18.残雪朱に色づく
【タイトル】残雪朱に色づく
【作者】ルマランゼ
【掲載サイト】カクヨム
【URL】https://kakuyomu.jp/works/16816452219666689524
この「なろう外作品評論」の第一回目でも取り上げた、とてもオシャレな名前の作者による、武侠百合小説。
武侠ものってのがなんなのか、僕はよく知らないんだよな。なんとなく、武に生きる人間の人間模様を書いた話なのかなと思って調べたたら、中国文学の一ジャンルと出てきた。なるほど。
付け焼き刃の知識で話すと火傷しそうなので、ここは思ったことを素直に語るべきだよな。
作者は百合についても深い造詣を持つ方で、僕は正直百合についても詳しくないから、いい感想を抱けたかは不安なところではある。
けど、これだけは言える。これはすごい小説だ。短い文章の中で、女ふたりの感情が強くかつ繊細に表現されきってる。ルマランゼさんの感情表現の巧みさはもちろん知っているのだけど、こうやって短編で纏め上げられるとさらに引き立つ。
物語自体はシンプルで、武に生きる女同士の真剣勝負にスポットが当てられている以外は、そこに至るまでの状況説明は最小限で済ませている。もちろんそこに不足はなく、殺し合いを行う女ふたりの心情に疑問を持たせることなくのめり込ませるのだから、見事だ。
そして肝心の勝負の箇所。剣と剣がぶつかり合う最中に、それぞれに歪さを持つ女の心情を書く。そこが主題であり、これを書ききっているから、シンプルながら読み応えがある。
男社会の武の道に生きる姉妹弟子。お互いの技量と立場の微妙な違いから起こるすれ違い。お互いを見ているのにわかり合えない皮肉が物悲しさを漂わせている。真剣での切り合いのなかで語られる心情の細やかさが結末まで勢いを削ぐことなく続いていくのが、すごい。
なりほど。これが百合か。こういうのもあるのか。奥深いジャンルなんだなあ。
しんみりしたテーマだとは思うのだけど、突き放すような展開含めてドライな世界のお話でもあるため、読後感の味わいが深い一遍だった。




