(カウント・余談)
お遊びで書いてしまいました。
スルー推奨…。
「真紗、ちょっとお話があるんだけど、いい?」
夕飯の後部屋に戻ると、嫌と言わせない雰囲気を出しまくりながら、真琴が詰め寄ってきた。
背後から、冷え冷えとしたオーラを放ちまくっている。
どこからどう見てもお怒りの様子だ。
「いいよ」
嫌だけど!
逃げられるものなら、今すぐどこかに逃げたい。
どうして真琴はこんなに怒っているんだろ。
もしかして…もしかしなくてもやっぱり、アレ?
昼間、瑞希が麦茶を吹いて汚したカーペットに、ちらりと視線を向ける。
だいぶ時間も経ち、すっかり乾き、もう殆ど痕跡は残っていないというのに。
強く拭きすぎたのか、多少毛羽立っているけれど…。
さて、何と言われるのやらとビクビクして続きを待っていたら、真琴は部屋の窓を開けだした。2月の冷え冷えとした空気が部屋に入り、とても寒い。
「行くわよ、ついて来てよね、真紗」
そう言って、真琴は窓から身を乗り出した。コンコンコン、と瑞希の部屋の窓をノックする。
やっぱりカーペットの件だ!
…あれ、でもなんで、瑞希が吹いたって知ってんの?
不思議に思っていると、窓がガラリと開いた。
「真紗……と、真琴?」
「お話があるの。お邪魔するわよ」
返事を待たずに真琴が中に入る。私も慌てて後から続く。
「話って何?」
瑞希が警戒するように真琴をチラ見した後、何かを訴えるように私の方を向いた。申し訳ないが、私にはどうすることも出来ない。
真琴は腕組みをし、瑞希を睨み付けている。
「カーペットよ」
やっぱり!!
「私達の部屋のカーペットがヘンに毛羽立っているんだけど」
「…ごめん、汚してしまったから、拭いたんだ」
「でしょうね。ごみ箱に大量のティッシュが捨ててあって、驚いたわ」
「そんなつもりじゃなかったんだけど、つい…」
瑞希も真琴には弱いのか、始終腰が引けている。
もちろん私も真琴には弱い。
真琴は、おもむろに溜め息をついた後、瑞希に強い視線を向けた。
「あの部屋はね、真紗の部屋であると同時に、私の部屋でもあるの。今度から、そーいう事する時は、瑞希の部屋でやってくれない?」
「え?」
「万が一鉢合わせでもしたら、すっごく嫌だもの。出来るだけ見たくない」
「ええ?」
「それとも、瑞希は見られたいの…?」
「………」
気のせいか、瑞希の頬が真っ赤に染まっている。
麦茶吹く姿見られたい人ってレアよね、私はいまだ出会った事がない。
「違う…!! あれは、そういうのじゃないから!」
瑞希が必死に否定をし出した。
いや、そーいうのだから。
吹き出す所を私はこの目でしかと見た。
「そーいうのじゃないなら、なんなの?」
真琴が訝しげに私を見た。
やだ! 私のせいにされたら、超こまる!
瑞希がやったんだから、ちゃんと瑞希が真琴に怒られてよ!
「瑞希がやったんだよ! 私もびっくりしたよ! そーいうのだよ!」
「真紗!」
瑞希が更に顔を赤くして慌てている。
ふん、真琴の怒りを私に回そうったって、そうはさせるもんかあ!
「私悪くないからね。瑞希が勝手にやったんだからね。私だってあんな事して欲しくなかったよ!」
「…どういう事なの、瑞希。まさか……」
心底お怒りの様子で、真琴が瑞希に微笑んだ。
ああ恐ろしい恐ろしい…。
「そんな訳ないだろ!! だからやってないって!」
「やったじゃない!」
「真紗は黙ってて!」
瑞希の手のひらが私の口を抑え込んだ。
真琴が息を飲んで、そんな私達の様子を眺めている。
「そう言えば、カーペットが汚れるなんて…もしかして、つけて、ないの?」
つける?
真琴の言葉に瑞希が固まり、私の口を抑えていた手がポロリと外れた。
「つけるって、なに?」
自由を満喫するべく、真琴に近寄り質問をする。
座布団にはカバーがあるけれど、カーペットにカバーなんてあったっけ?
「アレよアレ」
「そんなのあるの? 見たことないなー」
固まった瑞希が早くも復活したようで、私のそばにやってきた。また私の口を塞ごうとするので、顔を腕でガードする。
「信じられないわ、そういうのはちゃんとしなさいよ…」
え――?
「真琴ってば何の話してるの…? 麦茶が、あれ…?」
ガードした私の腕を掴んだ瑞希が、真っ赤な顔で、ヤケクソ気味にでかい声を出して、言った。
「橋野さんが言ってた……先の話だよ!!」
………。
………。
瑞希の顔がやけに近い。
腕を掴まれていて、なんだか、急にどきりとし出す。
「ええええええええええ!」
慌てて瑞希の腕を払いのけ、全力であとすざりをする。丁度そばにあった布団の中に潜り込んだ。
「してないしてない、なんで麦茶が麦茶じゃないの?」
「ほら、だから違うんだよ!」
「…まあ、真実なんてどうだっていいんだけど。それより! これから先もし、するなら、瑞希のお部屋でしてね、それだけ」
そんなもしもは絶対にやってきません!
なんて事言うんだ、真琴…。
瑞希と…瑞希とだなんて…。
私の腕を掴んだ瑞希の、真っ赤な顔が脳裏にちらつく。
ない! ない! ない!
なに今の映像、消えて!
首をぶんぶん振り、布団の端をぎゅっと握り締めた。
「真紗…、真琴もう帰ったよ?」
瑞希の声がやけに近くに聞こえ、私は更に布団を固く握る。
「真紗…、出て来なよ」
「いやっ。あっち行ってよ」
「ここ……オレのベッドなんだけど」
そうだった!!
言われて少し冷静になると…布団の中は瑞希の匂いがして、まるで瑞希に抱き締められてるみたいな気分になってしまった。
がばっ。
慌てて布団を跳ねのける。
続いてベッドから飛び降りようとして、足元がぐらつく。このベッド、スプリング効き過ぎ!
「あぶな…っ」
咄嗟に瑞希が私を抱き留め、事なきを得る。
「ありがと……」
そう言って顔をあげると、すぐそこに瑞希の顔があり、長い睫毛に縁取られた瞳と目があった。
唇までの距離、10センチもない。
どっくん。
私の頭がどうかしたのか、瑞希の顔が近づいてきたような錯覚を感じ、急いで横を向き、勢いよく瑞希を突き飛ばして立ち上がる。
「帰る、帰るね!」
それだけ言うと、一目散に窓を開け、自分の部屋へ戻った。
ごめん、瑞希。
本当にごめん……。
明日から通常運転に戻るから!
亜矢ちゃんと真琴に変な事を言われた私は。
今日は本当に、なんだかおかしな1日なのでした。
すみません、ノリで書いてしまいました。
すみません、次こそ完結その後を…。




