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19 津山周防守邸制圧後のおこう【ダウングレード】

R18では、二人が周防守を垂らしこむところを描いていましたが、その事後の会話劇に変えました。

7月19日


 多くの人の恐怖と不幸の挙げ句の死を……。

 それがおかつ姉さんに取り付いている玉藻姉さんの望み。

 二人はあたしに気持ちの良いことを教えてくれた。まじないの操り方を教えてくれた。


(あなたは、もう少し早く仙術を学んでいればね。今の歳でも、わたしに匹敵する力を使えたわよ)


 玉藻姉さんはそう言って、あたしの呪いの筋の良さを褒めてくれた。玉藻姉さんに教わり、おかつ姉さんと研鑽し、あたしの呪いの力は目覚めた。

 今は津山家の一門、津山周防守の屋敷の奥を制圧してしまった。

 津山家のお侍の宴会が、旅籠の広間で開かれ、そこに旅芸人として入り込んだ。玉藻姉さんは歌舞音曲にも通じていて、芸事も仕込んでくれたから。

 そこで信じられないくらい呆気なく、周防守に取り入ることができ、あたしたちは屋敷に呼ばれた。今、周防守はあたしたちとのまぐわいで、何度も精を吐き出し、眠っている。

 女中たち3人も眠っている。おかつ姉さんの幻術で夢うつつにして、玉藻さんの尻尾で気持ちよく……。でも、殺さないように生気の吸い上げは少しにして。


(なかなか、呪いの力をいっぱいにできないわ)


 今は肌着だけ着たおかつ姉さんとわたしだけで、口の吸い合い。体を起こして座り、後から抱かれた格好で。玉藻姉さんの力も働いていて、これだけでも頭がしびれるように心地よい。


「わたしの生気、もっと吸い上げて……」

「だめ。あなたはもっとすごい仙術使いにするから。危ない橋は渡らせないわ」

(そうよ……それにまだ他の使い道もあるの、あなたには)


 部屋の中にはぴちゃぴちゃという、あたしとおかつ姉さんの口吸いの音しかしていない。

 あたしたちは心の中の声のやり取り……念話で意思を伝え合う事ができる。

 普通の人に対しては、離れていても、感情の様子がわかるようになっているし、触れあえば、考えていることを言葉にして読むこともできる。

 お陰で周防守を籠絡することもできた。色事に抑えの効かなくなった人を操るのはたやすい……自分がそうだからよくわかる。


「玉藻姉さんが生気をすっかり吸い上げるときが、一番気持ちいいんでしょう? 本当はそうしてくれていいのに。それを経験して死ねるなら本望なの」

(だから、だめなの。あなたは生きて役に立って欲しいから)

「今だって、気持ちいいでしょう?」

「うん……」


 口吸いだけで、頭の中が白くなり、体を震わせてる。

 本当は、これで満足しないといけないのはわかってる。


「いっぱい学んで、呪いの稽古もしましょう。強く……玉藻姉さんの力になるように」


 あたしが二人を姉さんって呼ぶようになったら、おかつ姉さんも玉藻姉さんって呼ぶようになった。本当に三人姉妹みたいになれたのなら嬉しい。


(呪いは、八百万の神の力を降ろす神道、仏の力を降ろす法力や密教、自然の中の神獣・式神を使う陰陽道、自分の中の見えない力を使う仙術がある。おかつも、おこうも、今は仙術を使えるようになっている。そこはわたしも同じ)

「自分の力を使うから、力の差がはっきり出ちゃうのね」

「玉藻姉さんは、本当に色んなことができて、羨ましい」


 口吸いの気持ちいいなかで、会話だけでなく、今はどんな呪いを使えるのか、玉藻姉さんは頭の中に知識を投げ込んでくる……


「雷電、火球、水流、氷雪、風……人の感情を操ったり、自分の体を強くしたり、速くしたり、傷を直したり、物を動かしたり……あたし、こんなにできるの?」

(もちろん、まだまだ上手くいかないわよ。でも、どんどん使いなさい。使うほどに上手になるし、強くなる)


 すると、おかつねえさんが尋ねる。


「玉藻姉さんとは別に、わたし自身の呪いの器や力も大きくできるの?」

(そう。おかつはわたしが取り憑いて、呪いを使うための容れ物が2つできた。大きいのがわたし。小さいのがあなた。今、あなた容れ物は、おこうより少し小さいのね。あなたはあなたの容れ物からわたしとは別に呪いを使える。そして、わたしはわたし。それに、生気のやり取りもできる)

「そっか……じゃあ、わたしの呪いの器が大きくなれば、一人で千人力ね」

(そうよ。それと、おかつはわたしに従ってるけど、おかつの器が大きくなれば、わたしが従うようになるのよ)

「そうなの? でも、そんな風になれるのは、いつになるやらね」

「呪いの器だったら、あたしを選んでくれればよかったのに。ずっと村にいたんだし」

(そうはいかないのよ。力が欲しいって思いがないと)

「あの時のわたしは男たちを殺したかった……殺す力が欲しかった」

(だから、結界の中でも、あなたの存在に気づいたの)

「あたしはそういう気持ちになったことはない……だから、村にいても玉藻姉さんに気づかれなかったんだね。あたしも、お姉さんたちみたいになりたい……」

(殺生石の破片はまだある……でも、依り代になるには、もう少し力をつけるか、思いを強くしないとね)

「一緒に修行しようね」


 明日からは呪いをいろいろと使ってみよう。そして、力をつけて、お姉さんたちの助けになりたい。




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