2.超絶人気アイドルが俺を必要とするのには理由がある
【タイトル】超絶人気アイドルが俺を必要とするのには理由がある
【作者】世界三大〇〇
【掲載サイト】カクヨム
【URL】 https://kakuyomu.jp/works/1177354054896587067
ここ一年ほどずっとアイドルアニメにハマっているので、アイドルものの小説と聞いて読んでみた。
女の子たちがアイドルを目指す感じの小説だと思っていたら、まったく違う作品で驚いた。いや、内容が違うのは予想の範囲内だ。タイトルがこんなのだし。けれどこれはなんだろう。形容しがたい怪作である。
ジャンルとしてはラブコメなのだと思う。超人気アイドル山吹さくらと偶然にも関係を持ってしまった少年の、困惑とかラッキースケベに満ちたストーリーと言える。
それは間違いないのだけど、スケールのぶっ飛んだ世界観に読者が振り回されっぱなしだ。スーパーアイドルってすげえな。どこか現実感のない世界を力押しで見せつけてくる勢いがあった。
物語の半分ぐらいが、主人公とヒロインが出会った日のやり取りに費やされている。やりとりというか、会話以外にも身体的接触なんかが多く含まれる。それも濃厚なやつ。
回りくどい文章になってしまったけど、要するにキスするとか胸を揉むとか裸を見るとかの性的描写のことで、さらに我慢できないからトイレで一発ヌくとか興奮でイッてしまったとかのの文言も容赦なく出てくる。
一方で描写が簡潔であるがゆえに、エロい感じにはならない。大人向けにはならない。ある意味健全なエロというのかな。ラブコメとしては割と理想的なことなのかもしれない。
どこまで意図的にやったのかはわからない。けど、バランス感覚は良い。
女の子のブラジャーを外すための苦労のあれこれに一話(正確には二話。男女別視点でそれぞれ書いてるから)使うこだわりの強さ。なんかも感じる。
ラブコメってのは作者の好みとか性癖が一番出るジャンルだと思うのだけど、まさにこの作品がこれだ。作者の執拗なまでのこだわり。あるいは執念を読み取った。
キスすることで、地味な女の子が完璧超人スーパーアイドルに変身するって設定は、実のところそこから広がっていくラブコメ的なエロい流れのための動機づけにすぎない。
一方でそのキスが作中で繰り返し起こるのは、これがメインの事象でもあるから。このメインの部分をめっちゃしっかり書いてるのが、書き手の気持ちが見えてて良いと思う。
で、先にも書いたようにスケールの大きな世界なのだけど、メインのカップルのラブラブ的な描写を執拗に書いていくお話がひたすら展開される。けれど最終的には、その大きな世界を活かしたオチはつけてるあたり、無駄にはなってないのがすごいと関心した。
実のところかなり癖の強い話であって、万人に進められるかは微妙なところ。けれど作者の執念を感じる、まごうことなき怪作だった。