感情を扱っている。


紙が無くなった世界は、年齢差のある登場人物の認識のズレを描写し、ありし日の世界に対するノスタルジーを呼び起こすために効果的に使われている。なかなかうまい設定で感心した。登場人物の感情は、まだ紙の本が珍しくない我々にも共感できる内容だというのがポイントなんだろうな。


人生には悲しみがつきものだし、失ったまま終わることも多い。けれど前を向く価値はあるし、悲しみに暮れるだけで終わらせない方法はあるんだよと教えてくれる。そんな温かな物語だった。

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