11.主よ!主よ!(短編集:わが地獄(仮)より)
【タイトル】主よ!主よ!
【作者】顎男
【掲載サイト】ニートノベル
【URL】https://neetsha.jp/inside/comic.php?id=9427&story=12
前回評論した短編集の別の一編。この短編集を勧めてくれた方の一押しとのことで。読みやすいとのことなので、ちょっと読んでみた。なるほど確かに、短くまとまっていて良い。
語り手が何者なのかという謎を残したまま会話劇が進んでいって、ラストで疑問が氷解するという構成の作品。
タイトルを見て宗教的な内容ではないかと考えたのが第一印象。結果としては、神を扱った作品なのだから間違ってはいないのだろう。
ここで言う神とは比喩だけど、物語の語り手にすれば間違いなく神に等しい存在。一方でその神は、我々の内面にある。もちろん私にもだ。
それゆえに、なんとも心に刺さるというか痛くなる話になっている。申し訳無さがあるというか。しかしその痛みを避けることはできない。忘れることはできるけど、それを思い出させられた。彼らは日々生み出されているし、その存在をなかったことにはできない。
この悲劇を緩和するには、時折思い出してやるしかないだろう。光を当ててやるしかないだろう。
短い作品であるがゆえに、ネタバレしそうになる。物語の核心部分を隠して解説するのは難しい。だから読んでほしい。
そして、向き合ってほしい。あなたにも無縁な話ではないはずだから。